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ブログ / ビジネスモデルの企業事例

第415話 東急のビジネスモデル

2020年10月30日 執筆:渡邉ひとし

今月26日に発表された<日本電産>の『2020年4~9月期』は売上高は前期比0.1%増、営業利益は前期比12%増の2桁増益となりました。

『2021年3月通期』も従来予想を営業利益で29%増と増収増益を見込んでいます。

「自動車市場は需要が戻るものは戻るだがマーケットは変わった」「売れないものが有る一方で新市場もある」と会長CEOの永守重信氏は述べています。

コロナ禍にもかかわらず好業績が出せる秘訣は2つ。

1つは『成長分野への長期的投資と我慢の取り組み』将来の変化を予測して長期的に取り組むこと。

2つ目は『最初は低いシェアでも高シェアを狙うこと』中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。

大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。

今日の企業事例は第415話<東急>です。

同業他社を合併し戦後に再編成しました1918年9月に渋沢栄一氏が東京府荏原郡の宅地開発などのため<田園都市>を設立しました。

1922年9月に<田園都市>の鉄道部門を分離独立させ<目黒蒲田電鉄>を設立しました。

1928年5月に<目黒蒲田電鉄>が<田園都市>を合併しました。

1939年10月に<目黒蒲田電鉄>が<東京横浜電鉄>を吸収合併して<東京横浜電鉄>と商号変更しました。

1942年5月に<京浜電気鉄道><小田急電鉄>を合併し<東京急行電鉄>と商号変更しました。

1948年6月に会社の再編成により<京浜急行電鉄><小田急電鉄><京王帝都電鉄>を設立し渋谷支社と目黒支社を残して<東京急行電鉄>を再形成しました。

1980年9月に各地域の東急グループの組織である『東急会』を再編しました。

2003年4月に事業持株会社化に向けた機構改革を実施し鉄道と都市生活の2本部体制にしてホテル事業を<東急ホテル>チェーンに営業譲渡しました。

<東急>のビジネスモデル2019年4月に<JR東日本>と組み『観光型MaaS』の実証実験を始めました。

下田駅周辺を中心にスマートフォンアプリ『Izuko(イズコ)』を提供しましたが半年間で2万件のダウンロード目標は5月末で達成することができました。

観光を軸に複数の移動手段を組み合わせる『観光型MaaS(マース)』を利用すると観光地が点在し鉄道で訪れると公共交通の乗り継ぎが欠かせない静岡・伊豆の観光がスムーズになります。

2019年5月に東急田園都市線南町田駅周辺の商業施設『南町田グランベリーパーク』の概要を発表しました。

ショッピングセンター『グランベリーモール』の跡地などの商業施設を新設します。

『南町田』駅は施設と直結させ『南町田グランベリーパーク』駅と施設と同名称に変更します。

2019年6月に小中学校のプログラミング教育を推進する協定を6者で結んだと発表しました。

<渋谷区教育委員会><東京急行電鉄><サイバーエージェント><DeNA><ミクシィ><GMOインターネット>2020年に小学校でプログラミング教育が必修化することを受け連携して渋谷区の小中学生向けに質の高いプログラミング教育を提供していく考えです。

2019年6月に2022年度予定の『新宿TOKYU MILANO』の再開発の狙いを表明しました。

中高層階にはホテルが入り低層部は映画館、劇場、ライブホールなどエンタテインメント関連の施設が入ります。

「グローバルにも通用する街として再生させる」と田島邦晃氏は述べています。

2019年6月に渋谷駅の真上に地上47階建ての複合商業ビルを開業すると表明しました。

<JR東日本>や<東京メトロ>との共同プロジェクトであり東京ドーム1.6個分に相当する床面積をオフィス向けに貸し出します。

開業が11月の大型複合施設の名称は『渋谷スクランブルスクエア』。

<サイバーエージェント>など有名なIT企業の入居が決まっています。

これら渋谷駅周辺の再開発に伴い<東急百貨店>東横店の営業を2020年3月31日に終了します。

2019年8月に『下田ロープウェイ』は改装した新ゴンドラの運行を始めました。

伊豆急下田駅と寝姿山山頂を結ぶ『下田ロープウェイ』は<東京急行電鉄>の豪華列車『THE ROYAL EXPRESS』のイメージと統一しています。

2019年8月に北海道・東部を走らせる豪華観光列車のルートや本数を決めたと表明しました。

<東京急行電鉄>の営業エリアを完全に離れて運行するのは今回が初めてになりますが『THE ROYAL EXPRESS』は札幌発着で石北線や釧網線を経て大きく1周するルートをとり約1カ月間は毎週末運転します。

