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ブログ / 事業家の羅針盤

第21話 事業計画書の書き方 - 銀行が融資したくなる計画とは

想いが強い計画書ほど、銀行の審査に通りにくくなる

2026年6月25日 執筆:渡邉ひとし

日本銀行が2024年以降、段階的な利上げを進め、政策金利は1.0%に達しました。

融資審査の厳格化を感じるという声が、中小企業の経営者から増えています。

「丁寧に想いを書いたのに、審査が通らなかった」

そうした経営者の声を聞きます。

原因は、計画書の内容が不誠実だからではありません。

銀行が必要としている言語で書かれていないからです。

銀行は「経営者の想い」を否定しているわけではありません。

ただ、融資判断に使えるのは数字だけです。

想いをいかに数字に変換するかが、計画書の核心です。

今日は、銀行が計画書で確認する数字の組み立て方と、信頼を高めるリスクの示し方をお話しします。

想いが強い計画書ほど、銀行の審査に通りにくくなる

「地域の役に立ちたい」「良い商品を届けたい」という言葉は、経営者として正しい想いです。

ただし、それが計画書の中心になるほど、銀行の担当者には判断の根拠が薄くなります。

銀行が融資を決める根拠は1点だけです。

貸したお金が返ってくるかどうかです。

その判断に使えるのは、「売上の根拠」「利益の構造」「返済に回せる資金の見通し」という3つの数字です。

この3点を、数字で説明する姿勢が求められます。

売上の根拠を示すには、売上を分解する作業が必要です。

売上は「客数×客単価×購入頻度」の掛け算で組み立てます。

この3要素それぞれに根拠があれば、計画の説得力は変わります。

既存事業であれば過去の実績データが使えます。

創業前であれば、「商談記録」「試験販売の結果」「問い合わせ件数」が根拠として機能します。

経営コンサルタントとして延べ1,200件超の経営支援に携わってきました。

その経験から言えば、融資で弾かれる計画書には共通点があります。

事業説明が長く、売上の内訳がない点です。

想いを削れという話ではありません。

想いを数字に変換する作業が抜けているという話です。

【モデル事例】

関西圏の老舗漬物メーカーへの支援では、事業再構築の局面で計画書を一から組み直しました。

当初の計画書は「食文化を守りたい」という理念と販路拡大の方向性が中心で、売上予測の数字に内訳がない内容でした。

そこで既存顧客の平均単価、購入頻度、継続率を洗い出しました。

新規ルートごとの見込みも数字で積み上げました。

計画書の中身が変わると、金融機関との対話がスムーズに進むようになりました。

その後、事業再構築が進み、年商は3年で2倍以上に伸長しています。

想いは変わらず、数字の言語に変換しただけで、結果は変わりました。

リスクを隠す計画書は、経営者の判断力を疑わせます

「リスクを書くと不利になる」という思い込みは根強くあります。

しかし、銀行の担当者はリスクを隠す計画書を見慣れています。

だからこそ、リスクが一切書かれていない計画書には、違和感を覚えます。

問題が起きないビジネスは存在しません。

リスクの記述がない計画書は、「問題を想定していない」か「問題を隠している」かのどちらかに見えます。

どちらも、経営者として「信頼を失う根拠」になります。

想定すべきリスクには、「売上の未達」「仕入価格の上昇」「主要取引先への依存」などがあります。

  • 固定費の見直し
  • 販売先の分散
  • 毎月の資金繰り確認

こういった対策でも、実行の意志が伝わる内容であれば評価につながります。

30代の広告制作の現場で、誰も見ていない場面での誠実な行動が、長期的な信頼を生むという原則を学びました。

事業計画書でも同じで、不都合なリスクをあえて開示する誠実さが、融資担当者の信頼を作ります。

【モデル事例】

経営の現場で繰り返し目にするのが、リスク対策が空欄のまま審査に臨むケースです。

サービス業のA社の計画書が、楽観的な売上予測で埋まる一方、収益が落ち込んだ際の対応が一切記載されていない場面があります。

そこで支援に入り、計画書に3点を追加しました。

「主要顧客への売上依存リスクの明示」「受注単価の下限設定」「運転資金の確保目標」の3点です。

すると、金融機関との面談の空気が変わりました。

弱みを開示して対策を示せば、経営者としての判断力が伝わります。

そのような計画書が、銀行に信頼される根拠になります。

【事業家の羅針盤:判断軸の磨き方】今日のまとめ

銀行は経営者の想いを否定しているわけではありません。

ただ、想いは融資判断の根拠にはなりません。

計画書に求められるのは、「売上を分解して根拠を示す作業」と「リスクを開示して対策を示す姿勢」の2点です。

この2点が揃えば、計画書は資金を借りるための書類から、事業を前進させる経営の道具に変わります。

「誰に、何を、いくらで、どの頻度で売るのか」という問いに、数字で答える姿勢から始めてください。

計画書は書いて終わりではありません。

定期的に見直し、経営の判断軸として使い続けてください。

*次回の予定7月から、月曜日から金曜日のブログを全面的に変更します。AI時代の到来に伴い、組織変革+経営戦略+AI戦略の観点から執筆していきます。

引き続き、どうぞ宜しくお願いいたします。

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渡邉ひとし
渡邉 ひとし株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役/持続型経営コンサルタント

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