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ブログ / ビジネスモデルの企業事例

第358話 シャープのビジネスモデル

2019年9月6日 執筆:渡邉ひとし

あなたの会社(事業)がいま順調に業績を上げていたとしても次に到来する時代に向けて新たなビジネスモデルを今から構築していく必要があります。

『社長で会社は変わる!』

ますます不透明感を増す市場や予測不可能な外部環境の変化であなたの会社の従来のビジネスモデルは将来にも通用するとは限りません。

あなたが経営者という立場の段階で将来に向けて通用するであろう新たなビジネスモデルを構築しておくことがあなたの会社の事業承継にとって最重要課題になります。

今日のメルマガの企業事例は<シャープ>です。

大企業の企業事例を読んで変化する経営環境を読み取っていただきぜひ自社の事業に照らし合わせながら新たな取り組みに生かしてください。

企業事例[第358話]のタイトルは『経営トップの交代で将来が決まる』新たな商品を開発することで成長しました1912年に創業者である早川徳次がベルトのバックルを発明して創業しました。

1915年に金属製繰出鉛筆である『早川式繰出鉛筆』を発明しました。

『エバー・レディ・シャープ・ペンシル』という商品名に決めてアメリカで爆発的にヒットしました。

1925年に鉱石ラジオを『シャープ』の名前で発売し主力商品になりました。

1962年に日本の家電業界で初めて電子レンジを発売しました。

1964年にオールトランジスタダイオードによる電子式卓上計算機を世界初で開発しました。

1970年1月に社名を<シャープ>株式会社に変更しました。

1973年に液晶を表示装置に使ったCMOS化電卓を世界初で開発しました。

CMOS化とはLSI(大規模集積回路)の構造の一種です。

2016年4月に日本の大手電機メーカーとして初の外資<鴻海精密工業>の傘下企業になりました。

<シャープ>のビジネスモデル2018年3月に除菌イオン『プラズマクラスター』技術でカビの繁殖抑制効果の実証を発表しました。

広島大学の森永力特任教授監修のもと一般家庭で繁殖するカビの約80%を占める5種のカビを対象に実験を行いました。

3段階のカビの生育状況でそれぞれプラズマクラスターイオンを照射するとカビの繁殖が抑制され胞子の発芽や成長の段階においては99.9%以上抑制することが分かりました。

カビの抑制効果を明確に示すことで食品工場や病院など企業向けの販売拡大を目指します。

2018年4月に精密部品の微細な傷など欠陥を検知できるカメラセンサー機器を発売しました。

カメラ画像の処理能力を従来品の650万画素から2500万画素まで大幅に高めたことで目視では難しかった細かい部分まで判定が可能になります。

人手不足が深刻な精密部品の生産工場などファクトリーオートメーションに組み込んで活用するよう売り込みます。

同じく2018年4月に発表した『2018年3月期』の連結業績は最終損益が702億円の黒字になりました。

テレビなどの液晶ディスプレー事業がけん引し4期ぶりに黒字転換したことで6期ぶりの配当も実施します。

親会社である<鴻海精密工業>と取り組むコスト削減や販路拡大が復活の原動力になりました。

2018年5月にスマートシティ(環境配慮型都市)の実証実験で連携すると発表しました。

広島県福山市や<ソフトバンク>などと組み7企業・団体で構成する協議会に参画します。

<シャープ>が持つ人工知能や I oT の技術を使い市街地の活性化を狙います。

「I oT 機器の技術をどう組み合わせれば役立つのか検証し事業へフィードバックしていく」と電子デバイス事業を統括する森谷和弘常務は今回の連携の狙いを記者会見で述べました。

2018年6月に<東芝>の『ダイナブック』ブランドであるパソコン事業を買収すると発表しました。

10月予定の買収後に<東芝クライアントソリューション>は<シャープ>の子会社になります。

『メビウス』ブランドで展開していたパソコンから2010年に撤退しましたが再びパソコン事業に参入します。

<鴻海精密工業>の圧倒的な部品調達力と生産力で収益化する戦略です。

<シャープ>の戴正呉社長はパソコン事業について「1年か2年で黒字化を目指す」と取材に応えています。

2018年7月にインドネシアの企業と共同でメガソーラーを建設したと発表しました。

二酸化炭素排出量の削減ニーズが拡大する東南アジア地域を中心に展開を進めています。

インドネシアのほか東南アジアでメガソーラーの建設を進めていて建設・受注の実績は30件を超えます。

2018年8月に白物家電の国内自社生産から撤退して海外に移すと発表しました。

研究開発や企画を担う<シャープ>と生産する<鴻海精密工業>の役割分担を明確にし収益体質に磨きをかけるため<鴻海精密工業>は<シャープ>との国際分業体制を強化する考えです。

