3月31日の記者会見で<富士フイルムホールディングス>の古森重隆会長CEOの退任が発表されました。
私が講師を務める経営者セミナーでも<富士フイルムホールディングス>の古森重隆会長CEOの事業改革を事例に挙げて解説していますが急激に売上が減少するフィルムメーカーの衰退のなか医薬品や化粧品などを新規事業と定めて多角化に取り組んできました。
過去を語るのは簡単ですが急激な売上減少を目の当たりにしてそれまでの延長戦で考えず新たな方向(事業)を決めることは並大抵の能力ではありません。
いわゆる『三識』と言われる『知識』『見識』『胆識』のなかで『見識』が優れていなければ新たな方向(事業)を決めることはできなかったはずです。
さらに大切なことは周りの多くの守旧派たちの「改革反対!
!」の声や改革を阻止しようとマイナスの行動をする人たちに振り回されることなく信念を貫き通して現実の困難を乗り越えるべく実践する『胆識』を持つことです。
これらの困難を乗り越え自らの功績に執着し会社のポストにしがみ付くことなく退任の記者会見で語った言葉は「私がやるべきことは終わった」21年間の経営の苦難の舵取りを一人で担ってきたトップの見事な引き際を見ることができました。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第436話< 三井不動産 >です。
(*写真はイメージです)不動産部門の役割を徹してきました1941年7月に<三井>から不動産部門を分離され<三井不動産>として設立しました。
1956年10月に財閥解体に伴って清算中だった<三井本社>を吸収合併しました。
1960年7月に<京成電鉄>などと共同出資し<オリエンタルランド>を設立しました。
1969年7月に<三井不動産販売>を設立しました。
1974年10月に<三井ホーム>を設立しました。
1981年4月にショッピングセンター『ららぽーと』が営業を開始しました。
1983年4月に<オリエンタルランド>が『東京ディズニーランド』を開業しました。
2007年9月に『東京ミッドタウン』を竣工しました。
2007年7月に<ヤマハ>所有の4リゾート施設を取得しました。
<三井不動産>のビジネスモデル2019年10月に『三井ショッピングパーク ららぽーと沼津』がオープンしました。
30~40代の子育て世代を中心に幅広い層をターゲットに据え従来の『ららぽーと』の業態より食やエンターテインメントをさらに拡充させました。
2019年10月に『三井アウトレットパーク横浜ベイサイド』を翌年4月にオープンすると発表しました。
店舗数は2倍以上の約170店舗に増やしボルダリングなど体験施設も新たに設け長時間滞在できる施設を目指します。
2019年11月に千葉県で『柏ITS推進協議会』は自動運転バスの実証実験を開始しました。
自動運転の走行距離はつくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅と東京大学柏キャンパスの間の公道を含む約2.6キロメートルの運行ルートのうち約1.2キロメートルを自動運転の走行へ切り替えます。
2019年11月に社会人の学びの機会の充実を図るため<ベネッセ>と連携します。
<三井不動産>の『ワークスタイリング』で講師を招くイベントなどを開催しシェアオフィスにおける学びの機会を充実させ利用者の満足度を高める考えです。
2020年1月にインドで初めてオフィスビル開発に参入すると表明しました。
現地の大手デベロッパーと組み2023年までにバンガロール市内で合計4棟を完成します。
バンガロール市は IT産業の集積都市で世界の大手企業などが相次ぎ拠点を設置しており高まるオフィス需要を取り込む狙いです。
2020年2月に入荷から出荷まで人が介在しない自動物流モデルの施設を開設しました。
物流施設『MFLP船橋』に入居企業などに向けて自動化や効率化を提案する物流モデルの展示施設を開設しました。
2020年5月に『2021年3月期』の連結純利益が前期比35%減の見通しと発表しました。
新型コロナウイルスの感染を防ぐため『ららぽーと』やホテルなどの施設が休業していることが響いています。
