【ミドルシニア世代の智慧 =変革の羅針盤=】

いつもお読みいただき有難うございます。

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デジタル全盛の時代だからこそ、立ち止まって見つめ直すこと

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これまでビジネスシーンを支えてこられたミドルシニア世代の皆さまは、

毎日、家族のために 会社のために、奮闘されていると思います。

今日も、何かのヒントになればとの想いをメッセージに込めて送ります。

近年のマーケティングの世界は、インターネットやAIといった、

デジタル技術が目覚ましい発展を遂げ、

まるで少年の頃に観た、SF映画のような様相を呈しています。

若い世代のマーケターたちは、最新のツールを駆使し、データを分析し、

目まぐるしく変化するトレンドを追いかけています。

もちろんデジタルマーケティングは、現代において不可欠な要素です。

しかし、情報が溢れかえる現代だからこそ、私たちは立ち止まって、

マーケティングの本質を、改めて見つめ直す必要があるのではないでしょうか。

特に長年のビジネス経験を通じて、顧客と向き合ってきた

ミドルシニア世代の皆様が持つ、顧客の深層心理を理解する力は

デジタルツールでは代替できない、唯一無二の武器だと確信しています。

これまで培ってきた貴重な経験を、

現代のマーケティングに、どのように活かすべきかを、事例を交えながら紐解いていきます。

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数値の奥に潜む「感情」を見抜く力、ベテランの勘は科学を超える

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最新のマーケティングでは、顧客の年齢・性別・購買履歴、ウェブサイトの閲覧履歴など、

様々なデータが取得され分析されます。

これらの数値データは、顧客の行動パターンを把握する上で非常に重要です。

しかし、顧客の購買行動の裏側には、

数値だけでは決して見えてこない「感情」が存在します。

「なぜこの商品を選んだのか?」

「何に不満を感じているのか?」

「本当に求めているものは何か?」

顧客の心の奥底にある動機や欲求こそ、マーケティングの本質を捉える上で、

最も重要な要素と言えます。

ここで、ミドル・シニア世代の長年の経験が生きてきます。

例えば、かつての営業活動を思い出してみてください。

顧客との対面での会話、電話でのやり取り、手紙の文面…など

そうしたコミュニケーションの中で、数値データだけでは決して知り得ない、

顧客の細やかな感情の動きや、言葉の裏に隠された本音を、感じ取ってきたはずです。

「なんだか今日は元気がないな」

「この提案には乗り気ではないようだ」

「本当はもっと別のことを気にしているのではないか」…など

長年の経験によって培われた「勘」や「空気感を読む力」は、

顧客の深層心理を理解するための、まさに『強力なツール』です。

AIがどれほど高性能になったとしても、

人間の微妙な感情の機微を、完全に理解することは困難です。

 

<営業マン:田中さんの場合>

新商品の提案に訪れた顧客の表情が、曇っていることに気づきました。

データ上では興味を持っているように見えたのですが…

「何かご心配な点でも、ございますでしょうか?」と声をかけました。

すると、顧客は予算に関する不安を打ち明けてくれました。

田中さんは予算内で実現できる別のプランを提案し、

最終的に契約に結びつけることができました。

もしAさんがデータだけを信じて提案を進めていたら、

契約を逃していたかもしれません。

 

<ベテラン店員:斉藤さんの場合>

いつも賑わっている店内で、一人寂しそうな表情をしている高齢の女性に気づきました。

斉藤さんはそっと近づき「何かお探しですか?」と声をかけました。

その女性は、亡くなったご主人のために、何か良いものはないかと探していました。

斉藤さんは、女性の気持ちに寄り添いながら、商品を選び心温まる言葉をかけました。

その女性は、その後も、何度も店を訪れる常連客となりました。

これらの例からもわかるように、数値データだけでは捉えきれない

顧客の感情に共感し、真のニーズを理解する力こそ、

ミドルシニア世代が持つ強みなのです。

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経験知を現代のマーケティング戦略に、どのように活かすか『温故知新の発想』

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では長年の経験を通じて培ってきた顧客理解の深さを、

現代のマーケティング戦略に、どのように活かせば良いのでしょうか?