北海道・東部での越境運行を皮切りに全国で『THE ROYAL EXPRESS』運行の可能性を探る考えです。

2019年8月に『5G』の基地局をシェアリングする実証実験を始めると発表しました。

2020年1月をメドに渋谷駅周辺のハチ公像近くなどで<住友商事>と共同で実施します。

『5G基地局』のアンテナ部分などを共用で使う今回の構想は既存の『4G』と比べると5倍~10倍の基地局が必要との試算があることから『5G基地局』のシェアのニーズがあると見込んでいます。

2019年9月に<東京急行電鉄>から<東急>に社名を変更しました。

『2030年度までの長期経営構想』の発表に伴う記者会見で分社化する鉄道事業について「今後も中核事業であり中心に位置することは変わらない」と高橋和夫社長は述べています。

10月1日付で鉄道事業を<東急電鉄>として分社化することで不動産に特化した事業持ち株会社となります。

2020年2月に発表した『2019年4~12月期』の連結決算は純利益が前年同期比2%減でした。

昨年11月に開業した『渋谷スクランブルスクエア東棟』の開業費やホテルの人件費がかさみました。

2020年5月に発表した『2020年3月期』の連結決算で純利益は前期比27%減でした。

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛要請などを受け定期券以外を中心に鉄道の利用が減少しました。

『渋谷スクランブルスクエア』や『南町田グランベリーパーク』の開業で不動産賃貸業の売上は伸びました。

2020年5月に発表した『2020年1~3月期』の連結決算は最終損益が36億円の赤字でした。

新型コロナウイルス感染拡大で鉄道やホテルの需要が急減しました。

2020年8月に観光列車『THE ROYAL EXPRESS』の北海道周遊3泊4日のツアーが始まりました。

札幌を起点に池田、釧路、知床斜里、北見や旭川など道内各地を巡り旅行代金は1人68万円からになります。

「観光列車を通して世界に誇る観光地である北海道の魅力を伝えたい」と高橋和夫社長は述べています。

2020年9月に<楽天>とマーケティングや広告店舗づくりで提携しました。

2021年春までに百貨店のほぼ全店ホテル、商業施設で楽天のポイントや決済インフラ『楽天ペイ』を導入します。

「事業構造の転換、新技術導入による新たな顧客体験で楽天は最高のパートナー」と高橋和夫社長は述べています。

今日の企業事例である<東急>を少し俯瞰して見てみましょう。

新しい高層ビルが次々とオープンし街の姿が刻々と変化する東京・渋谷ですが2012年の『渋谷ヒカリエ』2018年の『渋谷ストリーム』そして2019年11月は『渋谷スクランブルスクエア東棟』12月に『東急プラザ渋谷』が開業し<グーグル日本法人>が『渋谷ストリーム』の14~35階のフロアを一括して借り上げ六本木から再び移転してきました。

<サイバーエージェント>や<ミクシィ>なども入居し以前の『ビットバレー』の活気を取り戻しました。

スタートアップと大企業や金融機関の担当者が交流する会員制の施設『SOIL(ソイル)』を開設しました。

『渋谷スクランブルスクエア』には様々なクリエーターや企業会員が所属する産業交流施設『SHIBUYA QWS』も開設しています。

スタートアップへ出資や支援を行い事業の共創をめざしています。

これからは不動産事業を成長戦略の主軸としていますが同じグループ内には不動産の有力企業である<東急不動産ホールディングス>が存在しています。

1953年に<東急電鉄>から不動産事業が分離独立して<東急不動産>が生まれました。

そして今回は<東急電鉄>から鉄道事業が分離独立し<東急>となりました。

<東急不動産ホールディングス>と統合の話題も外部で出ていますが2社が統合して『電鉄会社の不動産部門』として見られると不動産会社の生命線である土地情報の入手に支障をきたしかねないと危惧する面もあります。

<東急>の不動産事業も含め東急グループの成長戦略を描けるか新生<東急>の真価がいま問われています。

渡邉ひとし
渡邉 ひとし株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役/持続型経営コンサルタント

経営戦略・組織変革・AI活用を、実務と心理の両面から支援しています。中小企業の経営者の方には、訪問またはオンラインで、ご相談をお受けしています(初回は無料)。

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