2020年5月に『MIYASHITA PARK』のホテルと商業施設の開業延期を発表しました。
新型コロナウイルス感染拡大防止に関するガイドラインなどを踏まえ準備が整い次第新たな開業日を決定します。
2020年7月に新型コロナウイルス後も見据えた新サービスを導入すると発表しました。
共有部分に個室付きのテレワークスペースを設けるほか各部屋では仕事部屋に間取り変更できるプランを用意します。
2020年秋に東京・勝どきにニューノーマルの時代を見越して2棟の高層マンション『パークタワー勝どきミッド サウス』を販売します。
2020年8月に台湾で『三井ガーデンホテル』を開業したと発表しました。
初めての海外出店となり現地のニーズを生かしつつ大浴場など日本らしさも取り入れました。
2020年9月に生命科学分野の交流や連携を促す拠点を大阪市内に開設したと発表しました。
遠隔地と同時中継で結べる会議スペースやサテライトオフィスなどを設け関西の大学や企業が持つ創薬の種などを事業化しやすくし産学官連携のイノベーション創出につなげる狙いです。
2020年10月に旗艦物件の『新宿三井ビルディング』を売却すると発表しました。
不動産投資信託の<日本ビルファンド投資法人>に1700億円で売却すると発表しました。
都心部の再開発などで保有物件が増え一部を現金化して運用効率を高める考えです。
2020年11月に京都で自社ブランド初の高級ホテル『ホテル ザ 三井 京都』を開業しました。
これにより大手不動産会社で初めてホテル事業で1万室を達成しました。
2020年11月に<東京ドーム>に株式公開買い付けをかけると表明しました。
イベント会場やホテルなど都心に広大な不動産を持つため不動産開発などで連携する考えです。
2021年1月に新型コロナウイルスの感染拡大が続き社員の出社率を10%に引き下げました。
政府が企業に出勤者数を7割減らすよう要請するなか通勤による移動やオフィスでの会議を減らし感染防止を徹底する考えです。
2021年2月に30施設以上持つホテルを対象にした新たな宿泊プランを発表しました。
一つのホテルを定額料金で長期滞在するプランと好みのホテルを選んで泊まる形の2種類を用意し『サブ住む』と題した2種類の定額制プランを始めます。
新型コロナウイルスを機に働き方が多様化するなか生活者のニーズに合った住まいの在り方も提案します。
2021年3月に中国・上海市に『ららぽーと』を開業すると発表しました。
『ららぽーと上海金橋』は上海東部で発展が続く浦東エリアに開業します。
海外初となる『ららぽーと』ですが経済成長が続く中国への進出でさらなる事業拡大を目指し今後はマレーシアを含めた東南アジアで『ららぽーと』を増やす考えです。
今日の企業事例である<三井不動産>を少し俯瞰して見てみましょう。
2021年3月に<帝国ホテル>は旗艦の『帝国ホテル東京』を建て替えると正式発表しました。
筆頭株主の<三井不動産>がタワー館の一部用地を取得し新館を共同で建設します。
ホテルが立地する日比谷・内幸町周辺の再開発も<三井不動産>など10社共同で取り組むことを発表しました。
新たな街づくりとして最新技術を持った企業などが集まるビジネス拠点も整備し隣接する日比谷公園や駅などと連携し高度な防災拠点にも位置付ける考えです。
<東京ドーム>を完全子会社化し<読売新聞グループ>と連携し複合施設『東京ドームシティ』の再開発などを進める考えです。
2022年以降には新たに7棟の物流施設を新規開発すると発表しました。
新型コロナウイルスの影響で急速に拡大する電子商取引需要に対応します。
これまでは郊外が中心でしたが都心部にも建設するほか業務効率化のため機械化や自動化を加速させます。
その一方で在宅勤務の普及などを受けて企業のオフィス縮小が相次ぎオフィス賃貸事業の先行きに対する懸念が高まっています。
「21年度中は新型コロナと共生する流れが続くと考えている」と<三井不動産>の菰田正信社長は述べています。
ネット消費の拡大といった『社会構造の変化』とwithコロナの時代の『新しい生活様式』や『働き方改革』などによる行動変容に対応させたビジネスモデルの再構築が当面の課題となっています。


