『70%経済』という言葉がチラホラと巷から聞こえ始めました。
新型コロナウィルスの感染拡大前の『beforeコロナ』の頃の経済を100とした場合『コロナ禍』および『afterコロナ』の経済は70%を平時(平常)と捉える覚悟が必要という考え方です。
この70%を100として捉えて事業を再構築する必要があります。
コロナ禍で勝ち組といわれる一桁も二桁も売上が増加して稼いでいる業界や企業もありますが多くの企業は『70%経済』と捉え従来のビジネスモデルから転換し早急に新たなビジネスモデルを構築する必要があります。
その結果として『70%経済』が当てはまらないピンチをチャンスに変える成長企業に変身することができます。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第419話<古河電気工業>です。
(*写真はイメージです。)
古河グループの一部門として創業しました1884年に<古河鉱業>の一部門として<本所溶銅所>を創業しました。
1920年に<本所溶銅所><日光電気精銅所><横浜電線製造>の3社が合併して<古河電気工業>が設立しました。
1923年に独国<シーメンス>と合弁で<富士電機製造>を設立しました。
1972年に西ドイツ<WCヘレウス>と<古河精密金属工業>を設立しました。
2000年に<日立電線>と銅管の合弁会社を中国に設立しました。
2001年に<ルーセントテクノロジーズ>の光ファイバー部門を買収しました。
2007年に自動車部品事業部門の統合により<古河AS>を設立しました。
2016年に<ファナック>と合弁で高出力レーザ•ダイオード•モジュールの製造会社を設立しました。
<古河電気工業>>のビジネスモデル2019年5月に飲料用紙容器から強化プラスチック材料を作り出す技術を開発したと発表しました。
容器の素材から樹脂やアルミを回収し独自技術で加工すると汎用的なプラ素材の2倍の強度を出せるといいます。
回収して作った強化プラを自社が製造・販売するパイプの接合部分などの原料として活用し原料コストを削減する狙いです。
2019年6月に自動車パネルなどで使うアルミニウム合金の溶接作業向けに欠陥数を100分の1に抑えられる技術を開発したと発表しました。
従来よりも出力を上げ溶接の作業も約2倍に高速化できるため毎分10メートル近くを溶接できます。
工場などの生産ラインの効率化にもつながるため軽量素材としてアルミの採用を進めている欧州や日系自動車メーカーを中心に売り込む狙いです。
2019年6月に海外工場で光ファイバー関連製品の生産設備を増強する方針を表明しました。
データセンターなど向けに光通信関連の材料需要が拡大していることに対応する考えです。
2019年6月に<昭和電線 HD>と業務提携し販売事業を統合すると発表しました。
国内電線需要の縮小を見据え販売事業の統合による業務の効率化を進める考えです。
2019年11月に『2020年3月期』の連結純利益が前期比62%減の見込みと発表しました。
中国勢の安価製品の流入増などで競争が激化し主力の光ファイバーが欧州などで低迷すると見ています。
2020年1月に電気自動車などに無線で電力を供給する技術を開発したと表明しました。
絶縁体を挟み2つの電極の間に生じる電界を利用して給電する方式を採用したことで高い周波数で電気を流すと相手側の電極にも電気が流れる現象で電気を送ることができます。
送電器を道路や倉庫の床下に埋め込みその上を受電器を搭載した電気自動車が走行すると充電できます。
2020年1月に<鹿児島県薩摩川内市>と産業振興に関する連携協定を結びました。
現在開発中の避難所マットを薩摩川内市の指定避難所3カ所に配備し機能性や快適性を検証するとともに商品化に向けて市内企業との連携も検討します。
2020年5月に発表した『2020年3月期』の連結純利益は前期比39%減でした。
新型コロナウイルスの感染拡大で自動車生産台数が減りワイヤハーネス(組み電線)などの売上が苦戦しました。
「オンライン診療やテレワークの拡大で世界的に通信量が増えており通信インフラやデータセンターに使う製品の需要は確実に増える」「自動車向け製品の回復は厳しいが通信分野で戦略商品を伸ばしていけるチャンスだ」と<古河電気工業>の小林敬一社長は述べています。
2020年6月により速く高精度に行うための溶接用部品を開発したと発表しました。
青色レーザーダイオードモジュールを採用し高い出力のレーザー光で溶接できるのが特長で溶接時の不良が減るため自動車部品メーカーにとっては生産コストの低減にもつながるため新たな部品を使った溶接法を銅製品と併せて販売を強化する狙いです。
2020年6月に次世代型蓄電池『バイポーラ型蓄電池』を開発したと発表しました。
<古河電池>と共同で開発した蓄電池は従来のリチウムイオン蓄電池に比べ消費電力量当たりの単価が低く稼働時のエアコンによる温度管理コストの削減も可能でトータルコストを半分以下に抑えることができるといいいます。
量産実用化のメドが立ち2021年度中にサンプル出荷し2022年度から製品を出荷する予定です。
2020年9月に子会社の<古河AS>がベトナムに新工場を設立すると発表しました。
需要が増加する北米や日本向けのアルミワイヤハーネスの生産体制を強化する狙いです。
ベトナムには既に2カ所の製造拠点があり今回が3カ所目となります。
2020年11月に『2021年3月期』の連結純利益が前期比83%減の見込みと発表しました。
新型コロナウイルスの感染拡大で生産が滞り主力の自動車部品の出荷が減るほか光ケーブルと光ファイバーの価格競争の激化で収益性も悪化する見込みです。
同時に発表した『2020年4~9月期』の連結決算は純利益が前年同期比74%減でした。
今日の企業事例である<古河電気工業>を少し俯瞰して見てみましょう。
2020年6月に『中期経営計画説明会』で小林敬一社長は……「供給網の多重化を進める」と述べました。
主力製品のワイヤハーネスは様々な国で生産していますがコロナの影響によりフィリピンからの製品出荷が一時中断しました。
ベトナムの工場で代替生産することで乗り切りましたが「BCP(事業継続計画)のために各拠点で他の製品も作れるようにする」と述べました。
『2021年3月期』までの3年間の設備投資は計1500億円と高水準を計画しています。
自動車の軽量化や洋上風力発電の普及に合わせ部材の生産能力を増強する考えです。
電線事業の再編や銅管事業の売却など構造改革は順調に進んでいます。
光ファイバーやエネルギーインフラ事業など成長領域を引き続き強化していき新たなビジネスモデルへの転換が当面の課題となっています。


