中国・武漢から発生した『新型コロナウイルス』の収束する気配がみえません。
日本の中小企業にとっても他人事では済まされなくなっています。
得意先からの発注が急に減少することや仕入れ先からの納品が突然ストップすることも視野に入れておく必要があります。
食品業界においても従業員などからの感染からどのような不測の事態が起こるやもしれません。
最悪のシナリオを想定しておくことが『名経営者の心構え』です。
今日のメルマガの企業事例は<不二製油グループ>です。
大企業の企業事例を読んで変化する経営環境を読み取ってぜひ自社の事業に照らし合わせながら新たな取り組みに生かしてください。
今日の企業事例[第378話]のテーマは『第三の「収益の柱」を育成できるか』創業から早い段階で海外へ進出1950年10月に<不二製油>株式会社を設立しました。
1964年10月に特約店組織の「ファンシー会」を九州に誕生させました。
1981年10月に<フジオイル>をシンガポールに設立しました。
1985年9月に<パルマジュ エディブル オイル>をマレーシアに設立しました。
1987年6月に<フジ ベジタブル オイル>をアメリカに設立しました。
1992年2月に<フジ オイル ヨーロッパ>をベルギーに設立しました。
2015年10月に持株会社化によるグループ本社制へ移行し<不二製油グループ本社>株式会社に商号を変更しました。
<不二製油グループ>のビジネスモデル2018年6月にマレーシアにパーム油製品の環境配慮型の大型工場を稼働させました。
パーム油農園はインドネシアとマレーシアで合わせて世界生産量の90%を担っていますが東南アジアの熱帯雨林を伐採し森林の人々や生物の暮らしに影響を及ぼしながら生産を増やし児童労働なども多く就労環境も厳しい状況でした。
2004年に国際的な非営利組織の『持続可能なパーム油のための円卓会議』(RSPO)が発足したことで環境保護や労働環境に配慮しているとの認証を受けたパーム油の調達を促す動きが企業に広がってきました。
欧州は『RSPO』の認証制度を活用して2020年に100%持続可能なパーム油へ切り替えると宣言しました。
<不二製油グループ>は従業員の様子を確認できるようにしたほかバイオマス発電などを取り入れるなど生産過程で国際環境認証を取得し環境や人権に配慮した高品質製品で世界最大級の工場になります。
国連が定める『持続可能な開発目標』(SDGs)への対応がなされています。
『パーム油』の用途はフライ用や菓子などに幅広く使われ最近ではトランス脂肪酸を含まないという健康面の優位性から欧米でも伸びていて環境問題に敏感な欧州食品メーカー向けに菓子用などで販売するほか<不二製油グループ>はチョコレート用油脂などに加工して販売しています。
2018年11月に発表した『2018年4~9月期』の連結決算は純利益が期比24%減でした。
中国で大豆たんぱく素材事業から撤退し大阪北部地震の影響などもあり特別損失の計上が響いています。
その一方で国内は採算重視の販売などで営業利益は1%増でした。
2018年11月に米国のチョコレートメーカーを買収すると発表しました。
<ブロマーチョコレートカンパニー>は過去最大の買収案件となり事業別の売上高は『チョコ事業』が最大になり海外の売上高が国内を上回ります。
業務用チョコでは世界3位の規模になり強みである油脂加工技術も生かすことで今後の事業発展を狙います。
<不二製油グループ>清水洋史社長は……「買収を通じて北米への足がかりを築き世界における販売拡大を目指す」と記者会見で述べています。
しかし<不二製油グループ>は業務用チョコ大手にもかかわらず自前でカカオ豆を調達していません。
カカオ豆の調達を他社に委ねたままだと適切に管理された農園からカカオ豆が調達できなくなる可能性もあります。
西アフリカや中南米などのカカオ豆農園とも幅広くパイプを持つ今回の米国メーカーの買収によりカカオ豆農園との関係の構築を進めていくことができます。
2019年3月に大豆ミートの新工場を千葉県に建設すると表明しました。
消費者の健康志向を追い風に大豆でできた人工肉である『大豆ミート』の需要が増えていて阪南工場はフル稼働が続いているため能力増強で需要を取り込む狙いです。
外食などの企業向けに販売していますが大森達司取締役は……「注文を受けても待っていただく状況が続いている」と述べています。
健康志向を背景にして高たんぱく・低カロリーな食材として大豆の注目度が高まっています。
<日本植物蛋白食品協会>によると2018年の国内生産量は10年前比50%超増えていてこのうち<不二製油グループ>はシェア約50%と最大手になります。
2019年5月に発表した『2019年3月期』の連結決算は純利益が前期比16%減でした。
大豆製品を生産する中国の工場閉鎖など20億円の減損損失を計上し北米の業務用チョコレート大手の買収に関連する費用も負担となりました。
2019年9月に大阪市の大丸心斎橋店に総菜店をオープンしました。
総菜店の『アップグレードプラントベースドキッチン』は唐揚げなど約20種類の総菜やデザートのすべてが『植物由来』の専門店です。
主力の阪南工場は現在フル稼働生産のため千葉県に専用の新工場を稼働させます。
2020年7月には生産能力が現在から倍増する計画です。
<不二製油グループ>は<ブロマーチョコレートカンパニー>を買収したことで事業別の売上高が『油脂事業』を抜いて『チョコ事業』が最大になりました。
祖業であるパーム油など『油脂事業』から加工度を上げることで事業領域(ドメイン)を拡大してきました。
『チョコ事業』はチョコ原料を国内外の菓子メーカーの要望に応えるカタチに加工することで供給する会社として成長してきました。
いわゆる『マーケットイン』の発想で事業を拡大してきました。
さらに買収後の売上高の海外比率が57%となり国内を逆転しました。
世界に有する工場は10カ国16カ所に広がります。
国内人口の減少化などで国内需要の伸びが期待できないため今回の買収によって規模を生かしグローバルで存在感を高めることで調達を優位に進めることも可能です。
祖業の『油脂事業』に加え第2の柱として『チョコ事業』に集中投資していますが『チョコ事業』を成長の軌道に乗せるとともに第3の柱として『大豆ミート事業』を育成できるかが今後の課題になります。
今日の事例で何を学べるでしょうか?
加工技術を強みとする会社は……自社の開発商品を販売する『プロダクトアウト』ではなく市場のニーズやウォンツに応える『マーケットイン』の商品を自社の強みである加工技術で開発することでおおきな成長が期待できる。


