コロナ禍のもとで進んだことの中に『働き方の多様性』があります。
最近よく聞く言葉で『リモートワーク 』がありますが会社から離れた場所でのワークスタイルの全般を指します。
同様に行政によって定義されている言葉として『テレワーク』がありますが『リモートワーク 』も『テレワーク』も意味として大差ありません。
『リモートワーク 』で働き方や雇用関係で浮上してきたことは仕事を時間管理してきた今までのスタイルから仕事を役割で管理する仕組みに変更しなければいけないことでした。
それが『ジョブ型』雇用と呼ばれる人事制度になります。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第414話<王子ホールディングス>です。
提携や合併を繰り返し業界トップに1949年8月に過度経済力集中排除法に基づいて解体された<王子製紙>の後継会社の一つとして<苫小牧製紙>の社名で設立されました。
当初は1社1工場でしたがこの体制は経営の面から問題視され第2の拠点建設が計画されました。
1952年に愛知県春日井市に春日井工場として第2の拠点工場が操業を開始しました。
1952年6月に<苫小牧製紙>から<王子製紙工業>に社名を変更しました。
1960年12月に<王子製紙工業>を<王子製紙>に社名を変更しました。
1968年に<北日本製紙>と提携しました。
1971年に<中越パルプ工業>と提携しました。
1989年4月に<東洋パルプ>と合併しました。
1993年10月に<神崎製紙>と合併し<新王子製紙>に社名を変更しました。
1996年10月に<本州製紙>と合併し<王子製紙>に社名を変更しました。
2012年10月に<王子製紙>が<王子ホールディングス>に社名を変更するとともに会社分割により事業部門および一部の間接部門を事業子会社へ移管する再編を行いました。
<王子HD>のビジネスモデル2019年5月に『2020年3月期』の連結純利益が前期比15%増との予測を発表しました。
ネット通販が伸びているため段ボールの需要が国内外で堅調なうえ値上げの浸透で利幅が拡大しており純利益は2年連続の最高益となります。
2019年5月に印刷用紙などの国内生産を縮小すると発表しました。
『2020年度上期』までに北海道など3つの工場にある生産設備の一部を停止します。
紙の国内需要が減っているためですが過去最大規模の生産縮小となります。
2019年8月に発表した『2019年4~6月期』の連結決算は純利益が前期比31%減でした。
海外事業におけるパルプ市況の悪化が重荷になったことに加え愛知県の工場で火災が発生し特別損失を計上したことも影響しました。
2019年10月に段ボール原紙を生産する名寄工場を2021年中に閉鎖すると発表しました。
苫小牧工場で新聞用紙の設備の一部を段ボール原紙用に変える予定で名寄工場から生産を移します。
2019年11月にブラジルとニュージーランドでの増産に計約200億円を投じると発表しました。
ブラジルではレシートなどに使う感熱紙の生産能力を増強しニュージーランドでは老朽化した段ボール工場を移転し設備を刷新します。
2019年11月に発表した『2019年4~9月期』の連結決算は純利益が前期比8%増でした。
印刷用紙などの値上げが浸透したほか段ボールの販売量が青果物・通販向けなどで増加しました。
取締役専務グループ経営委員の武田芳明氏は……「段ボールは単月で10%以上販売が増えた」と述べています。
2019年12月に牛乳パックなどの紙容器製造に共同で<石塚硝子>と取り組むと表明しました。
新会社で紙容器の製造・販売、充填機械の販売・保守まで一貫して手がけます。
経済成長を背景に需要が伸びる東南アジアへの展開を視野に入れ需要を取り込む考えです。
2020年1月に<ネスレ日本>のパッケージ向けに紙素材が採用されたと発表しました。
世界的な脱プラスチックの流れを追い風にチョコレート菓子『キットカット』のパッケージ向けに採用されました。
2020年2月に『2020年3月期』の連結売上高が前期比2%減との予測を発表しました。
米中貿易摩擦や台風など天候不順の影響で国内の需要が振るわないことが影響しています。
2020年3月に東南アジアやインドで新工場の建設を加速する考えを表明しました。
「高い成長が続くアジアでは年2カ所以上のペースで新工場を建設する必要がある」と<王子ホールディングス>の矢嶋進会長は取材で述べています。
アジアで感染が広がる新型コロナウイルスの影響については「市況の押し下げ要因になるが長期化するとは見ておらず投資計画は変わらない」と述べています。
<玖龍紙業>や<理文造紙>などの中国の紙業大手も東南アジアで新工場の建設を加速しています。
2020年4月にマスクや医療用ガウンに使う不織布の生産を始めると発表しました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け医療用ガウンに使う不織布などの生産をグループ会社で始めました。
2020年5月に発表した『2020年3月期』の連結純利益は前期比12%増でしたが<王子HD>の矢嶋進会長は……「印刷用紙の販売数量はコロナの影響が出る前から大きく減っており一段の減少を見込まざるを得ない」「国内の生産体制のさらなる再編も否定できない」と述べています。
在宅勤務の拡大で縮小してきた企業からの印刷用紙などの需要は一段と縮小し広告やチラシなどの減少にも歯止めがかかりません。
木坂隆一取締役専務は……「印刷用紙などの4~9月期の販売量は15%程度減る」と述べています。
2020年8月に発表した『2020年4~6月期』の連結決算は純利益が前期比82%減でした。
パルプの販売事業は米中貿易摩擦を受けた海外の市況の低下がコロナ禍で長引き採算が悪化しました。
外出自粛やテレワーク拡大の影響で国内の印刷情報用紙の需要減が加速しイベントなどの自粛によりカタログやポスターの需要なども落ち込んでいます。
テレワークの浸透が進めば印刷情報用紙の大きな需要回復は見込みにくくなり新型コロナの感染が落ち着いたとしてもオフィスなどでの紙需要が以前の水準に戻るとは考えにくいという指摘もあります。
国内の印刷・情報用紙などに頼るビジネスモデルからの転換を迫られています。
今日の企業事例である<王子ホールディングス>をすこし俯瞰して見てみましょう。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う在宅勤務の増加を受け紙の需要が大幅に落ち込んでいます。
打開策として経済成長が続く東南アジアで工場新設や出資に乗り出しますが低コストが強みの中国勢も進出して消耗戦に陥るリスクを抱えています。
国内ではオフィスなどで使う印刷用紙の需要減を見越して段ボールやトイレットペーパーなどの『生活産業資材分野』を柱とする事業構造改革を進めてきました。
2008年のリーマン・ショック時は『紙パルプ製品事業』が売上高の半分を占めていましたがいまでは段ボールや家庭紙などの『生活産業材』が4割を占めており事業の多角化を進めてきたことが業績の安定につながっています。
しかしコロナ禍の発生によりテレワークの増加などで需要はさらに減少する傾向です。
海外での段ボール工場の立ち上げなど『生産の再編』をどれだけ進められるか『afterコロナ』の成長力に直結します。
<王子ホールディングス>にとって『改革の真価』が問われています。


