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ブログ / AI経営の実践ガイド

第45話 「慎重な50代経営者」がジリ貧になる本当の理由──AIとの向き合い方を考える

2026年9月15日 執筆:渡邉ひとし

50代の経営者から、AIには任せられない判断があるという声を、私はよく聞きます。

その慎重さが、今の会社を守っているように見えて、実は静かに会社を追い詰めているとしたらどうでしょうか。

部下や若手社員がAIを使いこなす一方で、判断だけが社長の机で止まっている会社を、私は何度も見てきました。

画面の前で立ち止まる社長の姿は、部下から見れば、頼れる姿には映りません。

特に、後継者への引き継ぎを控えた会社ほど、この差は深刻になりやすいと感じています。

チェンジホールディングスの調査によると、生成AIにどこまで仕事を任せられるか尋ねたところ、20代は最終承認まで含めてAIに任せたいと答えました。

一方、50代は同じ問いに対して、慎重な姿勢を見せています。

この差を見て、私は正直、危機感を覚えました。

慎重な50代の経営者ほど、時代に乗り遅れ、経営がジリ貧になっていく可能性が高まるのではないかと感じたからです。

「石橋を叩いて渡る」という姿勢は、これまでの経営では美徳とされてきました。

しかし今、その前提自体が揺らぎ始めています。

電通グループ4社は同じ時期に、AIJESという新しい購買行動モデルを提唱しました。

蓄積・問答・判断・参加・評価という5つの段階で、生活者自身がAIと協働しながら情報収集から意思決定まで進める、という考え方です。

これが示しているのは、経営者がAIに慎重かどうかという以前の話です。

お客様の意思決定の進め方自体が、すでにAIを組み込む形へ変わりつつあるという現実があります。

経営者側の準備が整っていなくても、市場の側は先に動いてしまいます。

気づいたときには、選ばれる会社と選ばれない会社の差が、すでに固まっているかもしれません。

ここに、慎重さがそのまま停滞につながってしまう構造があります。

ただし、これはあくまで購買行動という一つの領域の話です。

業種や事業モデルによって、AIが入り込む速さや範囲は当然変わります。

すべての会社に同じ危機感を当てはめるつもりはありません。

とはいえ、判断を先延ばしにする理由として「慎重だから」を使い続けるのは、そろそろ危ういと思います。

先日、顧問先の会社を訪問する機会がありました。

前日に社長から会社の現況について連絡をもらいました。

訪問前にNotebook LMを使って、対策の考えと進め方を整理してから当日を迎えました。

限られた時間の中で、迷った点は多くありました。

どの対策を優先して伝えるか、どう伝えれば理解してもらえるか、どんな事例を話せば伝わるか、そして最終的に何を残せるか。

この4点を、限られた準備時間でどう整理するかに、一番頭を使いました。

経験や勘だけに頼ると、優先順位の判断がどうしても遅くなります。

こうした整理を、AIに任せず自分一人だけで抱え込む経営者は、まだ多いはずです。

私自身は、Notebook LMをこの整理を手伝う道具として使いました。

優先順位を考え、伝え方を言葉にし、事例の当たりをつける。

自分の頭の中だけで考えるより、道具を使って一度外に出しながら整理する方が、判断のスピードと精度が上がったように感じます。

当日は社長をはじめ参加者から、前向きな反応をいただけました。

ただ、これは道具の手柄ではありません。

何を優先し、何を判断するかを決めていたのは、最後まで私自身です。

道具に判断を預けたのではなく、判断の材料を整理する部分だけを任せた、という違いが大きいと思います。

私自身の考えとしては、AIをどう使うかより、AIを使って何を整理し、何を判断するかの方がずっと重要です。

道具が変わっても、経営者の判断を整理し、現場が動くところまで伴走するという軸は変わりません。

以前、支援先の丹羽悟さんから、印象に残る言葉をもらいました。

悩みを一瞬で解決するような人は、その場しのぎの対策でしかないという指摘でした。

そのうえで、基本を大切にしていると評価してもらいました。

目先の技術に振り回されず、判断の軸をぶらさない姿勢を、丹羽さんは見てくれていたのだと思います。

AIも同じだと思います。

慌てて飛びつくのも、慎重すぎて動かないのも、どちらも根本的な対策にはなりません。

基本を押さえたうえで、見極めながら使う。

それが本当に求められている姿勢だと思います。

慎重な姿勢自体は、悪くありません。

ただ、慎重さを理由に立ち止まったままでいるのと、慎重に見極めながらも動いてみるのとでは、結果がまったく違います。

市場の側は、すでにAIを前提に動き始めています。

そうだとすれば、経営者に求められているのは、使うか使わないかの判断を先延ばしにしない姿勢ではないかと思います。

慎重に構えてきたこれまでの判断は、決して間違いではありません。

ただ、その慎重さを言い訳にして、判断を止めたままにしないでください。

議事録の整理でも、資料の下書きでも構いません。

小さな一歩からでも、AIと一緒に判断を整理してみませんか。

あなたの会社では、まだ先延ばしにしている判断はありませんか。

【出典】ITmedia AI+「『AIに任せる』はどこまで? 最終判断まで容認する20代、慎重になる50代」、電通ニュースリリース「国内電通グループ、AI時代の新購買行動モデル『AIJES』を提唱」(顧問先訪問のエピソードは2026-09-11の記録より)

渡邉ひとし
渡邉 ひとし株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役/持続型経営コンサルタント

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