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ブログ / ビジネスモデルの企業事例

第304話 ヤマト運輸のビジネスモデル

2018年9月28日 執筆:渡邉ひとし

第304話のテーマは『現在と未来のビジネスモデル』です。

名経営者と言われた2代目社長

<ヤマト運輸>で思い出されるのは2代目社長の小倉昌男氏の名前です。

<大和運輸>に入社後半年で肺結核を患い4年間の入院生活を送ったのち入手困難なストレプトマイシンを入手できたため奇跡的に回復したのち子会社の再建を手がけ本社に復帰してから手腕を発揮します。

「サービスが先、利益は後」「社員が先、荷物は後」「社会的インフラとしての宅急便ネットワークの高度化」小倉昌男氏の著書を読むとその経営の考え方に敬意を払うとともに経営コンサルタントとしておおいに共感できる考え方でした。

1919年に創業者である小倉康臣氏が<大和運輸>を設立しました。

1929年6月に日本初の路線トラック事業を東京ー横浜間で開始しました。

1957年に会社のロゴマークである「親子クロネコ」を使用開始しました。

1976年に「宅急便」のサービスを関東地方で開始しました。

1982年に<ヤマト運輸>に社名を変更しました。

2017年4月に発表した「2016年度の宅配便取扱数」は前年比7.9%増で過去最高でした。

<Amazon>の大半の荷物を扱うほかフリーマーケットの<メルカリ>などの個人間取引サービスの拡大も影響しています。

スマートフォンなどの普及でネット通販を手軽に利用できるようになり荷物の増加が加速しています。

その一方で人手不足のため宅配サービスの維持が難しくなってきています。

なかでもネット通販による荷物の増加に対して配送先(顧客先)の不在率が高くなり再配達の頻度が高まっていることが大きな課題になっています。

そのための解決策として「宅配ボックス」や「収納ロッカー」の設置などに取り組んでいます。

さらには長時間労働の原因になっていたネット通販大手<Amazon>の当日配送サービスから撤退して社員の労働環境の改善も急いでいます。

2017年4月から<DeNA>と「ロボネコヤマト」の実証実験を神奈川県藤沢市で実施しました。

消費者が指定した日時や場所に荷物を配達するオンデマンド型の宅配サービスの実験です。

オンデマンドサービスの利便性と運転手の負担軽減などの課題解消に繋げる考えです。

ロボネコヤマトのサービスは2種類あります。

スマートフォンなどから受け取り場所を指定して消費者が希望する日時と場所で荷物を受け取れる「ロボネコデリバリー」と地元商店の商品をインターネット上で一括購入して運んでもらうことができる買い物代行サービスになる「ロボネコストア」です。

地域の商店街と連携することでオンデマンドで加盟店から商品をピックアップして指定場所に届けます。

2017年6月に働き方改革のためにサービスの見直しを実施しました。

宅配便配達の時間帯指定サービスを変更して大型荷物の運賃を最大60%引き上げました。

具体的には「正午~午後2時」の時間帯は廃止して配達員が昼食休憩を取りやすくしました。

大型荷物の配送サービス「ヤマト便」は配達員の負担が大きいため東京23区内を運ぶ最低運賃を従来より58%値上げしました。

<ヤマトホールディングス(HD)>の山内雅喜社長は取材に対して「働き方改革と成長を両立させる大事なカギはテクノロジーになる」「先端技術をサービスに組み込むことで顧客の利便性が高まりヤマトの業務効率も上がる」「他の企業などと連携するオープンイノベーションで技術開発のスピードを上げる」などの考えを述べています。

そして導入を考えている「テクノロジー(先端技術)」は◉ 自動運転◉ ロボティクス◉ 人工知能(AI)◉ ビッグデータなどになり数百億円を投資する考えも示しました。

2017年8月に広島県と包括的連携協定を締結しました。

宅配物と同時に県政情報が掲載されたカードを届けるなどの情報発信での協力や観光振興、教育支援、高齢者見守りなど幅広い分野で連携していきます。

<ヤマトHD>は今までにも地方自治体と共に地域の課題解決に取り組む「プロジェクトG」を推進しています。

2017年9月に2019年度までの「新中期経営計画」を発表しました。

夜間配達専門ドライバーを1万人配置するなどの働き方改革に1000億円。

宅配ロッカーや新型車両の導入など配送網の整備やIT活用などに1500億円を投資していきます。

2018年5月には契約社員の約5000人を正規雇用の正社員に登用しました。

待遇改善で士気を高めることで人材確保につなげます。

2018年5月に発表した「2018年3月期」の連結決算は純利益が前期比1%増でした。

宅配便事業で取扱数量を絞り込みましたが料金を一部引き上げたために採算が改善しました。

<ヤマトホールディングス(HD)>は現在の問題である「サービスの維持」に対しては「取り扱い数量の減少」「料金の値上げ」「契約社員の正規雇用」「ロッカーや宅配ボックスでの受け取り」などの対応策を講じながら将来の課題である「取り扱い数量の増大」に対しては「ロボット」などのテクノロジーを導入して対応していこうと考えています。

現在のビジネスモデルと未来のビジネスモデルを並行して構築していく考えは企業の継続には欠かせない取り組みです。

渡邉ひとし
渡邉 ひとし株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役/持続型経営コンサルタント

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