SDGsに取り組んでいますと発信しても売上も粗利も変わらない。
資料作成や認証対応が増えるだけで現場の負担だけが積み重なっています。
こうした悩みを抱える中小企業の経営者は決して少なくないはずです。
原因は明確です。
SDGsを社会貢献活動のリストとして扱い経営課題と切り離しているためです。
解決策は誰のどの課題を本業で解決し
どこで利益を得るかという視点でSDGsを設計し直すことにあります。
この視点が重要なのはSDGsがすでに
- 取引先の調達基準
- 採用市場
- 金融機関の評価軸として機能しているからです。
対応が遅れれば取引縮小や採用難というリスクが現実になります。
今回はSDGsを儲かる経営戦略に変える5つのステップを解説します。
SDGsがコストで終わる中小企業の共通パターン
帝国データバンクの調査によるとSDGs達成企業の約7割が効果を実感しています。
しかし効果の内容として最も多いのは企業イメージの向上です。
収益の増加を実感している企業は1割程度にとどまります。
つまりやっているだけでは収益に直結しにくい現実があります。
利益につながらない企業には3つの共通パターンがあります。
(1)取り組み項目の羅列
ゴミ分別、節電、地域清掃、寄付名の項目を並べるだけでは
粗利や売上への導線が設計されていません。
活動が増えるほど現場は忙しいのに追加作業が増えたと感じるだけで終わります。
(2)顧客価値への翻訳不足
環境に配慮していますは顧客の購買判断の理由になりません。
- リードタイムの短縮
- 不良率の低下
- 総コストの削減など
営業担当者が商談で使える言葉に変換する必要があります。
(3)数値で管理しない運用
目標値を設けずに活動を続けると担当者が替わった瞬間に形骸化します。
金融機関への説明でも数字を出せなければ評価を得られません。
【モデル事例】
金属加工業のA社では自社サイトにSDGs宣言を掲載し社内ポスターも掲示しました。
しかし現場では報告作業が増えたと受け止められ協力は途絶えました。
取引先から環境方針を問われても回答は抽象的な内容に留まりました。
品質改善や歩留まり向上とSDGsが接続されていなかった点が形骸化の直接的な原因です。
活動を増やす前に何と何を結びつけるかを先に決めておく必要があります。
SDGsを利益に変える5つのステップ
SDGsを儲かる仕組みに変えるには出発点を変える必要があります。
17の目標を眺める作業から始めるのではなく自社の経営課題から逆算して設計します。
ステップ1:経営課題を1つに絞る
原価高騰、採用難、離職率の上昇、下請け構造からの脱却など
今の経営に直結するテーマを1つ選びます。
この課題と結びつかないSDGsは意思決定の場で優先順位が上がりません。
ステップ2:顧客の言葉に翻訳する
廃棄ロスの削減はリードタイムの短縮に変換できます。
不良率の改善は再加工ゼロの安定供給として表現できます。
営業担当者が商談で使えるレベルまで言葉を落とし込む点が最大のポイントです。
ステップ3:本業のプロセスに組み込む
環境に配慮するという表現では行動に移せません。
端材回収率を月次で管理するのように変更点を工程レベルで特定します。
製造業なら材料規格、検査基準、梱包仕様が対象になります。
ステップ4:利益の出どころを1つ決める
- 継続契約の増加
- 廃棄コストの削減
- 採用コストの圧縮
これらの中で数値で追える指標を最低1つ設定してください。
利益の出どころが曖昧なままでは社内の優先順位は上がりません。
ステップ5:一文に整理する
当社は〇〇の課題を△△の方法で解決し□□の利益を生み出す
この一文が言えない限り会議のたびに方針がぶれます。
全社員が同じ方向を向くための基準として機能させてください。
【モデル事例】
原材料費の圧迫と取引先からの値引き圧力が重なった
製造業のB社が廃棄ロス削減を軸に据えました。
材料規格と検査工程を見直して再加工の発生を抑え歩留まりを改善しました。
「廃棄が少ない製造による安定供給」を顧客への提案として活用した結果価格だけで競う商談の割合が減りました。
起点を環境貢献ではなく
経営課題の解決に置いたのが利益に直結した要因です。
今日のまとめ
SDGsが利益につながらない最大の原因は活動の羅列に終始している点にあります。
今回解説した5つのステップは経営課題を起点にSDGsを設計し直す手順です。
顧客の言葉に翻訳し本業のプロセスに組み込み利益の出どころを数値で管理する。
この手順を踏んだ企業では売上、採用、信用の面で効果が出始めています。
SDGsを善意や社会貢献の文脈だけで捉える姿勢は
今後の取引、採用、金融評価で不利になります。
取引条件や採用評価の軸として冷静に位置づけ直し本業と結びつけて動き出してください。


