~事業を成長させる判断軸の磨き方~
顧客獲得コストと顧客生涯価値で選ぶ集客チャネル:中小企業のマーケティング投資対効果
はじめに
広告費を増やしても利益が残りません。
問い合わせ件数が伸びても受注につながりません。
中小企業の経営者や個人事業主からこうした声を多く聞きます。
原因は集客を件数で測り採算で測っていない点にあります。
解決策は単純です。
顧客獲得コスト(CAC)と顧客生涯価値(LTV)を並べて見ます。
この2つを軸に据えれば続けるべき集客と止めるべき集客が判別できます。
なぜ有効かと言えば売上や件数だけでは
限られた予算の回収余地が見えないためです。
今回はCACとLTVの捉え方を整理し
次に集客チャネルを顧客の質で選ぶ視点を解説します。
売上ではなく採算で判断するCACとLTVの捉え方
集客の良し悪しは売上の伸びだけでは判断できません。
最初に見るべきは『CAC』と『LTV』の2指標です。
理由は明確です。
1社の新規顧客を獲得するのにいくら使いいくら残るかが見えなければ施策は改善できません。
CACの計算には広告費だけでなく販促の外注費、営業担当者の工数、媒体費まで含めます。
担当者が動いた時間にも人件費が発生しているので
そこまで踏まえて初めて本当の獲得単価が見えます。
一方LTVは1社の顧客が取引全体を通じて残す利益を示します。
単発販売が中心の業種と継続受注が中心の業種では評価の重みが変わります。
CACが高くてもLTVが十分であれば回収できます。
逆にCACが安くても継続が続かなければ利益は残りません。
この2指標を並べて初めて集客を採算で判断できます。
【モデル事例】
中小製造業ではWeb広告を増やして問い合わせ件数が伸び集客が順調だと判断する場面が見られます。
しかし内訳を追うと見積り依頼ばかりで受注率は低く営業担当の対応時間が膨らみがちです。
広告費に加え提案資料の作成や見積り対応の工数まで含めれば
1件あたりの獲得単価は想定を超えます。
しかも単発発注が多ければLTVでも回収しきれません。
結果として既存顧客への提案が後回しになり売上は横ばいでも粗利は下がります。
件数だけを追った代償は販促費の表面だけを見ても把握できません。
大切なのは集客施策を件数で評価しない姿勢です。
いくらで取れ、いくら残るかを数字で押さえる習慣が判断軸の起点になります。
集客チャネルは件数ではなく顧客の質で選ぶ
CACとLTVを押さえた次は『集客チャネル』の選び方です。
結論を言えばチャネルは件数ではなくどんな顧客を連れてくるかで選びます。
理由は明確です。
同じ10件の新規でも継続率の高い顧客が多いチャネルと
一度きりで終わる顧客が多いチャネルでは残る利益が大きく違うためです。
具体的な進め方は難しくありません。
直近1年の新規顧客を流入経路ごとに並べます。
そして顧客ごとにその後の取引額や継続年数を紐付けて見ます。
平均CACが安く見えたチャネルが実は回収しにくい顧客ばかり連れてくる場合は少なくありません。
逆に件数の少ない紹介が最も利益を残す経路だったと分かる例もあります。
流行している手法よりも自社で回収しやすい顧客を連れてくるチャネルを選ぶべきです。
ここを押さえないまま広告を増やしても忙しさだけが積み上がります。
【モデル事例】
BtoBの中小企業で『紹介経由』と『広告経由』の 新規を比較する場面が見られます。
紹介経由は月あたりの件数が少ないため集客施策として軽視されがちです。
しかし初回商談の時点で信頼が形成されており
値引き交渉も少なく受注まで短期で進みます。
その後も追加発注につながりやすく営業工数は比較的軽く抑えられます。
一方で広告経由は母数こそ増えますが
比較検討の途中で離脱する相手や価格だけで選ぶ相手も混じります。
同じ1件でも最終的に残る利益は大きく変わります。
LTVを重ねた途端軽視されていた『紹介の価値』が浮かび上がります。
集客の軸は件数から『誰が来るか』へ移します。
この視点転換が限られた予算を効かせる要です。
今日のまとめ
顧客獲得の判断軸として大切なのは売上や問い合わせ件数ではありません。
まず『CAC』を正しく計算し『LTV』と並べて採算で見ます。
次に集客チャネルを『連れてくる顧客の質』で評価します。
ここまで揃えば続けるべき施策と削るべき施策
予算を寄せるべき場所が浮かび上がります。
中小企業や個人事業主に必要なのは広く薄く投資する発想ではありません。
回収しやすい顧客を安定的に連れてくるチャネルへ資源を集中させる視点です。
まずは直近の販促費を洗い出し1件あたりの獲得単価を算出する動きから始めてみてください。
数字で見直せば感覚では見えなかった歪みがはっきり浮かび上がります。
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*次回予定4月30日木曜日
第17話 一人からチームへ:最初の採用で見極めるべきこと
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