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ブログ / ビジネスモデルの企業事例

第388話 キヤノンのビジネスモデル

2020年4月24日 執筆:渡邉ひとし

新型コロナウィルスの沈静化までまだ1年ほど続くという見方が現実感を持ち始めてきました。

これまで『アフター(after)・コロナ』という視点で新型コロナウィルス沈静化後の経済や社会の復興について議論されることがありましたがいまでは『ウィズ(with)・コロナ』という視点で新型コロナウィルスと共生する社会や経済を議論することが多くなってきています。

『ウィズ・コロナ』の時代には『つながる』という言葉がキーワードになると予見しています。

大企業の企業事例を読んで変化する経営環境を読み取ってぜひ自社の事業に照らし合わせながら新たな取り組みに生かしてください。

今日の企業事例[第388話]のテーマは『取り組む新規事業は4本の矢』国内初、世界初の商品を開発1933年に内田三郎氏と吉田五郎氏により<精機光学研究所>を開設しました。

1935年に『CANON』の商標を出願しました。

1946年に戦後初のカメラ新製品『キヤノンS II』を発売しました。

1947年に<キヤノンカメラ>に社名変更しました。

1969年に<キヤノン>に社名変更しました。

1970年に国産初の普通紙複写機を発売しました。

1985年に世界初のバブルジェット方式のインクジェットプリンターを発売しました。

1994年に世界初のフルカラー自動両面印刷を実現したプリンターを発売しました。

2008年に一眼レフカメラの生産5000万台を達成しました。

2014年にデジタルカメラの生産2億5000万台を達成しました。

<キヤノン>のビジネスモデル2018年10月に<アクシスコミュニケーションズ>を完全子会社化すると発表しました。

<アクシスコミュニケーションズ>はスウェーデンのネットワークカメラを手掛ける世界首位の会社でしたがいまでは中国政府が街中に監視カメラを設置するため中国メーカーが上位を占めていて現在は世界3位になっています。

成長事業と位置付けるネットワークカメラ事業で意思決定のスピードを速める狙いです。

2018年11月に<東芝デジタルソリューションズ>とスマート工場事業の連携を発表しました。

両社の持つ「IoT」技術や画像処理技術を連動させ製造現場のデータを収集・分析して生産性を高める考えです。

2019年3月に人が転倒した状況を瞬時に判別できる技術を開発したと表明しました。

ネットワークカメラの映像から立ったり座ったりしている人が倒れたときの動きの特徴をプログラムに学習させて瞬時に検知できるようにしました。

2019年4月に<パイオニア>と自動運転に使う製品の共同開発契約を結んだと発表しました。

レーザー光の反射を利用して遠方や車両周囲の状況を立体的な情報としてリアルタイムにつかむ技術の開発です。

自動車の運転支援システムとして自動車メーカーに売り込む狙いです。

2019年8月にデンマークの<ユニバーサルロボット>と提携すると発表しました。

協働ロボは人手不足への対応や生産ラインの見直しがしやすいことから需要が高まっていて協働ロボ世界最大手の<ユニバーサルロボット>と提携することで<キヤノン>の画像認識技術を活用しロボットが多様な作業をこなせるようにする狙いです。

2019年11月に<クオリティー・エレクトロダイナミクス>を子会社化したと発表しました。

MRI(磁気共鳴画像装置)の基幹部品を手掛ける米国企業で傘下に収めることで成長領域と位置付ける医療機器事業を強化する狙いです。

2019年12月に人工知能を活用し橋やトンネルなどの点検サービスを始めました。

壁や道路などの画像を人工知能で解析しひび割れを自動で検知幅に応じて色分けして表示します。

2020年1月に発表した『2019年12月期』連結決算は純利益が10年ぶりの低水準でした。

縮小傾向のデジカメ市場を景気減速が直撃し事務機も消耗品の需要減で失速しました。

これに代わる新たな収益源が医療関連業務です。

画像診断装置の米国シェアは5~6%程度ですが生産効率化や共同購買を進め売上高営業利益率を「2021年12月期に10%程度に引き上げたい」と滝口登志夫専務執行役員は述べています。

監視カメラ事業は光学技術にM&Aで獲得したシステムやソフトウエア技術を組み合わせ映像内で対象を瞬時に探し出す技術で付加価値を高め低価格戦略の中国勢などとの違いを打ち出す考えです。

2020年2月に新型コロナウイルスの検査システムの開発を始めたと発表しました。

医療機器子会社の<キヤノンメディカルシステムズ>はウイルスの遺伝子を調べる仕組みで他の検査手法と比べて簡易な装置で短時間に検出でき医療現場などで使いやすいようにします。

<日本医療研究開発機構>のプロジェクトに<国立感染症研究所>や<長崎大学>とともに参画してウイルスの遺伝子を増やして種類を調べる『LAMP法』と呼ぶ検査技術を採用して<キヤノンメディカルシステムズ>の開発する装置を使って調べます。

2020年3月に新型コロナウイルスの迅速検査システムが認定されたと発表しました。

感染症対策として国などが行う『行政検査』の手法として<キヤノンメディカルシステムズ>等が開発した迅速検査システムが認定され国が指定する病院や空港などの施設で使われることになります。

40分程度でウイルスの有無がわかるため当日検査が必要な場面で活用が見込まれ24時間フル稼働した場合1台で700件弱の検体を調べられます。

2020年4月に東京都の本社など計5拠点で事業を部分的に休止すると発表しました。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて必要な業務に当たる社員は出社するほかテレワークを順次拡大して対応していく考えです。

これからの<キヤノン>を見てみましょう。

デジタルカメラなどのカメラ事業や事務機などのオフィス事業などの従来の主力事業で利益が縮んでいます。

新たなビジネスモデルへ転換するため新規事業として取り組んでいるのが

  • 医療機器
  • 監視カメラ
  • 商業印刷(カタログなどの印刷機)
  • 産業機器(有機EL製造装置)

の4つの事業です。

『2019年12月期』の全体の売上高に占める新規事業の比率は25%前後でした。

なかでも新たな収益源の筆頭は『医療機器』になります。

2019年末にはグループ内に点在していた医療関連業務を<キヤノンメディカル>に集約しました。

世界最大の医療機器市場の米国で画像診断装置のシェアは5~6%程度ですが営業人員を増やし数年内に10%超へ拡大させる考えです。

医療事業の売上高営業利益率を「2021年12月期に10%程度に引き上げたい」と滝口登志夫専務執行役員は述べています。

個人向けの商品が中心のビジネスモデルを転換させるため法人向け事業を強化しています。

御手洗冨士夫会長は……「2021年に始まる中期経営計画中に新規事業と既存事業の比率を逆転させたい」「重要な領域には徹底的に投資する」と述べています。

新規事業として取り組む『4本の矢(事業)』を成長軌道に乗せることが<キヤノン>の当面の課題になります。

今日の事例で何を学べるでしょうか?

主力事業の収益が低下している会社は従来のビジネスモデルの見直しと新規事業の育成が求められる。

過去の成功体験から脱却して新たな事業の枠組みを構築することが必要不可欠である。

渡邉ひとし
渡邉 ひとし株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役/持続型経営コンサルタント

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