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ブログ / ビジネスモデルの企業事例

第261話 三陽商会のビジネスモデル

2018年4月25日 執筆:渡邉ひとし

第261話のテーマは『ブランド構築の戦略を間違えた』です。

(ブログ=月水金の平日投稿です)

お気に入りのアパレル・ブランド

紳士衣料のなかでも「PaulStuart」はセンスがいいと思っていました。

なかでも「色」と「デザイン」にそのセンスを感じていました。

とはいえ高価格帯の商品が揃っているのでセール品を購入する程度でした。

サラリーマンを卒業してからはユニフォームだったスーツは着なくなり春夏6着・秋冬6着のスーツは全て処分。

ところが数年前からスーツを着る機会がありあらためてスーツを購入しようとした時に目に新鮮に映ったスーツは「MACKINTOSH PHILOSOPHY」のセットアップ・スーツでした。

これらのブランドを保有する会社は<三陽商会>ですが取り扱う商品では<バーバリー>が一番有名なブランドだろうと思います。

<三陽商会>のビジネスモデル

1943年に電気関係各種工業用品や繊維製品の製造販売を目的として吉原信之氏が<三陽商会>を設立しました。

1945年に本社を板橋から銀座へ移転してレインコートの製造販売を開始しています。

1949年に<三井物産(第一通商)>が企画した「全国エキスポートバザー」向けにレインコートを大量に受注したことでレインコート製造販売の大手になりました。

そして1965年よりイギリスの<バーバリー>のコートを販売するようになりましたが2015年にイギリスの<バーバリー>とのライセンス契約が終了したことと主力の販路である百貨店などで販売に苦戦していることで2016年10月には希望退職者の249人を削減し2013年6月にも希望退職を実施し276人が退職しています。

2016年10月に「構造改革と新経営計画の目指す方向性」と題する経営改善策を発表しました。

不採算のブランドの廃止を表明している8ブランドに加え新たに2つ廃止します。

全国で190の不採算店舗を閉鎖し保有株式やゴルフ会員権の売却なども進めていく内容になっています。

<三陽商会>の杉浦昌彦社長は……顧客の変化への対応力不足が成長の足かせになっているためインターネット通販や雑貨などを強化するといった考えを表明しています。

2016年12月には杉浦昌彦社長が翌年1月1日付で退任し岩田功取締役が新社長に就く人事を発表。

不採算事業からの撤退などを進めても業績は低迷したままでした。

再建を目指したトップ交代でインターネット通販の強化や百貨店以外の販路の拡大を目指します。

2016年12月期の連結決算の売上高は前年比約30%減の676億円で純利益は113億円の最終赤字でした。

2017年2月に新しい中期経営計画が発表されましたが2018年度の赤字脱却を明記しています。

在庫や流通の店舗運営の効率化などで利益率の改善を図るとともに成長分野である電子商取引の売上高を2019年度に2倍近くに増やし新たな商品やブランド開発によって20~30代の顧客層の開拓を目指します。

そのため20~30代向けにネット通販専用のブランドの立ち上げも考慮に入れています。

さらに売上高の約70%を占めている百貨店向け販売を約60%に引き下げます。

2017年5月には新しい自社ブランドのコートをセレクトショップなどで発売すると発表。

「Kiminori Morishita+Blue Flag」というデザイナーの森下公則さんと組み若者向けのデザインにしたブランドです。

SANYOの自社ブランドを育てることでライセンスに頼らない体質を目指します。

2017年9月にアウトドアウエアの新ブランドを立ち上げると発表しました。

雑誌「ポパイ」などで活躍した元モデルの木村東吉氏と組んで新ブランド「5LAKES&MT」でおしゃれで機能性も高い商品を揃えます。

主力ブランドの「ポールスチュアート」で婦人スーツのパターンオーダーを扱う店舗を倍増すると発表しました。

婦人服を置く約40店のうち半分の約20店にまで広げます。

これは女性管理職の増加に伴い婦人スーツでも仕事中に個性を出しやすい生地やジャケットなどのデザインを選べるパターンオーダーが伸びているためです。

2018年2月に家具やインテリアの企画製造とネット通販を手掛けている<ベガコーポレーション>と業務提携したと発表しました。

<ベガコーポレーション>の越境通販サイト「ドコデモ」で<三陽商会>の商品の販売を始めます。

互いの店舗や通販サイトを活用することで国内外での客層を広げる狙いです。

両社のブランドをそれぞれライセンス提供することも検討します。

さらに衣料品の分野にとらわれないライフスタイルブランドも共同開発します。

2018年2月中旬にオープンしたネット通販「ストライプデパートメント」に百貨店を中心に展開する大手アパレルや老舗メーカーなどが相次いで出店しました。

「ストライプデパートメント」はカジュアル衣料大手である<ストライプインターナショナル>がソフトバンクと立ち上げたモールです。

<三陽商会>の岩田功社長は「消費者とのタッチポイントは多い方が良い」と考え30代半ば以上をターゲットにするストライプデパートメントに出店しました。

2018年12月期の営業利益は3年ぶりに黒字に転換する計画です。

ネット通販に力を入れるほか契約社員を正社員化して優秀な人材の確保を進める方針で5000万円の営業黒字を目指します。

「業績は改善しているがまだ病人の状態。

来期以降、再投資を生むような事業への投資を始めていきたい」という意欲を岩田社長は語っています。

さらに自社で保有する「青山ビル」を33億円で売却しましたが「新規事業への投資のほかM&Aや新しいライセンス取得などに使うことも考えている」と述べています。

今後の成長戦略は……◉直営店の強化◉コーポレートブランド事業の強化電子商取引での売上高の拡大の3つを掲げています。

どこまで具体的な施策を示せるかが当面の緊急課題になっています。

これらの成長戦略が具体化した段階でビジネスモデルを構築することができます。

(次回ブログ=4月27日金曜投稿です)

このことから何を学べるでしょうか?

大黒柱の事業を失った時は……一気に事業喪失の挽回を図ろうとするのではなく一度、企業の規模を縮小して代替の事業を育てるように手立てを打たなければ事業喪失を挽回することはできない。

渡邉ひとし
渡邉 ひとし株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役/持続型経営コンサルタント

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