第268話のテーマは『第2の柱の事業を伸ばす』です。
(ブログ=月水金の平日投稿です)
神話の世界から生まれた「企業名」
<オリンパス>は1919年に<高千穂製作所>として創業されました。
翌年の1920年にオリンパス体温計と顕微鏡を発売しました。
1923年には体温計の製造分野を<テルモ(赤線検温器)>に譲渡。
1936年に写真レンズを完成させてカメラの「セミオリンパスⅠ型」を発売しました。
これは顕微鏡で成功してカメラ製造に進出した<ライカ>などをみて事業を始めています。
1949年に<オリンパス光学工業>に社名を変更しました。
そして2003年に現在の社名である<オリンパス>に変更しています。
この社名は創業時の社名である<高千穂製作所>が日本神話で天孫降臨した山とされている「高千穂峰」が由来していたためギリシャ神話で神々が住む山とされているオリンポス山に由来して命名されました。
<オリンパス>のビジネスモデル
2015年3月からネットで販売している「OLYMPUS AIR」は「撮れるレンズ」と言われている商品で見た目のレンズはあるけれどファインダーやディスプレイなどもカメラボディも一切ありません。
それでも高画質な写真や動画が撮影できる一人前のデジタルカメラです。
使い方はというと……Wi-Fiやブルートゥースを使う無線通信機能を備えています。
専用のスマートフォン・アプリでシャッターを切ることや撮影した写真を確認することができます。
たとえば高い木(柱)に吊り下げて芝生に集まる大勢の仲間を一緒に撮影できたりします。
このようにスマートフォンと組み合わせれば離れた場所からの遠隔撮影も楽しめます。
この製品はオープンイノベーションで生み出されています。
この製品のパートナーはアメリカのマサチューセッツ工科大学にある研究室の「MITメディアラボ」でした。
技術開発部門モバイルシステム開発本部画像技術部研究1グループの石井謙介課長が所属する研究部門の上司を説得してMITメディアラボの企業メンバーになりMITメディアラボでワークショップを開催してアイデアを練りました。
その後製品開発部門の担当者に協力を要請しても賛同を得ることはできませんでした。
しかし社内の別部門にいて面識がなかった画像システム開発1部4グループの佐藤明伸グループリーダーからの声がけで一緒に協力して開発にあたりOLYMPUS AIRが誕生しました。
この製品の素晴らしいところは……ユーザーが開発したアプリはネットに公開したり販売したりしてもよいというルールを明確化していることです。
これによりユーザーがアプリやアクセサリーを自由に発想して作り出すことができます。
2017年4月に内視鏡などの診断画像を病院内で管理・閲覧するシステムを手がける<イメージ・ストリーム・メディカル>を買収すると発表しました。
これは世界シェア70%を占める消化器内視鏡の周辺領域にも事業範囲を広げていき外科手術を幅広く支援できる体制を築いていく狙いです。
2011年に過去の財テク失敗の損失隠しが発覚して多額の損失計上を迫られましたが事業面では解消しつつあります。
2017年度からの5カ年中期経営計画は売上高40%増を掲げています。
しかしその初年度に当たる2017年3月期の連結決算は減収減益でした。
笹宏行社長は「中計達成の取り組みは一切緩めない」と記者会見で述べています。
<オリンパス>は胃や腸などの消化器の内視鏡で世界シェアの70%を占めていますが内視鏡を使う外科手術である外科用内視鏡は世界シェアの20%程度で止まっています。
開腹せずに内視鏡を使う外科手術は患者の負担が小さいため世界的に需要が伸びています。
そこで高精細な4Kや3Dを使った画像技術で他社のシェアを奪おうと狙っています。
さらに主力の内視鏡は先進国で製品サイクルが一巡しているためこれから市場が拡大する中国などの新興国向けを伸ばします。
中国や東南アジアといった新興国は医療の整備が急ピッチで進んでいます。
2017年10月に医師が内視鏡の操作方法を訓練できるトレーニングセンターを韓国に設立したと発表しました。
トレーニングセンターを拠点にして韓国で専門医を育てて内視鏡による検査や手術の普及につなげていく狙いです。
2017年12月にシステム開発の子会社である<オリンパスシステムズ>の一部事業のアパレル業界の基幹システムや情報分析システムの開発・販売事業を<クオリカ>に譲渡したと発表しました。
不正会計の発覚後に事業の「選択と集中」を進めてきましたがこれで一連の事業整理を完了しました。
損失隠し発覚前の2011年3月期の事業別売上高は……◉医療機器 42%◉情報通信 25%◉カメラ 15%◉顕微鏡 12%という事業別比率でしたが現在では……◉医療事業 77%◉映像事業 9%と医療事業へのシフトが鮮明になっています。
笹社長は第2の柱だった情報通信事業を売却しました。
祖業である光学技術を基盤にした医療機器、カメラ、顕微鏡の3事業に集中する原点回帰を打ち出しました。
これらの中で伸びる可能性が医療機器事業でした。
世界シェア70%を占める内科用内視鏡は大きな成長が見込めないため次の主力事業と位置付けているのが外科領域の腹腔鏡手術で用いる腹腔鏡とその関連システムです。
その世界シェアは20%程度ですがこの第2の柱を目指す事業がどこまで世界シェアを伸ばせるかでこれからの<オリンパス>のビジネスモデルが大きく変わります。
(次回ブログ=5月18日金曜投稿です)


