第290話のテーマは『原点回帰のコト売りで勝負』です。
PARCOのイメージ戦略に刺激された
2014年10月10日に名古屋市中区栄にある名古屋PARCO西館の向かいに「名古屋ZERO GATE」が開業。
開業当日は500名程度の客が列に並んだというニュースを見ました。
「ZERO GATE(ゼロゲート」は<PARCO>が運営する中低層商業ビルの新しいビジネスモデルの商業施設です。
<PARCO>の広告といえば広告業界で働いていた立場としてはとても斬新でファッショナブルなイメージが強く印象に残っています。
<西武百貨店>などのセゾングループの創業者である堤清二氏による独創的で文化的なイメージ戦略で経営展開をしていると思っていましたが堤清二氏の中学校の同級生でもある増田通二氏に任せていたことを知り少し驚いたことを思い出しました。
増田通二氏は<PARCO>のすべての店舗ビルの設計に関わっていて社長や会長職の退任後にはニキ・ド・サンファルの作品を展示する<ニキ美術館>を開館していることから<PARCO>のイメージ広告にも深く関わっていただろうと推測します。
<PARCO>のビジネスモデル
1969年11月に<PARCO>の1号店になる「渋谷PARCO」がオープンしました。
1970年4月に商号を「株式会社パルコ」に変更しました。
1998年に<リブロ>の経営を<西友>から譲渡されました。
2003年7月に<リブロ>を<日本出版販売>に売却しました。
2004年2月に<ウェイブ>を<タワーレコード>に売却しました。
2009年6月に完全子会社の<ホテルニュークレストン>を<HMIホテルグループ>に事業譲渡しました。
2012年8月に<J.フロント リテイリング>の子会社になりました。
<PARCO>は売り場面積が従来店の10分の1程度の小型店の出店を加速します。
東京の都心や京都などの大都市に集中的に出店して2020年をめどに3倍に相当する20店程度に増やします。
地方を中心に大型店は苦戦する閉鎖も含めて見直しを進めます。
各テナントから売上に応じた賃料収入を得るビジネスモデルで収益は安定しています。
2017年3月にデジタルマーケティング支援の<VOYAGE GROUP>と共同で仮想現実を活用した新しいサービスの「VR PARCO」を開発しました。
スマートフォンやパソコンを使って店内の映像を360度見渡しながら買い物を楽しめるというサービスです。
映像内に登場する約70商品は<PARCO>のECサイトと連携していて対応商品がある場合には映像内に商品ページへの誘導ボタンが表示され気になった商品があればこの誘導ボタンをタップしてECサイトに移動して購入できます。
4月9日までの期間限定で一般に公開したサービスでした。
2017年4月に錦糸町駅前の商業ビルに出店すると発表しました。
従来店の「パルコ」や小型商業施設の「ゼロゲート」とは異なる新業態での出店で集客を目指します。
2017年4月に発表した「2017年2月期」の連結決算は純利益が前期比24%増の最高益でした。
不採算店舗の閉鎖で採算が改善して東京・渋谷の再開発に伴う土地の売却益も利益増に貢献しました。
小型商業施設「ゼロゲート」を各地で開業し採算の良い賃貸収入が増えたのも利益率改善につながっています。
2017年9月に大丸心斎橋店の地下2階から地上7階に2021年春に<PARCO>が出店すると発表しました。
大阪では<PARCO>は2011年に撤退して以来の出店です。
2017年11月に松坂屋上野店の南館を改装して複合ビルの「上野フロンティアタワー」として開業しました。
1階から6階までは<PARCO>が入居して百貨店での取り扱いが少なかった商品などの補完を狙いオフィスで働く会社員の幅広い需要を取り込む狙いです。
食や雑貨で地元の老舗を多く誘致する新業態「パルコヤ」を開いて30~50代の集客を狙います。
百貨店と<PARCO>を本格的に組み合わせるのは初めての試みで東京23区内への出店は「渋谷パルコ」以来44年ぶりです。
その特徴は店舗構成ですが……従来店舗では半分ほどを占める衣料品販売を「パルコヤ」では35%程度に抑えています。
逆に増やしたのは飲食店や雑貨店で地元にゆかりのある店舗の入店を重視して地域性をアピールしました。
2017年12月に「福岡パルコ」の新館のテナントとしてシェアオフィスの「ザ・カンパニー」がオープンしました。
商業施設にシェアオフィスが入居するのは初めてで「モノを売ること以外の新たな集客サイクルに期待したい」と山本崇店次長は話しています。
2018年3月に発表した福岡パルコの「2018年2月期」の売上高は前期比3%増で過去最高を記録しました。
ひと昔前の元気な頃の<PARCO>はサブカルチャーの情報発信源として小売りの中で際立っていました。
いわゆる「モノ売り」ではなく「コト売り」が<PARCO>の真骨頂だったといえます。
原点回帰がどこまでできるのか?
「コト売り」のなかでも独自性をどこまで発揮できるかがこれからの<PARCO>のビジネスモデルに一番求められている生命線になります。
(次回ブログ=7月30日月曜投稿です)『ビジネスモデル虎の巻』を出版します!
経営者の方が自社のビジネスモデルをチェックできる本になっています。
(出版ブログ=火曜・木曜の投稿です)
このことから何を学べるでしょうか?
あの手この手が出尽くした企業は……規模を拡大してきた頃の自社の「強み」が何だったかを思い出すことで原点回帰しその自社の「強み(独自性)」をこれからの時代に当てはめることで新たなビジネスモデルを構築することができる。