2018年9月に従来の4機種から新たに13機種を投入して監視カメラ事業で攻勢に出ました。

倉庫内の管理や無人レジなど幅広い用途を想定しカメラの単品売りだけではなくラインアップを大幅に拡充して問題解決型のソリューションでの提案も進める考えです。

2018年12月にデジタルサイネージ(電子看板)を使った防災サービスを始めました。

<日立ケーイーシステムズ>が展開する災害情報の配信サービスと連携して日本国内で地震や豪雨などの自然災害が相次ぐなか商業施設やオフィスでの安全意識が高まり適切な情報サービスを提供することで受注獲得につなげる考えです。

2019年2月に第2世代にあたる小型ロボット『ロボホン』の新モデル3機種を発売しました。

<シャープ>の150機種以上ある I oT家電をロボホンを通じて声でエアコンを起動させるなどの操作ができます。

2019年5月につながる家電を一括してコントロールできる新たなアプリを発表しました。

従来はエアコンやテレビなど製品ごとに別々でしたがスマートフォンアプリ『ココロホーム』はオン・オフなど家電の使用状況がタイムラインで一括して表示されます。

合わせて機器やサービスで他社との連携を強化していく方針です。

機器とサービスの相乗効果でつながる家電の付加価値を高め市場を拡大させる狙いです。

2019年6月に最後の『負の遺産』である優先株をすべて買い戻し消却しました。

<みずほ銀行>と<三菱UFJ銀行>から2行が保有する970億円分の優先株を自己資金で買い戻し消却しました。

経営危機に陥った2015年に主力2行が債務と振り替えるかたちで発行した優先株で残っている約970億円分を消却しました。

2019年6月に<シャープ>の親会社である<鴻海精密工業>の創業者・郭台銘氏が経営トップを退く人事を決めました。

郭氏は来年1月の台湾の次期総統選に向け最大野党・国民党からの出馬を目指します。

2019年8月に発表した『2019年4~6月期』の連結決算は純利益が前期比35%減でした。

新たに3つに分類した事業グループのうち○ スマートライフ・グループ○ 8Kエコシステム・グループ○ I C T ・グループテレビやディスプレーを含む8Kエコシステム・グループの不振が利益を押し下げました。

スマートライフ・グループは白物家電の販売が伸びたほかコスト削減で採算が改善しました。

2019年8月にベトナムのホーチミン市近郊に新工場を建設すると発表しました。

『米中の貿易摩擦』が長期化のため米国による対中関税の追加引き上げなどの懸念があることから米国向けの製品をベトナムから輸出できる体制を構築する考えです。

同じく2019年8月にインドネシアで洗濯機の生産能力を従来比で30%増強しました。

人口で約90%を占めるイスラム教徒向けに女性が髪などを覆うスカーフ『ヒジャブ』を優しい水流で洗うモードを搭載した洗濯機を投入するなど現地仕様の『ローカルフィット製品』の販売を拡大することで売上高を伸ばす方針です。

<シャープ>はインドネシアで洗濯機・冷蔵庫ともにシェア首位を確保しています。

<鴻海精密工業>のカリスマ創業者である郭台銘氏が台湾の次期総統選の出馬を目指し経営トップの董事長を退きました。

「私は<鴻海精密工業>の株主でしかなく経営に干渉することはない」と語っています。

米中貿易戦争で中国生産を核とする受託生産に依存したビジネスモデルが行き詰まるなか新経営陣にとっては新たなビジネスモデルの構築に難路が待ち受けています。

一方で<シャープ>の戴正呉会長兼社長は……「社長候補を1年前から探していたが適正な人が見つからなかった」「2021年度までに後継者を育てるか社外から連れてきたい」と語っており<鴻海精密工業>から新たに3人の取締役を受け入れることになります。

『社長で会社は変わる!』と言われますが……好調に成長を続けてきた親会社である<鴻海精密工業>の経営トップと経営再建から急回復してきた<シャープ>の経営トップ交代により将来に向けての新たなビジネスモデルがどのように構築できるか?

それぞれの会社の行く末は新たな経営トップの采配に託されます。

今日の事例で何を学べるでしょうか?

経営トップが交代する会社は……将来の市場を見据えて自社のビジネスモデルを見直し将来の市場の変化に対応した新たなビジネスモデルを構築できるか?

構築できないか?

で会社の行く末は大きく分かれる。

渡邉ひとし
渡邉 ひとし株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役/持続型経営コンサルタント

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