手元にある資金を有効的に活用していますか?
スタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェル氏が50年にわたって行った実験です。
ビング保育園の4歳の園児たちにマシュマロ1個を今すぐもらうかそれとも最長20分待ってマシュマロを2個もらう方を選ぶか選択させました。
マシュマロを1個テーブルに置き脇にある卓上ベルを鳴らして研究者を呼び戻し1個のマシュマロを食べてもOK。
しかし研究者が戻るまでの20分の間に席を離れたりマシュマロを食べ始めなければ2個のマシュマロがもらえます。
4歳児たちのことですからお菓子を食べたいという生理的欲求のほうがそれを我慢しようとする自己抑制や理性を圧倒してしまいます。
実験の結果は全体の3分の2が食べたいという欲求に負けてしまいます。
自己抑制によって生理的欲求に打ち勝つグループは全体の3分の1です。
その後の50年にわたる追跡調査を見てみると以下の結果になりました。
- 大学進学適正試験の点数が良い
- 中年になったときの肥満指数が低い
- 自尊心が高い
- ストレスにうまく対処する
この『マシュマロ実験』によって将来のより大きな成果のために自己の衝動や感情をコントロールし目先の欲求を辛抱する能力が人の社会における成功に重要であることが判明しました。
『今だけ、金だけ、自分だけ』の発想は『サステナビリティ経営』の発想と真逆であることが実証されています。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第441話<日野自動車>です。
(*写真はイメージです)トラック・バスなどの商用車メーカー1910年に<東京瓦斯工業>が創立しました。
1913年に<東京瓦斯電気工業>と社名を変更しました。
1937年に<石川島自動車製作所><ダット自動車製造>と3社合併し<東京自動車工業>を創立しました。
1942年に<日野製造所>が分離独立し<日野重工業>を発足しました。
1959年に<日野自動車工業>と社名を変更しました。
1966年に<トヨタ自動車>と業務提携しました。
1999年に工販合併により<日野自動車>と社名を変更しました。
2003年に<いすゞ自動車>とバス部門を経営統合<ジェイ・バス>を設立しました。
2018年に<フォルクスワーゲン>のトラック・バス部門の<トレイトン>と電動トラックでの提携を発表しました。
2019年に<MONET Technologies>と資本・業務提携しました。
*<MONET Technologies>は<トヨタ自動車>と<ソフトバンク>の共同出資会社です。
<日野自動車>のビジネスモデル2019年12月に東名阪地区を結ぶ高効率な幹線輸送を共同で事業化すると発表しました。
<アサヒグループホールディングス>や<江崎グリコ>など6社が共同で専用トラックの空きスペースに効率的な混載パターンを算出し一般的に4割とされる積載効率を6~7割に引き上げる狙いです。
商用車メーカーと荷主や運送会社が業種を越えてトラックの積載率向上やドライバーの健康管理といった課題に取り組みます。
2019年12月に物流大手の<トランコム>との資本業務提携の締結を発表しました。
<トランコム>の手掛ける空車情報と貨物情報を集めてマッチングする知見を生かし積載率を向上させてより効率よく貨物を運べる仕組みを構築する考えです。
2020年3月に燃料電池大型トラックの共同開発を始めたと発表しました。
<日野自動車>の大型トラック『日野プロフィア』をベースに車両走行制御を生かし燃料電池システムと制御を<トヨタ自動車>が手掛けます。
2020年中に約600キロメートルの航続距離を持つ試作車の開発を目標にしています。
2020年3月に<トレイトン>と電動プラットフォームを共同企画すると発表しました。
独フォルクスワーゲン傘下のトラック・バス子会社である<トレイトン>と電動化においてモーターなど必要となる要素やそれらの制御などを企画します。
2社で共通化することで開発費用を抑えるほか迅速な実用化を目指します。
2020年4月に首都圏の東京・神奈川・千葉3都県の販売会社を統合すると発表しました。
<東京日野自動車><横浜日野自動車><千葉日野自動車>の3社が2021年なかごろに統合します。
販売会社を広域化することでニーズに柔軟に対応できるようにし顧客の利便性を高める考えです。
2020年4月にトラック運転手に睡眠の質を改善するようアドバイスするアプリ開発を発表しました。
夜間の運行なども多いドライバーに対して普段の睡眠の改善を促し安全運転につなげる狙いです。
