現在の事業に陰りが見え始めてくると経営に不安が起きてきます。
ここで気を付けなければいけないことは現在の事業と全く無関係の事業に手を出してしまうことです。
自社のノウハウが生かせない自社の社員の能力を超えている自社の資金では賄えないなどハイリスクな事業に手を出すことは自滅の道を選択するに等しい判断です。
今日のお話しは「新事業の展開の妙味」を感じさせてもらえる企業事例です。
今日のメルマガの企業事例は<楽天>です。
大企業の企業事例を読んで変化する経営環境を読み取っていただきぜひ自社の事業に照らし合わせながら新たな取り組みに生かしてください。
企業事例[第348話]のテーマは「携帯電話など新事業への取り組み」です。
電子商取引のプラットフォーム事業1997年2月に株式会社<エム・ディー・エム>を設立しました。
1997年5月に「楽天市場」を開設しました。
1999年6月に株式会社<エム・ディー・エム>の商号を<楽天>株式会社に変更しました。
1999年9月にインターネットオークション事業である「楽天フリマ」を開設しました。
2000年12月に株式会社<インフォシーク>を買収して完全子会社化にしました。
2001年8月に中古品販売・買取サービスである株式会社<ビズシーク>を買収しました。
2001年9月に株式会社<フープス>を買収して完全子会社化にしました。
2004年9月に株式会社<あおぞらカード>を買収して完全子会社化しました。
2004年10月に株式会社<楽天野球団>を設立しました。
2005年6月に<国内信販>株式会社を買収して子会社化しました。
2010年3月に<イーバンク銀行>の完全子会社化と<楽天銀行>への商号変更を発表しました。
2012年7月に社内公用語を英語化しました。
2016年9月にフリマアプリ「フリル」を運営する株式会社<Fablic>を買収しました。
<楽天>のビジネスモデル<楽天>グループは……「インターネット事業」のほかに「金融サービス事業」「その他事業」という3つの事業を展開していますが2018年1月に<楽天カード>が<三菱UFJニコス>を抜き初めて首位になったと表明しました。
「2017年4~9月期」の取扱高が提携カードを除いた取扱高で3兆円程度になりトップに立ちました。
取扱高を伸ばしている最大の要因は大量のポイント付与ですが2016年にはグループ全体で年間総額2000億円分の楽天ポイントを利用者に付与しました。
<楽天カード>の穂坂雅之社長は……カード代金をポイントで支払えるようにする構想も明らかにするなど『楽天経済圏』を広げる考えです。
同じく2018年1月に<朝日火災海上保険>を買収すると発表しました。
2013年に生命保険に参入済みで<野村ホールディングス>の傘下である<朝日火災海上保険>を買収すると生命保険と損害保険の両方を手掛ける体制になります。
約9300万人の楽天会員のデータを活用し家族構成や生活パターンに合わせて条件をきめ細かく設定可能な保険商品などを開発する狙いです。
2018年2月に「IoT」を活用した民泊の運営支援サービスを始めました。
施設に設置したタブレットなどをネットワークでつなぐことで宿泊者の本人確認や鍵の受け渡しをスムーズにできるようにします。
民泊運営業務の負荷を減らすことで旅行者を受け入れる施設を増やす狙いです。
民泊運営支援の<SQUEEZE>と組んで「あんしんステイIoT」を始めました。
2018年3月に韓国の<ヤノルジャ>と民泊分野で業務提携すると発表しました。
開設予定の仲介サイトに掲載する物件を韓国で旅行予約サイトを運営している<ヤノルジャ>の利用者も予約できるようにして訪日旅行者の需要を取りこみます。
2018年4月に<楽天>は<ビックカメラ>と家電販売サイトを開設しました。
<楽天>の三木谷浩史会長兼社長と<ビックカメラ>の宮嶋宏幸社長がそろって出席した記者会見では独自商品の開発や物流でも協力を進める方針を明らかにしました。
