新型コロナウィルスの感染拡大で『ステイホーム』というメッセージで自粛する生活が続いていますがそんなニューノーマル(新常態)で自宅でのライフスタイルにも変化が出始めています。
外出自粛やリモートワークで自宅にいる時間が増えたことから部屋の中に彩りが欲しいと考える人が増えているようです。
たとえば……<日比谷花壇>の『ハナノヒ』は2021年1月時点で会員数は約3万人に達しています。
新型コロナウイルス感染症の拡大で会員数は約3倍に増加しました。
専用のアプリからプランを購入し店頭でスマートフォンの画面を見せてお店のスタッフにQRコードを読み込んでもらい対象の切り花を受け取ります。
プランは6種類で価格は月額987円~1万5878円のサブスクリプションサービスです。
このサービスで想定外だったのは女性だけではなく男性も多数利用していることです。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第430話< H I S (エイチ・アイ・エス)>です。
(*写真はイメージです。)
創業者澤田秀雄氏が1代で築きあげました1980年12月に<インターナショナルツアーズ>を東京都新宿区に設立しました。
1990年4月に<エイチ・アイ・エス>に商号を変更しました。
1994年1月に名古屋支店と名古屋栄支店を統合して名古屋支店の大型店舗を設置しました。
1996年11月に<スカイマークエアランズ>を設立しました。
2000年3月に<エイチ・アイ・エス協立証券>を子会社化しました。
2006年6月に2005年度の海外旅行取扱人数において旅行業界首位となりました。
2008年12月に国内初のホテルとなる『ウォーターマークホテル札幌』を開業。
2010年4月に経営難で赤字の<ハウステンボス>を子会社化しました。
2011年3月に3月期の海外旅行取扱高において旅行業界首位となりました。
2015年7月に「変なホテル」を開業しました。
2016年4月に電力の販売を開業しました。
2016年11月にホテル運営を担当する子会社 として<H.I.S.ホテルHD>を設立しました。
2018年2月に<日本通信>との合弁会社である< H.I.S.Mobile >を設立しました。
< H I S >のビジネスモデル2019年4月に<福井県>が『越前陶芸村』内の施設の指定管理者に<H I S>を起用しました。
『越前陶芸村』は1971年に越前焼振興策の一環として開業しました。
最近は集客は厳しい状況が続いていました。
県陶芸館、越前古窯博物館アート作品が点在する越前陶芸公園の3つの施設のほか焼き物直売所の『越前焼の館』や『文化交流会館』などがあります。
<HIS>から派遣された運営管理統括責任者の玉置大剛氏は「今まではもともと陶芸に興味がある人を迎えるという考えだったそれを人を『呼び込む』という攻めのアプローチに変えた」と述べています。
2019年8月に<ユニゾHD>の株式公開買い付けで株主から応募がなかったと発表しました。
<ユニゾHD>が米国投資ファンドと組んで対抗したことなどが影響しました。
近年はホテル事業に力を入れており<ユニゾHD>とのホテル事業での協業を求めていましたが「旅行業の<HIS>とでは相乗効果が出にくいうえ提示された1株3100円という価格は本来の企業価値に対して低すぎる」と反対を表明していました。
2019年8月に『2019年10月期』の連結純利益が前期比13%減の見込みと発表しました。
訪日外国人向け旅行事業が想定以上に悪化しており長崎県佐世保市<ハウステンボス>の入場者数減も影響しています。
2018年9月に沢田秀雄会長が長崎県佐世保市の名誉市民となることが決まりました。
『ハウステンボス』は1992年の開業から赤字が続き2003年に経営破綻しましたが沢田秀雄会長が2010年に再建に着手してからオランダの街並みにこだわらない施設の導入や社員の意識改革を進めて業績を急回復させました。
2019年10月に遠隔操作などができる個人用の小型ロボットの販売を発表しました。
モニター画面を介した人との対話や自律走行などができ離れた場所からもスマートフォンを通じて操作ができます。
会社に置けば出社しなくてもロボットを通じて社内にいる人と会議をすることなどができます。
「自宅でのテレワークで会社でも活用できる」と<HIS>のグループ会社<ハピロボ>の富田直美社長は述べています。
2019年12月に発表した『2019年10月期』の連結決算は純利益が前期比11%増でした。
