先行き不透明な時代を『VUCA(ブーカ)時代』と呼ぶようになって久しいですね。
『VUCA時代』とは……
- Volatility(変動性)
- Uncertainty(不確実性)
- Complexity(複雑性)
- Ambiguity(曖昧性)
次々と想定外の出来事が起こり将来予測が困難な時代のことですが新型コロナウィルスの感染拡大でより一層の混迷を深めています。
若者の間ではI CT(情報通信技術)関連を中心にベンチャー企業で活躍することがひとつの成功体験のようですが誰もが働けるわけではありません。
それらベンチャー企業の経営者が人材採用で求める条件は以下の5つになるそうです。
- 思考と行動のスピードが速いか? ・いつでも現場に飛び込める泥臭さはあるか? ・ストレス耐性は高いか? ・マルチタスク能力はあるか? ・未来の夢に一緒に向かうスタンスはあるか?
しかし、これら5つの条件をじっくり見ているとわれわれ中小企業が『VUCA時代』に生き残るため社員に求める条件と一致しませんか?
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第429話<ヤマトホールディングス>です。
(*写真はイメージです。)
関東地域から全国へとエリアを拡大1919年11月に<大和運輸>を設立しました。
1929年2月に<第二大和運輸>を設立しました。
1929年5月に<第二大和運輸>と<大和運輸>を合併し<大和運輸>と社名を変更しました。
1957年に会社のロゴマークとして『親子クロネコ』を制定しました。
1976年に関東地方を対象にした『宅急便』のサービスを開始しました。
1982年10月に<ヤマト運輸>に商号を変更しました。
1997年に小笠原諸島(母島、父島)へ拡大し全国ネットワークを完成させました。
2004年3月に『クロネコメール便』が個人でも利用可能になりました。
2005年11月に持株会社制へ移行し<ヤマト運輸>を<ヤマトホールディングス>に<ヤマト運輸分割準備>の会社を<ヤマト運輸>に社名変更しました。
2006年5月に海運最大手である<日本郵船>との資本・業務提携を発表しました。
2015年3月に『クロネコメール便』を廃止しました。
<ヤマトホールディングス>のビジネスモデル2019年5月に<オイシックス・ラ・大地>の生鮮品の一貫保冷輸送サービスに乗り出しました。
生鮮食品宅配の<オイシックス・ラ・大地>が香港で取り扱う生鮮品の一貫保冷輸送サービスに乗り出しました。
冷凍食品は生産者から加工業者倉庫、小売店、消費者へと流れますが適切に温度を管理しないと食材が劣化する恐れがあります。
<ヤマトホールディングス>のグローバル戦略立案推進機能マネージャーの工藤陽介氏は……「日本から香港まで一貫したヤマト品質で配送できるようになる」と述べています。
2019年7月に中国・上海の物流倉庫で無人搬送機を導入しました。
ネット通販の普及で中国でも倉庫作業の人手確保は難しくなり人件費は年8~10%増加しています。
電子商取引の商品などを取り扱う上海の物流倉庫で無人搬送機を導入し試験運用を始めています。
2019年8月に『空飛ぶトラック』の試作機で無人輸送機の試験飛行が成功しました。
米国のヘリコプター製造大手である<ベル・ヘリコプター>と共同開発中の無人輸送機が時速・約150キロメートルで4分半の飛行を2度繰り返しました。
軍用機なども製造する米国の<ベル・ヘリコプター>が機体を製造し<ヤマトホールディングス>は荷物を積む容器を開発しています。
トラック運転手の高齢化により人手不足が深刻になるとみられ2018年10月から共同開発を始め2025年までに輸送サービスに組み込む方針です。
2019年9月からスマートフォンで宅配便の送り状の作成から決済までできるサービスを始めました。
個人向け会員制サービス『クロネコメンバーズ』向けで宅急便、宅急便コンパクトやクール宅急便が対象でゴルフ宅急便などにも順次対応していきます。
キャッシュレス決済に対応し発送の利便性を高めると同時にドライバーへの負担や集荷コストを抑える狙いです。
2019年10月に『2019年4~9月期』の連結営業利益は前期比80%減の見込みと表明しました。
宅配便の15%超の値上げのため<アマゾンジャパン>などネット通販企業が安価な配送会社に流れました。
さらにドライバーを中心とする人員増強のためコストばかりが先行した結果です。
2020年1月に事業環境の変化に合わせた構造改革案を発表しました。
『2021年4月』に現在の純粋持ち株会社制から事業会社に移行し顧客に合わせた営業組織などに再編します。
