第303話のテーマは『2つのビジネスモデルの構築』です。
積極的な海外展開による成果
<ダイキン工業>と聞けば「空調(またはエアコン)」という言葉がすぐに頭に浮かびます。
1924年10月に創業者の山田晁氏が合資会社である<大阪金属工業所>を設立しました。
1934年2月に株式会社として<大阪金属工業>を改組して設立しました。
当時の主な製品は内燃機関、精密機械、航空機部品です。
1951年に日本初のエアコン開発に成功しました。
1963年に<ダイキン工業>に社名を変更しました。
1972年にヨーロッパの現地法人として「ダイキンヨーロッパ」を設立しました。
これ以降アジア・オセアニア・北米・中南米など世界的に事業を展開しています。
2006年5月にマレーシアの大手空調メーカーである<OYLインダストリーズ>を買収しました。
この買収により売上高は1兆円を超えることができました。
2012年にアメリカの住宅用空調大手である<グッドマン・グローバル>を買収しました。
この買収により北米市場でのシェア拡大に向けて事業を拡大しています。
2016年にイタリアの業務用冷凍・冷蔵庫メーカーの<ザノッティ>社を買収しました。
同じく2016年にスウェーデンのエアフィルターメーカーの<ディンエア>を買収しました。
2017年4月に発表した「2017年3月期」の連結営業利益は前期比5%増でした。
インドネシアやベトナムなどの新興国で省エネ型のエアコンの販売が伸びたため4期連続の最高益を更新しています。
2017年5月にアメリカのテキサス州で空調機の大型工場を本格稼働させました。
敷地面積は東京ドーム43個分で延べ床面積は工場としては全米で2番目の広さになります。
同じく2017年5月に「あと2年間で思い切った先行投資を行う」と十河政則社長が表明しました。
「2019年3月期」までの3年間で3250億円の投資を計画していますがそれを上回る勢いを示しています。
ちなみに「2019年3月期」の連結業績の計画は売上高は2017年3月期比の22%増で営業利益は17%増を目指しています。
2017年7月にオーストラリアの空調保守作業大手である<エアマスター>を買収しました。
世界的にエアコンが普及しているなかで点検や修理の請負を強化しています。
空調メーカーや販売会社の買収を進めて事業を拡大してきましたがこれからは業務用エアコンを中心にアフターサービスで稼げる体制を整えていきます。
同じく2017年7月に業務用エアコンの生産を堺製作所臨海工場に集約する方針を明らかにしました。
素早く生産調整できる特徴をもつ最新のノウハウを詰め込んだ工場にします。
2017年8月に発表した「2017年4~6月期」の連結決算は純利益が前期比4%増えました。
アメリカで業務用や集合住宅用が拡大して中国は富裕層の大型住宅向けの販売などが伸びました。
M&Aや販売店網・工場の整備を進めてきた成果が出てきており海外事業の比率が高まっています。
2020年度までにインドで空調機器を販売する店舗を1万店に倍増させていきます。
省エネルギー性能を訴求して地元メーカーの販売店などにダイキン製品を取り扱うように促します。
2017年10月に自動車向け樹脂加工事業を手掛けるイタリアの<ヘロフロン>を買収します。
この買収によりフッ素化学製品で世界第2位の<ダイキン工業>はフッ素樹脂の主な用途である自動車向けの顧客開拓を強化していきます。
2017年10月から「IoT」を使ったベテランの技能伝承に取り組んでいます。
ベテラン技能者の動きを複数のセンサーで計測してそのデータを若手の訓練に生かします。
海外での生産拠点が拡大しているため若手を指導できる人材不足や工場の本格稼働までの時間短縮のためにベテラン技能者のお手本をデータ化することで若手技能者の育成を効率化する狙いです。
2017年12月に社内講座の「ダイキン情報技術大学」を中央研究所で開設しました。
大阪大学から教授らを招いてAIやIoTの基本や活用方法などを社員に学ばせます。
2020年度までに700人程度の人工知能に詳しい人材の育成を目指します。
これは<ダイキン工業>の強みである機器の開発や生産以外に省エネルギー運転や保守点検作業の効率化などのサービス分野が重要になると考えているからです。
2018年7月に<ソフトバンク><三井物産><オカムラ><東京海上日動火災保険><ライオン>の5社と連携して生産性を高めるオフィスの実証実験を東京都内で始めると発表しました。
天井のエアコンやオフィス家具にセンサーを取り付けて人のストレス状態や興味関心の度合いを分析します。
コミュニケーションを活発にして新たなアイデアを生むオフィス環境を提案していきます。
<ダイキン工業>は強みである機器の開発や生産以外にサービス分野の強化を目指していますが新興国における新たな空調の需要は今後も増加することが予測されます。
したがって「新興国への供給」と「先進国へのサービス」という事業の2つのビジネスモデルの構築が今、<ダイキン工業>に求められています。


