経営戦略【ビジネスモデル】『日本資本主義の父』をご存知ですか?
2024年から一万円札の肖像に選ばれNHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公でもある渋沢栄一氏のことです。
最近では女子プロゴルファーで渋沢栄一氏の子孫となる澁澤莉絵留(しぶさわりえる)さんが少し話題になりました。
渋沢栄一氏とともに近ごろ目にすることが多くなったその人の名前は松下幸之助氏。
幸之助氏が説いた『水道哲学』はモノの豊かさと心の豊かさが相まってはじめて人生の幸福につながるという『物心一如』の考えが元にありますが<生産者の使命は貴重なる生活物資を水道の水のごとく無尽蔵たらしめること>という水道哲学の言葉になります。
小学校を卒業することもならず丁稚(でっち)奉公へ出され苦難を乗り越えて事業を少しずつ軌道に乗せて行ったことは多くの人がご存知と思います。
よく知られていることの一つに『人たらしである』という人物評があります。
社員を愛し、人を愛し人を心から本気にさせる。
没後30年以上経っても『経営の神様』として慕われ学ぶことが多い名経営者です。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第451話<コマツ(小松製作所)>です。
(*写真はイメージです)鉱山会社の自家用機械生産のために開設1917年1月に銅山を経営していた<竹内鉱業>が<小松鉄工所>を開設しました。
1921年5月に<竹内鉱業>から分離独立し<小松製作所>が設立されました。
1932年に<農林省>から要請され日本初の国産トラクタ―を開発しました。
1950年に総売上の53%がブルドーザーが占めるようになりました。
1951年8月に本社を石川県小松市から東京に移転しました。
1965年にホイールローダーを生産開始しました。
1968年5月に油圧ショベルを生産開始しました。
2004年にスウェーデンの<パルテック・フォレスト>を買収し林業機械の製造販売を開始。
2008年1月に無人ダンプトラック運行システムを世界で初めて市場に導入しました。
2017年4月に米国の大手鉱山機械メーカーである<ジョイ・グローバル>を買収しました。
2019年2月に米国林業機械メーカー<ティンバープロ>の買収を発表しました。
<コマツ>のビジネスモデル2020年1月に『第8回企業価値向上表彰』の大賞を<東京証券取引所>から受賞しました。
選定委員会の座長の<一橋大学>大学院の伊藤邦雄特任教授は「資本コストを上回る自己資本利益率などを長期にわたって経営目標として掲げている」と評価しました。
2020年1月に中国での建設機械の操業再開を先送りする方針を表明しました。
新型コロナウィルスの感染拡大を受けて工場の稼働を延期します。
2020年2月に発表した『2019年10~12月期』の連結純利益は前期比23%減でした。
世界的な環境意識の高まりで石炭採掘の鉱山機械が不振で減益は3四半期連続となります。
2020年3月に中国国内での製建設機械の平均稼働時間が前年同月比30%減少したと発表しました。
新型コロナウイルスの感染拡大で春節休暇の終了後も土木工事の再開が遅れています。
欧州など海外6工場での建設機械の生産を数日間から最大19日間停止すると表明しました。
各国政府の要請に応じて建設機械の稼働を見合わせる考えです。
2020年4月に林業機械事業を拡大する方針を表明しました。
ブラジルで植林に使う林業機械の量産体制を整え試験的に販売を始めました。
建設機械や鉱山機械の需要が低迷しているため安定的な需要が見込める林業向けを伸ばしたい考えです。
2020年5月に『2020年3月期』の純利益が前期比40%減と発表しました。
インドネシア向け鉱山機械の売れ行きが減速し北米では新型コロナウイルスの影響で住宅や商業施設の建設が滞ったことで建機の需要が落ち込みました。
2020年5月に経営の厳しい協力企業への支援に乗り出しました。
粟津工場の周辺にある部品会社などを対象に在庫を買い取るほか資金繰りを助けるために一部の企業への支払いを現金に切り替えました。
2020年7月に『シールリング』をつくる新工場を建設すると表明しました。
基幹部品から潤滑油の漏れを防ぐ精密部品のシールリングですが新工場は高性能の生産設備や人工知能による自動検査装置を導入して最大5割の省人化を目指します。
2020年8月に<経済産業省>と<東京証券取引所>より『DXグランプリ』に選ばれました。
業務を変革し新たな成長や競争力強化につなげている企業35社を『デジタルトランスフォーメーション銘柄2020』に選定したと発表し<コマツ>と<トラスコ中山>の2社が『DXグランプリ』に選ばれました。
