あなたの会社(事業)が順調に業績を上げていても次の時代に向けて新たなビジネスモデルの構築に取り組んでおく必要があります。
『業界の市場が縮小傾向』にある場合は従来のビジネスモデルは通用しません。
将来に向けて通用するであろう新たなビジネスモデルを構築しておくことがあなたの会社(事業)にとって最重要課題になります。
今日のメルマガの企業事例は<佐川急便グループ>です。
大企業の企業事例を読んで変化する経営環境を読み取っていただきぜひ自社の事業に照らし合わせながら新たな取り組みに生かしてください。
企業事例[第359話]のタイトルは『海外事業の拡大を狙う』佐川急便グループの純粋持株会社2006年に佐川急便グループの純粋持株会社として<SGホールディングス>を設立しました。
目的は『経営戦略・管理機能』と『執行機能』を分離することでした。
2015年6月に<SGホールディングス>は<ローソン>と新会社を設立しました。
コンビニエンスストアを拠点とする宅配サービスでコンビニから半径500メートルの消費者を囲い込む狙いです。
2016年3月に子会社の<佐川急便>と<日立物流>が資本業務提携の契約を締結しました。
2017年12月に創業から60年を迎え東京証券取引所市場第1部に上場しました。
<SGホールディングス>のビジネスモデル2018年5月に<佐川急便>は企業や個人の荷主から前日までの予約制を導入しました。
まず5月上旬までのゴールデンウイークに初めて適用してお盆休みや秋の大型連休年末年始などの受注が減る『長期休暇中の集荷』に実施する考えです。
祝日や休日の宅配受注は平均で平日の5分の1以下まで減るため少ない要員数で集荷していますが集荷依頼が急に入るとスケジュールを組み直す必要があり業務効率の低下や残業につながります。
休み中に要員が少なくなっても計画的に集荷できる仕組みをつくり作業現場の負担を軽くする狙いです。
同じく2018年5月に発表した『2018年3月期』の連結決算は純利益が前期比27%増でした。
急成長するインターネット通販を背景に取扱個数が伸びたことや大口顧客向け宅配便料金の引き上げなどデリバリー事業が好調でした。
同じく2018年5月に<日本郵政>傘下の<日本郵便>などが2017年度の宅配便取扱数を発表しました。
<ヤマト運輸>が採算性改善ため荷受けを16年度比で約2%減らしたのに対し法人向けの値上げ幅が小さかった<日本郵便>は26%増と大幅に伸ばす結果となりました。
<佐川急便>は個人向け運賃を引き上げ法人顧客とも値上げ交渉したため増加幅は4%にとどまりました。
2018年11月に『2019年3月期』の連結純利益が前期比12%増になりそうだと発表しました。
法人向けを中心に宅配便の単価引き上げが想定件数を上回っていて取扱個数も計画をやや上回って推移する見込みです。
嵯峨行介取締役は……「単価上昇に鈍化の傾向は見られない」「単価引き上げ交渉を継続的に進めていきたい」と話しています。
2018年12月に活躍する女性スタッフの写真集である『佐川女子』(小学館)を出版しました。
ママさんや性的少数者(LGBT)など55人が簡単なプロフィルとあわせて会社の顔として写真集に登場しています。
栗和田栄一会長の旗振りで……『わくわくウィメンズプロジェクト』を立ち上げて女性活躍推進に取り組んできた結果女性の係長級は全体の9%近くを占め会社全体でみると2019年3月末までに全従業員に占める女性比率は30%にまで高まるとしています。
物流業界は労働集約型のため人材確保が難しくなるなかダイバーシティー(多様性)を受け入れる組織として2017年3月に「ダイバーシティ推進課」を設置して外国人や高齢者性的少数者(LGBT)も含めた働きやすい環境づくりを進めています。
2019年1月に人工知能を活用した業務効率化を加速することを表明しました。
ITコンサルティングである<フューチャーアーキテクト>と組んで共同で配送伝票の入力を人工知能で自動化するシステムを開発し本格稼働を目指します。
現在は年間12億個の荷物を取り扱い繁忙期には手作業で入力する配送伝票は1日あたり100万枚にものぼります。
最先端テクノロジーを導入することで業務プロセスの効率化につなげてコストを削減する考えです。
将来的には『構築したシステム』を社外へ提供して新たな『ビジネスの柱』とすることも視野に入れています。
2019年4月に<佐川急便>の社長だった荒木秀夫氏が<SGホールディングス>の社長に昇格しました。
「海外事業の売り上げ規模は全体からみればまだ小さい」「投資が必要であればやっていく」「海外事業を拡大したい」と経営方針を述べています。
2019年4月に発表した『2019年3月期』の連結決算は純利益が21%増と過去最高でした。
法人向けで宅配便運賃の引き上げ交渉が順調に進んだほか宅配便個数も2%増えました。
2019年8月に<セイノーHD>と業務提携を検討することで基本合意したと発表しました。
<佐川急便>は消費者向けの小口荷物で<西濃運輸>は企業間物流で強みを持つなど得意分野が異なるため提携が実現すればお互いに足りない部分を補完できます。
都市間を結ぶ幹線輸送でトラックを共同運行することや宅配便の配達でトラックの融通ができると見ています。
2019年7月に発表された『2019年4~6月期』の連結決算は前年同期より営業損益が2%減でした。
『2019年1~3月期』に続いて営業減益は2四半期連続になりました。
これは外部委託費が約120億円増え値上げによる増収効果の102億円より上回った結果です。
<SGホールディングス>は貨物量と外部委託とのバランスの取り方に定評がありましたが疑問視されています。
<日通総合研究所>によると2019年度の全国の貨物数量は0.9%減と2年連続で減少します。
2019年5月下旬には<ヤマトホールディングス>を株式時価総額で逆転しました。
これまで<SGホールディングス>は先行した値上げとともに物流センターの新設などで配送能力を拡充してきましたがこれからは『減少する貨物量』を取り合う状況が強まってきます。
国内での輸送量が増え続けてきたこれまでのビジネスモデルは通用しません。
次の時代に向けた新たなビジネスモデルの構築が市場から求められています。
今日の事例で何を学べるでしょうか?
業界の需要が頭打ちになってきている会社は……右肩上がりのビジネスモデルから脱却するため将来の市場に対応した新たなビジネスモデルを構築することが急務になる。