共同出資会社が運営する「楽天ビック」はターゲットを絞り込んだ白物家電を中心に約60万点の商品を取り扱います。
「楽天ビック」の特徴としては◎「オンラインとオフラインの連携」◎「設置、配送サービス」◎「競争力のある価格と幅広い品ぞろえ」という3点を掲げています。
2018年9月にコンドミニアム型民泊施設の運用代行を始めると発表しました。
長期滞在を希望する訪日外国人などのリビングやキッチンを備えたコンドミニアム型民泊施設の需要を見込んでいます。
2018年11月に<KDDI(au)>と業務提携すると発表しました。
<KDDI>はスマートフォン決済で<楽天>が持つインフラを活用するとともにローミング(相互乗り入れ)契約も結び2019年秋に携帯事業に参入する<楽天>に通信設備を貸し出します。
携帯電話の基地局の整備にはコストと時間がかかりますが開始当初から全国でサービスを提供できるめどが付きました。
2019年1月に<日本郵便>と連携して匿名配送サービスを始めると発表しました。
フリマアプリ「ラクマ」で個人情報を明かさずに取引できます。
2019年2月に発表した「2018年12月期」の連結決算は純利益が前期比29%増でした。
クレジットカード「楽天カード」の会員基盤の拡大で手数料が伸びフィンテック事業が好調で売上収益(売上高)は17%増で1兆円を超えて過去最高を更新しました。
2019年5月に米国の<The H Collective>と共同出資会社を設立すると発表しました。
映画制作・配給会社である<The H Collective>に出資し日本での映画配給を手掛けます。
2019年6月に<楽天>と<西友>はドローンで配送する実証実験を始めると発表しました。
7月から神奈川県内の<西友>の店舗と無人島をドローンが行き来します。
同じく2019年6月にロボットによる無人配達サービスの課題を洗い出す協議会を立ち上げました。
<楽天>のほかに<日本郵便><ヤマトホールディングス><ZMP><警察庁><国土交通省>や自治体なども加わりルール整備に向け協議します。
ネット通販の普及に伴い国内の宅配便の取扱数は増加が続いている一方でトラック運転手の有効求人倍率は約3倍で推移しており深刻な人手不足が続いています。
『省人化』などの物流の効率化が深刻な課題になっています。
その一方で<楽天>は自社配送の人口カバー率を現状の25%から2019年末までに60%に引き上げ数年以内には自社配送の人口カバー率を95%以上に引き上げる計画です。
配送コストが増大すれば事業者による出品控えが発生しかねません。
品ぞろえが少なくなっては通販サイトの競争力がそがれます。
事業者の負担が高まれば出品する商品価格の引き上げを招き価格競争力が弱まる恐れもあります。
<楽天>の売り上げ比率を見ると「楽天市場」などの国内電子商取引とカードや銀行などのフィンテックでそれぞれ30%超を稼いでいるバランスの良い事業構造になってきました。
しかし日本国内の売上が80%弱を占めていて海外事業の拡大に時間がかかっています。
2019年4月には<楽天>の組織再編を実施しました。
ネット通販事業は<楽天>の本体金融事業は<楽天カード>など通信事業は<楽天モバイル>などそして海外子会社を統括する部門という組織構成になりました。
電子商取引事業でスタートしたビジネスモデルでしたが2017年に創業20周年を迎え2018年に売上1兆円を超え「金融」と「通信」という新たな事業を確立させようとしています。
<楽天>は6000億円という巨額の資金を借り入れ今年秋に携帯電話事業者として新サービスを始める考えです。
どれだけ早く携帯電話事業を軌道に乗せられるかが今後の成長の鍵を握ることになります。
今日の事例で何を学べるでしょうか?
祖業(創業時の事業)の成長に鈍化が見られる会社は……次の収益の柱になる事業を育成しなければ会社の存続が危ぶまれる。
大黒柱になる事業が順調な時にこそ次の成長の柱になる事業に取り組み育成することが必要不可欠である。


