長年続いたフィルムカメラ全盛からデジタルカメラに置き換わりガラケーからスマートフォンのカメラ性能が向上したことでデジタルカメラの売れ行きが伸び悩んでいましたが2020年12月10日に一般販売を開始すると発売週の販売台数シェアがコンパクトデジカメの中で6位にランクインしたカメラが登場。
望遠鏡のようにファインダーを片目でのぞき込み見ているものをボタンひとつで標準、4倍、8倍と切り替えてズームできるカメラ……キヤノンの新型デジカメとなる『PowerShot ZOOM』です。
被写体にズームしたまま静止画や動画の撮影も可能な『撮れる望遠鏡』と呼ばれる代物。
ボディーは持ちやすさを考慮して縦長になり側面にボタンはなく右手でも左手でも使えるデザインになりました。
つまり……『直感的に使えるカメラ』が登場した訳です。
ユーザーの使いやすさやストレスを最優先で考えることがヒット商品を生む要素と言えます。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第432話< 九州電力 >です。
(*写真はイメージです。)
発送電と配電の会社を再編して設立1891年7月に<熊本電灯>を開業しました。
1942年4月に<九州配電>を設立しました。
1951年5月に<日本発送電><九州配電>を再編して<九州電力>を設立しました。
1952年に<九州電力>で初の石炭火力発電所が運転を開始しました。
1955年5月に大規模アーチ式ダムとして日本初の上椎葉発電所が運転を開始しました。
1967年8月に<九州電力>で初の地熱発電所が運転を開始しました。
1969年7月に<九州電力>で初の石油火力発電所が運転を開始しました。
1974年10月に<九州電力>で初の原子力発電所が運転を開始しました。
1977年に新小倉発電所を<九州電力>で初のLNG火力に転換しました。
1990年3月に<九州電力>で初の風力発電所が運転を開始しました。
2010年11月に<九州電力>で初の太陽光発電所が運転を開始しました。
< 九州電力 >のビジネスモデル2019年9月に玄海原子力発電所2号機の廃炉について計画の認可申請を提出しました。
工事期間は2020年度から2054年度までの35年間の見通しで玄海原子力発電所1号機に続き2号機も<原子力規制委員会>に廃炉について申請を提出しました。
2019年9月に高齢者見守りサービスを始めると発表しました。
高齢者の動きをセンサーで感知して起床や外出といった活動内容を記録しスマートフォンなどを使って離れて暮らす家族が確認できるようにします。
センサーは玄関や寝室など生活動向を把握しやすい場所へ設置しますが床に置いたり壁に貼ったりするだけなので工事などは不要です。
2019年9月に<ネクスト・イー・ソリューションズ>に出資し業務提携したと発表しました。
使用済みの蓄電池を再利用するシステムの実証事業を進めています。
2023年までに2万キロワット時の蓄電システムの事業化を目指します。
2019年10月にドローンを使った企業向け空撮サービスを九州全域に広げ始めました。
空撮した画像データの提供に加え建物の表音温度などがわかる赤外線撮影や3次元画像撮影にも対応しています。
2019年12月に米国の不動産開発と国内不動産ファンドに投資すると発表しました。
投資での収益に加えて不動産事業拡大に向けて開発・運営手法を吸収する狙いです。
2019年12月に首都圏での電力小売りの契約件数が10月で前月比約8割増と表明しました。
販売代理店を増やしオール電化向けの新料金プランを投入するなど営業戦略が奏功しました。
2019年12月にアラブ首長国連邦で発電・造水事業に参入すると発表しました。
「中東を足がかりにアフリカや欧州にも拡大していく」と<九州電力>の池辺和弘社長は述べています。
2020年2月に<伊藤忠エネクス>と大口需要家向け電力小売りで提携すると発表しました。