<ヤマトHD>が<ヤマト運輸>などグループ8社を吸収合併・分割する形で事業会社に移行します。
リテール、地域法人、グローバル法人ECの4つの事業本部に再編するほか輸送やIT(情報技術)など事業を支える部門ごとに4つの機能本部を設けます。
<ヤマトHD>の長尾裕社長は……「ヤマトらしさだったお客様視点が失われつつあった」と再編について述べています。
さらに「Eコマース化に合わせた最適なサービスに変えていかなければいけない」と述べネット通販専用の配送網を構築することを決めました。
2020年3月に<Zホールディングス>と業務提携する基本合意に達したと発表しました。
電子商取引で注文を受けた商品のピックアップから梱包、配送までの全業務を委託できるサービスで出店者が在庫を持ち商品の受注ごとに商品をピックアップしてその後工程を委託できるサービスも用意し『フルフィルメント』サービスでも『ピック&デリバリー』サービスでも出店者が選べるようにします。
2020年3月にコーポレートベンチャーキャピタルを立ち上げると発表しました。
物流関連の先端技術を持つスタートアップ企業に出資するため<グローバル・ブレイン>と『クロネコイノベーションファンド』を4月1日付で設立します。
2020年5月に2021年4月予定の事業会社への移行を取りやめると発表しました。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で「法的手続きが遅延する可能性があるため」と説明しています。
2020年5月に発表した『2020年3月期』の純利益は前期比13%減でした。
新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が広がりインターネット通販の『巣ごもり』需要は伸びていますが企業間の荷物が落ち込み減収要因となりました。
2021年1月に『2021~2023年度』の新たな中期経営計画を発表しました。
2023年度の目標は営業収益が2兆円営業利益は1200億円データ分析に基づく経営資源の最適化やグループインフラの強化などの重点施策も示しています。
2021年1月に『2021年3月期』の業績予想を上方修正しました。
ネット通販の宅配が伸びているのに加え配送体制の見直し効果も表れ売上高原価率が改善しています。
2021年2月に新型コロナウイルスワクチンの国内輸送を担うと表明しました。
政府が確保した冷凍庫から自治体の保存・接種拠点へ米国<ファイザー>製のワクチンを超低温で輸送します。
今日の企業事例である<ヤマトホールディングス>を少し俯瞰して見てみましょう。
国土交通省によると国内の宅配便取扱実績は2019年度まで5年連続で過去最多を更新しています。
新型コロナウィルスの感染拡大で『2020年4~9月』の宅配便取扱数が<ヤマトHD>は前期比13%増でした。
急速な電子商取引の成長で物流現場の人手不足の深刻さがさらに増しています。
2020年11月の荷物を見ると約1億7千万個で前年比16%でした。
物流拠点から家庭までの『ラストワンマイル配送』を手掛けるドイツの<ライトル>は2021年にも日本市場に参入する計画です。
電動車両や荷物の受け取り施設ルート案内のアプリなどのサービスを一括で提供しています。
小回りが利き荷物収納ボックスを車体の後部に簡単に着脱できる電動車両を自社で開発しました。
トラックなどを活用する方式に比べ配送距離や時間を最大で45%減らせるとしています。
<ヤマトホールディングス>は<ライトル>と組み11月中旬に千葉県で配送の実証実験を始めました。
2017年10月に27年ぶりに基本運賃を引き上げ荷物の取扱数を制限する総量規制に踏み切った結果顧客離れで業績は低迷しました。
国内の宅配便取扱数は2018年度に43億個に達し5年間で18%増えました。
<ヤマトホールディングス>は8%増の18億個で全体の約40%を占めました。
増える荷物に人手不足が重なり『2019年3月期』の人件費総額は5年前に比べ約1千億円も増えました。
中小の運送会社への委託配送を広げるなどした結果外注コストが増加しました。
2019年11月には創業100年を迎えました。
『クロネコヤマトの宅急便』の生みの親である小倉昌男氏が唱えた『全員経営』の原点に立ち戻れるか?
「ただ荷物を運ぶだけの仕事じゃない」「社員が無理なく働けてお客様にも喜んでもらえたとき自然と利益もついてくる」次代の『宅急便の姿』をどう描き出すか。
長尾裕社長に課せられた『ビジョン』と『行動計画』に復活の成否が掛かっています。


