中国・武漢から発生した『新型コロナウイルス』が中国本土で急速に感染拡大しています。
中国に工場を持つ日本企業や中国から部品・材料などを輸入している日本メーカーにとって今後の生産量や納品スケジュールに多大な影響を及ぼすことが予想されます。
現時点ではまったく予測不能な事態が起きています。
世界の設備投資の動向に左右されやすい企業のなかに重工メーカーがあります。
今日のメルマガの企業事例は< 住友重機械工業 >です。
大企業の企業事例を読んで変化する経営環境を読み取っていただきぜひ自社の事業に照らし合わせながら新たな取り組みに生かしてください。
今日の企業事例[第377話]は『設備投資の動向に左右されない商品開発』合併を繰り返してきました1888年11月に別子銅山の機械設備の製作を担当する『工作方』として創業しました。
1928年に<住友別子鉱山>新居浜製作所へ改称しました。
1940年9月に<住友機械工業>に商号変更しました。
1945年12月に<四国機械工業>に商号変更しました。
1952年5月に<住友機械工業>に商号変更しました。
1969年6月に<住友機械工業>と<浦賀重工業>を合併<住友重機械工業>を設立しました。
1995年10月に艦艇造船事業を< IHI >と統合して<マリンユナイテッド>を設立しました。
2015年10月に<三菱重工マシナリーテクノロジー>の産業用クレーン事業を譲受しました。
2018年4月に子会社の<住重富田機器>と<住重テクノス>を吸収合併しました。
< 住友重機械工業 >のビジネスモデル2018年11月に難治性がんで薬剤を使い治療効果を高める臨床試験の取り組みが報道されました。
40年以上に渡る加速器製造技術を応用し1989年から国内大学との共同研究で陽子線を発生するサイクロトロンを開発し陽子線治療の照射機構を含めた陽子線治療システム一式を提供しています。
がん細胞が取り込んだ薬剤から放射線が飛び正常な組織を傷めずにがん細胞を叩きます。
従来の放射線や抗がん剤で治せない難治性がんの治療法として期待されています。
2019年1月にグループ会社などの製品データ検査について不適切な検査が判明したと発表しました。
不正が発覚したのは<住友重機械工業>の『プラスチック機械事業部』と<住友重機械搬送システム><住友重機械ギヤボックス><住友重機械精機販売>です。
動く歩道の定期点検などで無資格者が点検したり検査結果のデータを書き換えて顧客に提出したりしていました。
<住友重機械工業>の別川俊介社長は……「コンプライアンス最優先の意識が浸透していなかった」と説明しました。
<住友重機械工業>は2018年6月にグループ企業の建設機械などでの不正を公表していて7月、8月、10月と次々に新たな不正を公表していました。
社外取締役を委員長とする特別調査委員会を設置して3月末までをめどに詳細な原因究明と再発防止策をまとめます。
2019年2月に体を傷つけることなく前立腺がんを見つける診断技術を開発すると表明しました。
<北海道大学>や原子力施設メンテナンスの<アトックス>などと共同で開発します。
前立腺がん特有のたんぱく質に結合する診断薬を投与して画像診断装置を使い体を傷つけることなく前立腺がんの位置や大きさが分かる診断技術です。
高齢者の増加に伴い前立腺がん患者が増える見通しです。
2019年2月に下村真司取締役専務執行役員が4月1日付で社長に昇格する人事を発表しました。
下村真司氏は主力子会社である<住友建機>の社長を務めています。
下村真司氏は検査不正などの再発防止に力を入れるとともに「人材の多様性と技術を生かしていかなる需要環境でも通じる一流の商品を提供していきたい」と述べています。
2019年3月に品質管理に関する一連の不適切行為について再発防止策を公表しました。
品質やサービスに関する法令などを軽視していたほか不適切な検査を許す品質管理プロセスに不備があったことなどを原因として指摘しています。
コンプライアンス(法令順守)の最優先や業務品質の改善など経営方針を徹底するとしています。
別川俊介社長は責任を取り月額報酬20%を2カ月間返上します。
2019年5月に発表した『2019年3月期』の連結決算は純利益が前期比32%増と過去最高でした。
建設機械事業は北米や中国でショベルや建設クレーンの受注が伸びバイオマス発電設備や水処理プラントなど環境・プラント事業も受注を伸ばしました。
2019年7月に小惑星『りゅうぐう』の地中の砂の採取に探査機『はやぶさ2』が成功しました。
4月には人工クレーターをつくり地中の砂や岩石を飛び散らせてありそれを機体に取り込む役割を果たしたのが<住友重機械工業>が開発したジャバラ状のもので舞い上がった砂を内部に送り込む機体下部にある筒状の部品の『サンプラーホーン』でした。
2019年9月にモーターを制御するインバーターのメーカー<インバーテック>の買収を発表しました。
英国<インバーテック>は1998年創業でモーターの制御ソフトウエア技術も持ち欧州・北米を中心に80カ国以上で顧客基盤を抱えています。
2019年11月に『2020年3月期』の連結純利益見通しを19%減と予想から90億円下げました。
米中貿易摩擦による景気悪化で設備・インフラ投資が縮小し中国企業の投資意欲は落ち込んでいます。
2020年1月に下村真司社長はボイラー事業は将来的に新たな取り組みが必要と述べました。
欧州を中心に再生可能エネルギーが台頭してきており「バイオマス発電向けも2〜3年は良い状態だろうが将来的に新たな取り組みが必要」「廃棄物の活用や小規模発電の提案を東南アジアで強化したい」と下村真司社長は取材に答えています。
2019年の秋以降の状況を鑑みて今期の業績見通しを引き下げました。
米中貿易摩擦による景気悪化で中国の企業による設備・インフラ投資が縮小したことが要因でしたが2020年2月に中国での『新型コロナウイルス』の感染拡大が続いている現状では中国の景気回復の兆しはまったくの不透明と言わざるを得ません。
中国に工場を持つ日本企業の生産や中国に輸出をしている日本の企業。
中国からの部品や材料の供給を待つ日本の企業にとってもその悪影響は計り知れません。
大手の重工メーカーの業績は世界の顧客企業の購買意欲の影響で大きく浮き沈みします。
<住友重機械工業>の下村真司社長は……「いかなる需要環境でも通じる一流の商品を提供していきたい」と述べていますが検査不正などの再発防止に力を入れてガバナンスを強化することといかなる需要環境でも通じる一流の商品を成長の柱として育成することが喫緊の課題になります。
今日の事例で何を学べるでしょうか?
世界の設備投資の動向に左右されやすい会社は……いかなる需要環境でも通じる一流の商品を成長の柱として育成することで安定した収益を得ることができる。


