商品やサービスの品質には自信がある。
それなのに価格交渉ばかりが厳しくなる。
競合との比較だけで判断される場面が増えた。
こうした悩みを抱える中小企業の経営者は少なくありません。
この停滞から抜け出すには広告費を増やす前にやるべき作業があります。
自社のブランドイメージを見直し日常業務の中で維持する仕組みを整えるのが有効です。
なぜなら中小企業は大手のような宣伝費をかけられません。
一方で経営者の考え方や社員の対応に一貫性を持たせやすい強みがあります。
その一貫性が信頼を高める土台になります。
今回はブランドイメージを言葉と行動の両面から見直す手順を解説します。
顧客が評価している価値を言葉にしブランドの軸を定める
ブランドイメージの見直しで最初に取り組むべきは自社の強みを探す作業ではありません。
顧客がすでに評価している価値を正確につかみ言葉で整理する作業です。
多くの中小企業では経営者が考える強みと
顧客が実際に評価している点がずれています。
このずれを放置したままWebサイトや営業資料を刷新しても響きません。
ではどのように顧客の評価をつかむのか。
取り組みやすい方法は3つあります。
第一に既存顧客への聞き取りです。
取引を続けている理由を営業担当者が日常の訪問で聞けば十分です。
第二に失注した案件の理由を整理します。
第三に社内外で発信している内容と顧客が感じている価値のずれを洗い出します。
これらの情報を経営者と幹部で共有し評価されている価値をシンプルな言葉にまとめます。
この言葉がブランドの軸になります。
【企業のモデル事例】
自動車部品を製造する企業では長年短納期対応を営業の柱にしてきました。
しかし主力顧客に継続取引の理由を聞いたところ異なる評価が見えてきました。
「図面が曖昧な試作段階でも打ち合わせを重ねて一緒に形にしてくれる」
という声が多かったのです。
顧客は短納期ではなく開発段階から伴走する姿勢に信頼を置いていました。
この評価をもとに訴求軸を『開発初期から並走する試作パートナー』に変更しました。
接点ごとの行動基準を設計し一貫性を維持する仕組みを作る
ブランドの軸を言葉にしてもそれだけでは不十分です。
- 営業担当
- 電話対応
- 見積書の出し方
これら顧客と接触する全ての場面で同じ方向性を感じてもらう必要があります。
多くの企業では経営者が掲げた方針が抽象的な標語のまま終わっています。
お客様第一といった言葉は社員にとって具体的な判断基準になりません。
このばらつきを防ぐには方針を具体的な行動に翻訳する作業が欠かせません。
例えば『開発初期から並走するパートナー』という方針を掲げたとします。
初回の打ち合わせで開発の背景を質問する。
試作段階では途中経過を定期的に共有する。
こうした行動に落とし込みます。
こうした行動を明文化し営業会議や朝礼で繰り返し共有します。
維持のためには月に一度発信内容と実際の対応にズレが無いかを点検する仕組みが必要です。
【企業のモデル事例】
法人向けITサポートの企業では『初動対応が早い』という評価がありました。
一方で担当者によって対応の質にばらつきが出ていました。
経営者は自社のブランドを『情報システム担当者の不安を減らす相談相手』と定義し直しました。
問い合わせから2時間以内に連絡を入れるというルールを策定しました。
その日のうちに対応の見通しをメールで共有するという基準も設けました。
毎月レビューする運用に変えた結果解約率の低下につながりました。
今日のまとめ
ブランドイメージの見直しと維持は特別な施策ではありません。
顧客がどの点を評価しているかを言葉で整理し日常の対応に組み込む取り組みです。
最初に顧客が評価している価値を把握しブランドの軸を定めます。
次にその軸を具体的な行動基準に翻訳します。
最後に点検の仕組みを設けます。
この積み重ねで価格だけで比較される立場から抜け出せます。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
*次回の予定1月28日水曜日第41話(ビジネスモデル)『知恵と経験を活かしたコンサルティングモデル』
次回もどうぞ宜しくお願いいたします。


