第296話のテーマは『自主独立の経営環境』です。
<サークルK>などのATMが変わる
2017年4月に<ファミリーマート>は<ゆうちょ銀行>と<大垣共立銀行>は愛知県と岐阜県にあるコンビニエンスストアの<サークルK>や<サンクス>に設置するATMの「ゼロバンク」を<ゆうちょ銀行>のATMに置き換えると発表しました。
ゼロバンクは<大垣共立銀行>と<ファミリーマート>が共同で運営して愛知と岐阜の<サークルK>や<サンクス>に設置していました。
2017年9月に<ユニーグループ・HD>と<ファミリーマート>は経営統合したため<ユニーグループ・HD>の<サークルK>や<サンクス>は<ファミリーマート>に切り替えています。
<ファミリーマート>は<日本郵政グループ>と提携しているため<ゆうちょ銀>のATM設置を進めています。
2017年5月に「2017年3月期決算」は連結最終損益が289億円の赤字と発表しました。
連結最終赤字に転落したのは2007年の郵政民営化後で初めてです。
これは2015年5月に6200億円で買収したオーストラリア物流子会社である<トール・ホールディングス>の業績低迷で3860億円ある「のれん代」を一括で損失計上したためです。
<トール・ホールディングス>の買収はアジア太平洋地域を中心に北米や欧州などの50カ国以上1200カ所で展開する拠点網とノウハウを生かして国際物流事業を進めるためでした。
1700人の人員削減を実施するなどの再建策を進めていますが資源価格の低迷によるオーストラリアの経済減速で物流需要が低下したことによる業績低迷や買収したことによる相乗効果が思うように前に進んでいない状況です。
ネット通販の普及で宅配事業は順調ですが中核の郵便事業の苦戦が続いています。
手紙やはがきなどの郵便物の取扱数はピークの2001年度より2016年度は30%減りました。
郵便事業は厳しい事業収益がしばらく続いています。
ゆうちょ銀行の最終利益は前期より3.9%の減益。
低金利の影響もあり国債の運用が苦戦しています。
かんぽ生命保険の最終利益は前期比4.4%増えました。
個人保険の新規契約の年換算保険料が4.7%伸びました。
2017年7月から日本郵便とゆうちょ銀行は投資信託の販売体制を拡充していきます。
顧客の相談に応じる郵便局を現在の805から1万6686に拡大し投資信託を販売する郵便局を200局増やして1500局にします。
個別の商品の勧誘や投信口座の開設はできないため関心のある顧客には取扱局や全国に支店があるゆうちょ銀行を紹介します。
低金利の長期化で預貯金以外で資金運用をしたい個人客が多いため日本郵便とゆうちょ銀は投信を貯金の代替と位置づけて国債で運用する投資信託などの低リスクの商品を揃えて長期運用に向いた商品を販売します。
投信販売による手数料収入を強化して経営の軸足を「貯蓄から投資へ」と移していく考えです。
<日本郵政>は新たなビジネスモデルが必要になっているため郵便局を活用する新たな策を相次ぎ打ち出しています。
◉ 投資信託の販売網の拡大◉ 日本生命保険の窓口設置◉ 地方銀行の手続き受け付け<日本郵政>の長門正貢社長は「郵便局網は資産」と取材に答えています。
2017年8月に<日本郵便><ゆうちょ銀行><かんぽ生命保険>の3子会社のシステムと全国の郵便局・ATMをつなぐ通信網を強化すると発表しました。
通信の大容量化に対応できるネットワークを整えて営業や商品づくりの基盤を強化します。
総額1000億円規模を投資して2020年の稼働を目指します。
2017年9月に財務省は保有する「日本郵政株」を2次売却すると発表しました。
2022年度までにあと1回売り出して合計4兆円を東日本大震災への復興財源に充当する考えです。
2次売却により政府の郵政株の保有比率は80%強から60%弱に下がります。
2017年11月にベンチャーや中小企業に出資する全額出資子会社<日本郵政キャピタル>を設立したと発表しました。
出資先企業が持つビジネスモデルを活用して現在の事業以外の事業の可能性を探ります。
2018年2月に<ゆうちょ銀行>は<かんぽ生命保険>とベンチャー企業への投資を対象にした運用会社を設立したと発表しました。
1200億円のファンドを通じて主にベンチャー企業に投資します。
2018年7月にオーストラリアの物流子会社である<トール・ホールディングス>がシンガポールで稼働した大型物流施設の開所式が開催されました。
シンガポールを中核にアジアで成長する企業物流や通販需要を取り込む狙いです。
式典に出席した<日本郵政>の長門社長は「トールシティを通じてアジアで増える需要に対応する。」
「より高い生産性を追求する」とあいさつで述べました。
少し遡ると2018年5月の記者会見では「3年間で数千億円規模の投資も視野にグループの収益を底上げする」と述べその投資の原資については<日本郵政>傘下の金融2社であり収益の大部分を稼いでいる<ゆうちょ銀行>や<かんぽ生命保険>との関係に触れて「金融2社株(ゆうちょ、かんぽ生命)の売却収入の活用も念頭にある」と金融2社からの自立した成長を目指すビジネスモデルを新たに構築する考えを示しました。
その実現のためには日本郵政株の政府の保有比率が下がり政府の干渉が余り入らない本来の民間企業として独立した経営を主導できることが必要になります。


