『離職率が高くなる要因』のなかには人が急に増えている企業があります。
急成長をしている企業は業務が日々増えていくので人を採用することで作業の工数を削減しようとしますが人を多く採用したところで急成長をしている企業は「業務をする人材」にリソースを割くことが多くなっていきます。
入ったばかりの従業員などは仕事が与えられなくなるので暇だと感じてしまいます。
長年働いてる従業員などは忙しすぎると感じています。
その結果忙しすぎると感じる従業員と暇に感じる従業員の両者が現状に不満を持ち退職をするため離職率が上がる結果となります。
社員を指導・教育できる人材や仕事の適正配分のできる人材などを先に採用することができれば離職率を抑えながら人材を育成することができます。
今日のメルマガの企業事例は<日本ペイント・ホールディングス>です。
大企業の企業事例を読んで変化する経営環境を読み取っていただきぜひ自社の事業に照らし合わせながら新たな取り組みに生かしてください。
企業事例[第361話]のタイトルは『次世代の経営層の育成と即戦力の拡充』社会の成長とともに成長していきました1881年3月に茂木春太、茂木重次郎の兄弟が協同組合<光明社>を東京に設立しました。
固練り塗料を開発して<帝国海軍>に船体塗料として納入しました。
1898年に<日本ペイント製造>株式会社に改組して日本初の塗料工業会社が誕生しました。
1905年に大阪市福島区に工場を新設したことで1920年に大阪へ経営拠点を移しました。
1927年に<日本ペイント>株式会社と社名を変更しました。
1931年に本社を大阪へ移転しました。
1968年に大阪・寝屋川に中央研究所が完成しました。
1981年に創業100周年記念式典を執り行いました。
1990年に本社新社屋竣工とともに新社歌を制定し創業110周年記念式典を執り行いました。
2014年に持株会社体制へ移行し社名を変更しました。
社名は<日本ペイントホールディングス>。
2015年に事業別に4社に分社しました。
日本ペイント・オートモーティブコーティングス日本ペイント・インダストリアルコーティングス日本ペイント日本ペイント・サーフケミカルズ<日本ペイントHD>のビジネスモデル2018年3月に大阪市内で定時株主総会が開かれました。
筆頭株主のシンガポール塗料大手である<ウットラム>が推薦した6人を含む10人の取締役が選任されました。
<ウットラム>の代表で<日本ペイントHD>取締役のゴー・ハップジン氏が会長に就任しました。
筆頭株主のシンガポール塗料大手である<ウットラム>が推薦した社外取締役5人と<ウットラム>代表のゴー・ハップジン氏の合計6人を含む取締役が選任されました。
2018年5月に<日本ペイントホールディングス>元社長の酒井健二氏が亡くなりました。
リーマン・ショックの影響で営業赤字に陥った苦境の中で酒井健二氏は社長に就任しました。
トップダウンで販管費の削減や生産性の向上を進め経営を立て直しグローバル企業への転換を主導しました。
2013年に<ウットラム>が<日本ペイント>への出資拡大を提案し<日本ペイント>の社内は騒然としましたが<ウットラム>と粘り強く交渉して提案は取り下げられました。
2014年に出資拡大を認めるかわりに<日本ペイント>がアジア合弁8社を子会社化することを合意させて<日本ペイント>の海外事業の拡大への道を開きました。
同じく2018年5月に発表した『2018年1~3月期』の連結決算は純利益が前年同期比で56%増えました。
遊休地の売却益などが貢献しましたが中国などの材料高で営業利益は4%減でした。
一方で塗料の販売は堅調で売上高は9%増でした。
2017年に米国の建築用塗料大手を買収した効果がでました。
2018年10月に再利用できる粉体塗料の国内生産能力を2倍に引き上げることを表明しました。
廃棄量を少なくでき光化学スモッグの原因になる溶剤を使っていない粉体塗料は環境規制が強化される中で需要が増えているため能力増強で対応する考えです。
新しい製造技術を導入して生産工程を減らすほか製造する色の変更にかかる時間を短くすることで従来の人員数のままで生産量を2倍に引き上げる狙いです。
2018年11月に中国の工業製品向け塗料会社2社を買収することを表明しました。
風力発電設備やコンテナなど工業製品向け塗料を手掛ける会社で<上海メガコーティングス>と<メガコーティングス南通>を買収して中国市場での収益源の多様化を図ります。
