第213話のテーマは『未来の事業をつくる』です。
(*ブログ=月・水・金曜に投稿)
小説や映画の主人公になった男
2012年7月11日に発売された『海賊とよばれた男』という小説は2016年12月の時点で420万部(上下巻累計)を超えて売れたそうです。
小説を映画化して同じ12月に公開されていますが主人公の国岡鐵造はV6の岡田准一氏が演じました。
その主人公の国岡鐵造は実在する出光佐三氏がモデルでそのストーリーも出光佐三氏が創業した<出光興産>をモデルとしていて大企業になるまで成長していく物語になってます。
小説や映画の主人公同様に実際の出光佐三氏も「人間尊重」を大切にしていたためいまでもタイムカードや定年制が無いといいます。
<出光興産>のビジネスモデル
1911年に石油小売の<出光商会>を出光佐三氏が設立しています。
じつに創業から106年も経過していることになりますね。
1940年に<出光商会>が<出光興産>を設立し1947年に合併しています。
1949年に石油元売業者に指定されますがここから成長の物語が始まります。
ところが最近では経営陣と創業家との対立が報道などで話題になっていて企業イメージとしてはあまり良いとは言えません。
2015年11月に<出光興産>と<昭和シェル石油>が合併に基本合意したと発表し翌年の2016年6月の定時株主総会で創業家が反対を表明。
ここから<出光興産>の内紛騒動に発展しています。
そもそも出光佐三氏は『株式組織は資本主義の最もずるい形態』という考え方を持っているため長男で第5代社長の出光昭介氏もその考え方を踏襲しています。
しかし1990年代には2兆円の有利子負債を抱えていて財務危機に陥っていました。
1998年に出光佐三氏の末弟の次男である出光昭氏が社長に就任。
財務改革を進めますがまったく追いつかず出光佐三氏の考え方を守り続ける出光昭介氏を説得して株式上場を目指そうとします。
経理部長経験者の天坊昭彦氏と社長の出光昭氏が提案したのは創業家が33.92%の持分を保有する上場の提案でした。
いわゆる「出光家の会社」として上場するということになります。
そして2002年に天坊昭彦氏が社長に就任して2006年に念願だった「上場」を実現。
このころになると有利子負債は1兆円を切るところまで削減できていました。
ここでいう「創業家」とは創業者出光佐三氏の直系のことだけを指します。
したがって出光昭氏は「創業家」ではありません。
今年5月に<出光興産>と<昭和シェル石油>が石油精製や物流事業で提携すると発表しました。
そのことで250億円以上の収益を改善させることを目指します。
さらに事業提携に向けて「戦略トップミーティング」を設置。
合併後の戦略立案なども担当する組織になります。
たとえば<出光興産>が製油所を持つ北海道で<昭和シェル石油>の系列給油所にガソリンなどを供給し中国や九州地方で製油所を持つ<昭和シェル石油>は<出光興産>の系列給油所にガソリンなどを供給するという体制です。
このようにガソリンや軽油の相互供給で物流費の削減が見込めます。
製油所は◉<出光興産>3カ所◉<昭和シェル石油>4カ所2社の系列給油所は全国合計で約7000カ所あります。
これらを一体的に運営していくことでコスト削減を目指します。
今年11月の予想では2018年3月期の連結純利益が前期比13%増の1000億円になる見込みです。
従来の予想を上方修正していますがこれは石油元売り4社が「安売り競争」から「採算重視の価格設定」に転換し利益率が高まったことと各社が製油所の精製能力を削減し需給調整をしたことが要因です。
しかし長い目で将来を見たばあい国内の少子化や電気自動車への転換などはマイナス要因になります。
将来への手をどう打つかとみれば……ひとつはアジアを中心とする新興国への進出です。
これから経済成長が見込める新興国であればガソリンなどの需要も高くなってくることが見込めます。
2つ目は「有機EL事業」の推進です。
今年9月には<東レ>と有機ELパネルの材料で技術提携すると発表しました。
<出光興産>は有機ELパネルの発光材料で独自技術を保有していてドイツの<メルク>と世界シェアを二分するメーカーです。
こんご有機ELパネルは需要拡大が見込まれるためあらたな事業としての期待が持てます。
しかしこれだけで将来も安心できるとは思えません。
自社の強みを生かしたあらたな事業の柱が必要です。
(*ブログ=月・水・金曜に投稿)
このことから何を学べるでしょうか?
重厚長大産業は……次世代に生き残る事業をつくり出すことが求められる。
それは自社の強みを生かしたあらたな事業であることが望ましい。
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現象をみるのではなく本質をみることでなすべきことが理解できる
今日という日は未来のスタート地点である*注1 仮想現実:(VR= virtual reality)感覚を刺激することで現実のように知覚させる技術。
*注2 ストックオプション:「株式購入権」あらかじめ決められた価格で