2020年4月に中国の電気自動車大手<比亜迪>との電動トラックなどの開発を発表しました。
トラックやバスなど個別車種の開発を進めるほか電気自動車の普及促進に向けて整備や運行支援バッテリーのリサイクルなど周辺事業での協力も検討します。
2020年5月に発表した『2020年3月期』の連結純利益は前期比43%減でした。
主要市場であるインドネシアの販売減少などの影響を受けました。
2020年5月に資本業務提携する<Hacobu>との物流データの連携開始を発表しました。
トラックの居場所などのデータを物流の関係事業者がオープンに共有できるようにすることにより倉庫作業の準備など一連の流れを効率化する狙いです。
2020年6月に企業連携による幹線輸送での混載に新たに3社が参画すると発表しました。
<ニチレイロジグループ><日本梱包運輸倉庫><三菱UFJリース>の3社が加わります。
運転手不足が問題となるなか混載を進め効率的な物流網の構築を目指します。
2020年8月にトラックメーカー4社が物流の効率化で隊列走行する協力を表明しました。
トラック運転手など人手が不足する物流業界では効率化の必要性が高まっていて異なるメーカーの車同士でも車間幅を一定に制御できる車両を2021年までに投入する考えです。
2020年10月に北米市場向けに水素燃料電池で走行する大型トラックの共同開発を発表しました。
<日野自動車>が北米で販売する大型トラック『XLシリーズ』をベースに<トヨタ自動車>が開発する燃料電池を搭載し2024年までに量産化を目指します。
2020年10月に北米でのトラック開発のロードマップ『プロジェクトZ』を発表しました。
<トヨタ自動車>と燃料電池車の大型トラックを共同で開発し2021年前半をめどに試作車両を開発する考えです。
『プロジェクトZ』は小型トラックから大型トラックまで排出ガスをゼロにする取り組みで燃料電池車のほか電気自動車のトラックなどの開発・設計も行います。
2020年11月に大型ダンプトラックの自動運転の実証実験を始めたと発表しました。
<大林組>が進めるダム建設現場に自動運転技術を搭載した<日野自動車>の大型ダンプトラックを1台投入して夜間の資材の運搬などを行います。
特定の場所で完全にシステムに運転を任せる『レベル4』に相当します。
2021年3月に<トヨタ自動車>と<いすゞ自動車>との3社で提携すると発表しました。
燃料電池車は電気自動車より航続距離が長いため小型トラックを中心に普及すれば物流の効率化につながり易くなります。
2021年4月に発表した『2021年3月期』の連結決算は最終損益が74億円の赤字でした。
新型コロナウイルスの感染拡大でトラックの販売台数が大幅に減少したほか北米工場の生産停止にかかる費用を特別損失に計上しました。
2021年6月には親会社である<トヨタ自動車>出身の小木曽聡顧問が代表取締役社長に就任する予定です。
今日の企業事例である<日野自動車>を少し俯瞰して見てみましょう。
2021年5月に<関西電力>と共同出資会社を設立します。
物流事業者などに電動車トラックやバスの導入が進むことを見込み車両の契約から充電設備の設置電力の使用契約までを一括して請け負う月額サービスを提供する狙いです。
電気自動車の商品化として初となる小型電動トラック『日野デュトロ Z EV』を2022年初夏に市場投入すると発表しています。
物流業者の配送拠点から目的地までのラストワンマイル輸送での用途を想定し航続距離は100キロメートル以上としています。
国内の運輸部門における二酸化炭素の排出量の4割近くをトラックが占めています。
<トヨタ自動車><いすゞ自動車>との3社で連携したことは『脱炭素』に向けてだけではなく『CASE』への対応でも新たな取り組みが可能になります。
(CASE=つながる車、自動運転、シェアリング、電動化の頭文字)トラックの運行管理など物流の効率化や省力化につながるサービスが一元化すれば顧客にとってもメリットは大きくなります。
「新型コロナウイルス禍で物流業界に様々な課題があることを感じている」「現場を知れば知るほどやるべきことがありたとえば車両データの連携に課題がある」「提携は新たな一歩カーボンニュートラルは責任を持って取り組みたい」と<日野自動車>の下義生社長は述べています。
2020年12月には東京都が2030年までに都内で販売される新車すべてをハイブリッド車や電気自動車などの電動車に切り替える方針を示しました。
自動車業界における『100年に一度の大転換期』を迎え業界の再編も睨(にら)んだなかでどこまで独自性を守りながら生き残っていけるか。
自動車業界全体のビジネスモデルの大変革の波を泳ぎ切ることを願っています。