2020年10月に遠隔監視システムの外販に乗り出すと表明しました。
全地球測位システム(GPS)を使った『コムトラックス』と呼ぶ遠隔監視装置を標準搭載した建機を2001年から販売していますが他社ブランドのダンプトラックに『コムトラックス』を載せ位置や速度がわかることで工事現場での作業効率が上がり現場管理をしやすくします。
2021年1月に排ガスを出さない電池駆動の小型ショベルを2022年に欧州で発売すると表明しました。
軽量で長く稼働できるリチウムイオン電池を使いエンジンの代わりにモーターを使い騒音が少なく排ガスも出ないため環境規制が厳しい欧州で売り出し日本での投入も検討する考えです。
2021年1月に米国で鉱山機械の部品を製造する工場を3月までに閉鎖すると発表しました。
鉄や銅など『ハードロック』と呼ばれる資源の採掘に適した鉱山機械の開発を強化し『ESG(環境・社会・企業統治)』重視のなかで脱石炭に向けて動き始めました。
「石炭への逆風は強く比率を下げていくことが重要だ」と<コマツ>の小川啓之社長は述べています。
2021年2月に4月から従業員が定年時期を決める選択定年制を導入すると表明しました。
従来一律60歳だった一般社員の定年年齢を60歳か65歳で選べます。
60歳でいったん定年退職してパートタイム型の再雇用として働く場合には副業も認めます。
2021年4月に<NTTドコモ>などと建設業界のDXを支援する新会社の設立を発表しました。
建設業界では就業者の高齢化などで人手不足が深刻化しているため<コマツ>の建設機械の遠隔操作などの自動化技術を<NTTドコモ>などが持つ通信やセンシング技術と組み合わせて高度化し課題解決につなげる考えです。
2021年7月に建設現場でのダンプトラックの無人走行の実証実験開始を発表しました。
農業機械の制御を手がける米国<アグ・ジャンクション>の自動運転支援技術と<コマツ>の施工管理システムを組み合わせ複数のダンプが建設現場で効率的に自動走行できるようします。
工事の進捗状況によってダンプの走行経路が頻繁に変化するため3次元で地形や施工の進捗状況を把握するデジタル化サービスも組み合わせることで最適な配車や走行ルートの選択を可能にすることができ二酸化炭素の排出量削減につなげる考えです。
今日の企業事例である<コマツ:小松製作所>を少し俯瞰して見てみましょう。
2021年7月にデジタルトランスフォーメーションの新会社を始動させました。
建設現場のデータをデジタル化し分析することで大幅なコスト改善などにつながるサービスを提供します。
新会社<EARTHBRAIN>は<コマツ>が54.5%<NTTドコモ>が35.5%で<ソニーセミコンダクタソリューションズ>と<野村総合研究所>が5%ずつの出資。
「建設現場のデジタル化は後戻りできない加速させないと」と<コマツ>の四家千佳史執行役員は述べています。
建設技能労働者は数年以内に必要数の3分の1に当たる最大120万人が足りなくなるとされています。
新型コロナウイルスの感染拡大で世界の建設現場で働き方改革が求められています。
海外の建設機械事業は米国の<キャタピラー>などと競争が激しくなっていてアジアでは安さで攻める中国の<三一重工>がシェアを高めています。
これらとの差別化を図るため建設・土木工事の全工程を3次元の仮想空間で再現する施工管理サービスを本格的に始動させます。
工事の進捗に応じて施工計画を自動で修正でき<コマツ>のコンサルタントがサポートしながら人員や建機の配置資材調達を最適化します。
2021年6月に<ホンダ>と組んで電池交換式の小型建設機械を開発すると発表しました。
「電動化は将来の事業のキーになる質量1トン以下のマイクロショベルなら急速充電器が使える電池交換式で運用できる」「それより少し大きなミニパワーショベルなら安全を確保した上で建屋から給電すればよい」と<コマツ>の小川啓之社長は述べています。
脱炭素に向けた電動化が進むとみてショベル以外の建設機械への導入や海外展開も検討していく考えです。
2021年6月にトンネルなどに使うコンベヤー事業を売却すると表明しました。
今春に資産売却を決めていた米国とオーストラリアに続いて英国でも売却の意向を示しました。
<コマツ>は2030年までに二酸化炭素の排出量を2010年比で5割減らす目標を掲げています。
世界的な脱炭素の潮流を受けて石炭関連の需要減を見据え鉱山機械事業を中心とした構造改革を打ち出しています。
<コマツ>はモノ作りの会社のため商品とソリューションが中心ですがコト作りの発想を膨らませ新たなビジネスモデルを生み出すことが今後の課題となります。