ガスや石油で幅広い顧客を抱える<伊藤忠エネクス>の営業網と<九州電力>の料金提案力を組み合わせ関東や関西など九州域外で需要開拓を狙います。
2020年3月に池辺和弘社長が<電気事業連合会>の会長に就任しました。
金品不正受領問題で揺らぐ業界の信頼回復や電力システム改革などの課題が山積しています。
2020年4月に『送配電部門』を分離し<九州電力送配電>が発足しました。
発送電分離は東日本大震災を機に国が進めてきた電力システム改革の総仕上げという位置付けになります。
電気を届ける送配電網を電力大手が独占していると新電力に対して競争上不公平になるとの考えです。
2020年4月に北海道の木質バイオマス発電事業への参画を発表しました。
北海道石狩市で計画が進められている再生可能エネルギーであるパームヤシ殻や木材を砕いて粒状にした木質ペレットを燃料とした木質バイオマス発電事業の計画です。
2020年5月に人工衛星の観測データを活用したインフラ管理の事業化を始めました。
九州大学発のスタートアップとなる<QPS研究所>と提携して発電所をはじめとしたインフラ管理などの事業化の検討を始めました。
2020年6月に米国の地熱技術サービスの<サーモケム>の買収を発表しました。
欧米など幅広い地域で事業を手掛ける<サーモケム>の強みを生かし海外での再生可能エネルギー事業の拡大につなげる考えです。
2020年7月に福岡県や熊本県の一部自治体など5社と共同事業体を設立しました。
特産品や観光スポットなど地域の観光資源を共同開発し<九州電力>が運営するウェブサイトで紹介します。
2020年8月に<九州リースサービス>などとのオフィスビルの開発を発表しました。
福岡市のオフィス需要は底堅いとみて開発に踏み切ります。
2020年12月に<安川電機>のグループ会社と企業のDX支援サービスでの協業を発表しました。
システムの開発・構築や導入支援などに関する両者の知見を持ち寄り2021年春以降にサービスを提供することを目指します。
2021年1月に『2021年3月期』の連結業績見通しを取り下げ未定にすると発表しました。
『2020年10月』に公表した売上高2兆600億円などの連結業績見通しを取り下げ未定にします。
1月の強烈な寒波に伴う需給逼迫で価格が高騰していた卸取引市場からの調達が増え業績が算定しづらくなったためです。
2021年2月に2022年度の採用計画で採用数は計250人と発表しました。
技術系の現場業務を子会社に委託していくなかで大幅に計画数を減らしました。
2021年3月に新小倉発電所4号機と川内発電所2号機を2022年3月に廃止すると発表しました。
いずれも老朽化し運転を取りやめる計画停止を決めていました。
今日の企業事例である< 九州電力 >を少し俯瞰して見てみましょう。
2021年1月には電力需給が逼迫(ひっぱく)していました。
年末から続く寒波が需要を押し上げ全国で需給の綱渡りが続く状態でした。
予期せぬ需要増への対応をフル出力に達するまでの時間が短いLNG火力に頼っていますがLNGは海外から輸入し専用の受け入れ基地で貯蔵するため国内の在庫は2週間分しかなく新規に調達して手元に届くまでには2カ月が必要とされています。
原子力発電所や石炭火力発電所は運転のスタートや停止に時間がかかり大規模出力が見込める原子力発電所は再稼働が進んでいません。
原油や重油を燃料とする石油火力はLNG火力に比べて発電コストは高くてもLNGに比べて国内外で容易に調達できる利点があります。
しかし石油火力は固定費が高く稼働率の低いため次々と石油火力発電所を廃止してきました。
再生可能エネルギーの太陽光発電の供給力も寒気が流れ込むと晴天時と違い大きく供給力が落ち込みます。
脱炭素へのエネルギー転換や電力自由化への競争力の強化そして何よりも重要な電力の安定供給という3つの課題。
再生可能エネルギーに頼る場合は蓄電能力の技術向上とコスト削減の課題解決が必須です。
相反する3つの課題を同時に実現する新たなビジネスモデルの構築が差し迫った課題となっています。