中国では政府の環境対策で風力発電所への投資が増えており塗料の需要が拡大しています。
2019年2月に発表した『2018年12月期』の連結決算は純利益が前期比8%減でした。
販売数量は増えましたが酸化チタンやナフサなどの原料価格が高騰しました。
中国の環境規制で白色顔料になる酸化チタンなどの価格が上がりコストが上昇しました。
2019年3月に<J I C>の前社長である田中正明氏が代表取締役会長に就任しました。
<J I C(産業革新投資機構)>の社長に2018年9月に就任しましたが<経済産業省>と高額報酬などを巡り対立したことで2018年12月に田中正明氏は社長を辞任しました。
米国<ユニオンバンク>頭取や米国<モルガン・スタンレー>取締役を歴任した田中正明氏は海外企業での経験を積んだあと<三菱UFJフィナンシャル・グループ>の副社長を務めています。
<日本ペイントHD>の売上高の70%程度は海外が占めていて海外ビジネスに精通したプロ経営者の登用を進めていました。
田中氏は「グローバル企業を目指す経営陣の改革意欲に共感した」と会長職を受けた理由を説明しています。
現地シェアトップで主力である中国事業については「リスクはあるものの経済情勢が悪い時ほどM&Aやシェアを高める機会が増す」との考えを述べています。
2019年4月にオーストラリアの塗料最大手を8月に買収することを発表しました。
豪州の<デュラックスグループ>はオーストラリアとニュージーランドの塗料市場で約50%のシェアを占めます。
<日本ペイントHD>の田堂哲志社長は「中国一辺倒から脱却し安定的な収益体制をつくる」と買収の狙いを述べました。
「米中貿易摩擦や成長の鈍化などのリスクも存在する」と経営上の課題も述べています。
約3000億円という<日本ペイントHD>にとっては過去最高額の買収案件になりますが経済成長の鈍化が懸念される中国への依存の収益構造からの脱却を進める考えです。
同じく2019年4月にトルコ塗料メーカー<ベテックボイヤ>を買収すると発表しました。
<ベテックボイヤ>はトルコの塗料首位でトルコの需要拡大を見越して買収を決めました。
2019年9月に田中正明会長が2020年1月から社長CEOを兼任すると発表しました。
会長兼社長CEOに来年就任する田中正明氏は「世界的な人口爆発で塗料市場はまだ伸びる」「グローバルで持続的な成長に貢献する」と語り<ウットラムグループ>との関係については「今後も連携を強化し合弁会社の完全子会社化も視野に入れる」と語りました。
しかし『大きな課題』が目の前に立ちはだかっています。
それは『人材の課題』です。
<日本ペイントHD>の売上高の約70%は海外が占めています。
なかでも現地シェアトップの中国事業の比重が大きくこの中国事業の成長を主導してきたのは<ウットラムグループ>です。
1990年代に<ウットラム>が60%<日本ペイントHD>が40%を出資する合弁会社を設立してきました。
2014年に契約を改めて<日本ペイントHD>が出資比率を51%に引き上げましたがそれまでは<ウットラム>が中心となって中国事業を運営してきました。
そのため海外売上高の比率は高まりましたが『海外事業に精通した人物』が<日本ペイントHD>で育っていないのです。
これから日本国内の塗料市場は大幅な伸びが見込めないため今後の成長は海外に求めるほかありません。
主力の建築用塗料は国や地域で需要や商流が大きく異なるためそれぞれのグループ会社に権限を委譲して現地市場に合わせた迅速な経営を進める必要があります。
一方でグループ会社への権限委譲は<日本ペイントHD>のコントロールが利かなくなる危険性も高まります。
したがって基本的な規則を守らせるコーポレート・ガバナンスが求められます。
さらに現地で打ち出す戦略が成長につながるかどうか?
目利きできる人材も必要になります。
海外のグループ会社が拠点とする国情に精通した経営層の育成とグループ全体の行く末を見据えてグループ各社を統括し舵取りできる次世代の経営トップ層の育成が<日本ペイントHD>にとって差し迫った重要な課題となっています。
今日の事例で何を学べるでしょうか?
急速に海外や国内での市場が拡大した会社は……従来の経営層だけでは十分な経営の舵取りは難しい。
社内においては次世代の経営層の育成に取り組み社外からは経営層の即戦力になる優れた人材を招聘することが重要な課題となる。


