ミドルシニア世代の智慧『変革の羅針盤』

第5話
【長年の経験が招く人間関係の袋小路:
ベテラン社員の危機】
いつもお読みいただき有難うございます。
組織変革コンサルタント
経営戦略コンサルタント
の渡邉ひとしです。
「私の経験が理解されない」
「最近の若手は言うことを聞かない」
S製薬の研究開発部で
27年のキャリアを持つ村田部長(58)は
定例会議の後、そう呟きました。
豊富な専門知識と実績を持つ村田部長ですが
ここ2年で部内の雰囲気が変わり
かつての信頼関係が
崩れ始めているのを感じています。
自分の提案が通らなくなり
部下からの相談も減少しています。
人事評価では
「コミュニケーションに課題がある」
と指摘され困惑と怒りが
入り混じる日々を送っています。
村田部長だけではありません。
多くの企業でベテラン社員が
「見えない壁」に直面しています。
豊富な経験が武器になるはずが
なぜ人間関係の障害に
なってしまうのでしょうか。
今日は経験豊富な社員が陥りやすい
人間関係の課題と
その打開策を考えていきます。
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「経験依存バイアス」が生む対話の断絶
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ベテラン社員が直面する最も根本的な問題は
長年の経験が逆に「思考の枠組み」を
固定化させてしまうことです。
大手電機メーカーの技術部門で
20年以上勤務する佐々木課長(55)は
新規プロジェクトの会議で
若手エンジニアから
革新的な提案を受けました。
しかし彼は
「それは10年前に試して失敗している」
と一蹴したことで
若手は
「詳細が違うのに
なぜ話を聞いてくれないのか」
と不満を募らせています。
佐々木課長にとっては
「効率化のため」の発言でも
若手にとっては
「可能性を潰された」と感じます。
この認識のズレこそが
「経験依存バイアス」の本質です。
多くのベテラン社員は
自分の判断基準が「経験則」に
依存していることを自覚していません。
結果として
·「分かっているはずだ」
と説明を省略する
·失敗例を挙げて
新しいアイデアを否定する
·「昔はこうだった」
を会話の中心にする
これらの行動が若手との対話を遮断し
「話しづらい人」という
レッテルを生み出しています。
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評価される立場への転換拒否
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長年組織で「教える側」だった人が
「評価される側」に転換する際の
心理的抵抗も深刻な問題です。
IT企業のシステム部で働く
田中マネージャー(52)は
最近の360度評価で
「意見を聞き入れない」
「指示が一方的」という
厳しいフィードバックを受けました。
田中マネージャーの反応は
「若手は経験不足なのに
自分を評価する資格があるのか」
というものでした。
これは単なるプライドの問題ではなく
アイデンティティの揺らぎです。
「教える側」から「学ぶ側」への転換を
受け入れられない心理状態が
若手からの有益なフィードバックすら
拒絶してしまうのです。
同様の状況は多くの企業で見られます。
・フィードバックを
「礼儀知らず」と感情的に捉える
・若手の評価者に対して
過剰に防衛的になる
・「自分が教えた側」という立場に固執する
この心理的ブロックが成長の機会を失わせ
職場での孤立を加速させています。
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変化への抵抗が招く情報の断絶と孤立
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ベテラン社員の孤立は
突然起こるものではありません。
徐々に進行する
「情報の断絶」が背景にあります。
金融機関で営業部長を務める高木さん(57)は
最近になって
「重要な決定が自分抜きで進んでいる」
と感じるようになりました。
実は高木部長は新しい
コミュニケーションツールの導入に消極的で
「直接話せばいい」と主張していました。
結果として
チャットやオンライン会議での
情報共有から取り残され
次第に意思決定の輪から外れていきました。
これは非常に典型的なパターンです。
デジタルツールの活用に消極的になる
「昔のやり方」に固執し
新しい方法を拒絶する
情報共有の場に参加しなくなる。
そして最も問題なのは…
多くのベテラン社員が
「自分が疎外されている」と
被害者意識で捉え
さらに態度を硬化させてしまうことです。
ある保険会社の人事担当者は
「孤立しているベテラン社員に共通するのは
自分は変わらなくていいという思い込みです」
彼らは会社や若手が変わるべきだ
と考えていますが
それでは状況は改善しません」
と述べています。
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まとめ:
経験を「壁」から「橋」へ転換する
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ベテラン社員の人間関係改善に必要なのは
「自分の役割の再定義」です。
長年の経験を
若手を批判する材料ではなく
「組織の成長に貢献する資産」と
捉え直すことから始まります。
具体的には
・経験則を「これが正解」ではなく
「一つの選択肢」として提示する
・フィードバックを「攻撃」ではなく
「視点の提供」として受け止める
・オンライン会議システムなどの
新しい情報共有の仕組みを積極的に使い
会話の輪に自ら入っていく
成功しているベテランに共通するのは
「自分の経験を絶対視しない謙虚さ」
と「新しい環境への適応力」です。
豊富な経験は使い方を誤れば
人間関係の「壁」になりますが
適切に活用すれば
組織内の「橋」となります。
経験を「過去の栄光」として
抱え込むのではなく
若手との「共有知」に
変換できるかどうかが
これからのキャリアの価値を決めます。
自らの姿勢を見つめ直し
役割認識をアップデートする
それが
経験豊富な社員に求められる
真の「変革力」なのです。
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*次回発行は5月20日火曜日の予定です。
次回は、<マーケティング>がテーマの
『デジタルマーケティングの基礎:
今さら聞けない用語解説と活用』です。
次回もどうぞ宜しくお願いいたします。
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・経営計画士、事業計画士
・ビジネスモデルコンサルタント
・SDGsビジネスコンサルタント
・経営心理士=組織心理士/顧客心理士/
ビジネスコミュニケーション心理士
・上級スピーチアップグレーダー
・対人関係アップグレーダー
・ハイパフォーマンス・コーチ
一般社団法人 空き家再生機構 /理事
岐阜県公認 /コミュニティ診断士
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<令和2年度迄>
中部大学 人文学部心理学科 非常勤講師
<令和元年度迄>
愛知産業大学 経営学部経営学科
造形学部デザイン学科・建築学科 非常勤講師
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<著書>
『ビジネスモデル虎の巻!』
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