 

《ペルソナ設定の深化》

単なる年齢や年収といった属性データだけでなく、

皆様が過去に接してきた顧客の具体的な言動・価値観、

ライフスタイルなどを思い起こし、

よりリアルで血の通ったペルソナ(理想の顧客像)を、作り上げることが重要です。

過去の成功した時の顧客、

あるいは課題を抱えていた顧客の顔を思い浮かべながら、

その人の悩みや願望を深く掘り下げてみてください。

 

<健康食品メーカーの場合>

50代男性向けの新しいサプリメントを開発する際、

過去の顧客データだけでなく、長年顧客相談窓口を担当してきた、

ベテラン社員の意見を参考にしました。

その社員は健康への不安だけでなく、

若い頃のような活力を取り戻したいという、潜在的なニーズがあると指摘しました。

この意見を踏まえ、商品の訴求ポイントを、

「健康維持」だけでなく、「活力向上」にも広げたところ、大きな反響を得ました。

 

《コミュニケーション戦略の再構築》

デジタルツールを活用した効率的なコミュニケーションは重要ですが、

電話や手紙、さらには対面といった、

より人間味のあるコミュニケーションを、取り入れることも検討すべきです。

特に、顧客との信頼関係を構築する上では、

直接的なコミュニケーションが大きな効果を発揮します。

 

<老舗呉服店の場合>

顧客へDMを送る時に画一的な内容ではなく、

一人ひとりの購入履歴や好みに合わせた、

手書きのメッセージを添えるようにしています。

手間はかかりますが顧客からは、

「自分のことを覚えていてくれている」と感謝され、

長期的な信頼関係の構築に繋がっています。

 

《顧客体験(CX)デザインへの貢献》

顧客が商品やサービスに触れる、全ての接点において、

心地よい体験を提供することが重要です。

培ってきた「おもてなしの心」や、「相手の立場になって考える力」は、

顧客体験をデザインする上で貴重な視点となります。

 

<ホテルチェーンの場合>

顧客からのアンケートで、

「チェックイン時の待ち時間が長い」という不満が多く寄せられました。

そこで、

長年フロント業務に携わってきたベテラン社員に改善策を求めたところ、

「ウェルカムドリンクを提供する」

「簡単な周辺情報を伝える」

「笑顔で声をかける」

といった、

ささやかながらも顧客の不安を和らげるアイデアが出されました。

これらのアイデアを実行した結果、顧客満足度が大幅に向上しました。

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経験知を次世代へ、受け継がれるマーケティングの魂

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ミドルシニア世代が持つ貴重な経験知は、

組織全体のマーケティング力を底上げするだけでなく、

次世代のマーケターへと、受け継いでいくべき大切な財産です。

顧客の感情の機微を理解したり、状況に応じて柔軟に対応したり、

といった経験は、不足していることもあると思います。

皆様の経験に基づいた知識や洞察力を、

OJTやメンター制度などを通じて若い世代に伝えていくことこそ、

組織全体のマーケティング力を向上させる上で不可欠です。

 

<BtoB企業の場合>

若手マーケターが、顧客への提案資料を作成する時には、

必ずベテラン営業マンのレビューを受けるようにしています。

ベテラン営業マンは、顧客の業界知識や過去の取引経験を踏まえ、

「この表現は顧客に響かないかもしれない」

「この情報はもっと強調すべきだ」

といった具体的なアドバイスを送ります。

これにより提案の質が向上し、成約率の向上に繋がっています。

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経験という名の羅針盤を未来のマーケティングへ

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デジタル技術が進化し続ける現代でも、顧客の深層心理を理解する力は、

マーケティングにおいて、決して色褪せることのない重要な要素です。

長年のビジネス経験を通じて、顧客と真摯に向き合ってきた、

ミドルシニア世代の皆様が持つ経験知は、

まさに、最強のマーケティングツールと言えます。

マーケティング戦略に積極的に活かし、次世代へと繋いでいくことこそが、

変化の激しい現代において、企業が持続的に成長していくための、

重要な鍵となると確信しています。

 

*次回の発行は、4月29日火曜日の予定です。

『成熟市場におけるビジネスモデルの再構築』

次回もどうぞ宜しくお願いいたします。

http://mirai-design-company.co.jp/

 

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