訪日外国人向け旅行の採算悪化で営業減益でしたが特別利益に<ユニゾHD>株の売却益30億円などを計上しました。
2019年12月に北陸では初となる『変なホテル』を開業しました。
『変なホテル金沢 香林坊』は『兼六園』や『金沢21世紀美術館』などの観光地やオフィス街に近くフロントは従業員の代わりに恐竜を模したロボットを設置し観光客とビジネス客の双方を取り込む狙いです。
2019年12月に製品や農産物を海外に売り込むのを支援するサービスを始めました。
三重県産の茶やみかんを中央アジアのアゼルバイジャンに輸出販売します。
旅行業のために設けた支店などを使い販路開拓や加工を手助けします。
世界69カ国に持つ店舗などのネットワークを生かし各国で同様のサービスを展開します。
2020年3月に次世代太陽電池の工場を長崎県に新設すると表明しました。
『ペロブスカイト太陽電池』と呼ばれる特殊な結晶構造の原料をフィルムなどに塗布してつくる方式で軽量で折り曲げやすくシリコン製より生産にかかるエネルギー効率が4~8倍高く生産コストを大幅に下げられる可能性もあるといいます。
2020年4月に約6000人を特別休暇とし全店舗で臨時休業としました。
新型コロナウイルスの感染拡大による社員の感染防止を図る考えです。
2020年6月に2021年度入社の新卒採用活動の中止を決めました。
業績悪化で経費削減など事業の見直しが急務となっています。
2020年12月に海外拠点を2019~2021年度の3年間で95カ所減らすと発表しました。
新型コロナウイルスで観光需要が激減するなかコスト削減を急ぎ経営体制を見直します。
2021年1月に<ブイテック研究所>と横浜中華街のバーチャル観光サービスを始めました。
<横浜観光コンベンション・ビューロー>などと連携して360度撮影できるカメラで撮影した映像を合成し観光名所をスマートフォンなどで疑似的に散策できるようにしました。
2021年2月に株価が急伸して2020年6月以来約8カ月ぶりの高値をつけました。
観光支援策『Go To トラベル』の予算を活用し旅行代金の補償とは別の支援を検討していると赤羽一嘉国土交通大臣が記者会見でと表明したことへの期待感が要因のようです。
今日の企業事例である< H I S(エイチ・アイ・エス)>を少し俯瞰して見てみましょう。
新型コロナウイルスの影響で海外への移動が制限されているなか売上高の80%を占める海外旅行事業の不振が業績悪化の大きな要因になっています。
2020年12月に発表された『2020年10月期』の連結決算は最終損益が250億円の赤字でした。
最終赤字となるのは2002年の上場以来初めてで売上高は前期比47%減でした。
2020年7月には海外旅行需要の回復は難しいため本格的な再開は来年になるとみて新型コロナウイルス感染の収束まで国内で利益を伸ばす方針を立て当面の主軸を国内旅行とし海外旅行の担当者らを国内向けに再配置しました。
しかし国内においても緊急事態宣言などを受けて国内の移動も制限を受け旅行事業そのものを大きく見直さなければならない状況に追い込まれています。
沢田秀雄会長兼社長は……「海外旅行一本足では危ういことを痛感した」「将来は売上高に占める旅行の割合を現状の9割から2割に下げる」と『ビジネスモデル再構築』の必要性を述べています。
さらに沢田秀雄会長兼社長はコロナ禍について……「湾岸戦争、SARSなど苦しいことは何度もあったが過去最大のピンチ」と述べています。
新規事業のアイデアを募集し社員から数千件のアイデアが集まり10数件を事業化する考えです。
ビデオ通話を利用した『リモートトラベル』は利益も出てきました。
海外のガイドがオンラインで案内し現地で気に入った雑貨などはスタッフが代理購入することもでき費用は2千~3千円ほどと手軽です。
そのほか『リモート墓参り』を始め冠婚葬祭事業に進出するなど社員の意思で取り組んでもらいます。
『旅行事業』はデジタル化を進めネットで予約する時代に合わせて店舗数は縮小する考えです。
これまでは各事業を単体として考えがちでしたがグループ内の連携を強化して顧客の満足度を高めていく考えです。
コロナ禍でなければ生まれない企画が社員から出てくるようになりました。
沢田秀雄会長兼社長は……「現在は旅行事業が主だが複数の新規ビジネスを立ち上げる」「新たな収益の柱を育てて新型コロナ後に向けて再び成長軌道に乗れるよう挑戦する」と新たなビジネスモデルの構築に意欲を示しています。
新型コロナウィルスの感染拡大を嘆き悲しむだけではなく新たなビジネスモデル構築への挑戦の機会として捉える姿勢がいま強く求められています。


