働く理由が収入だけのまま60代を迎えると、仕事を失った日に、生活費と居場所を同時に失います。
50代のミドルシニアは、この点を先送りにしていないでしょうか。
マイナビ キャリアリサーチLabは2026年6月24日、アルバイトで働く60歳から79歳の2,155名への調査結果を公表しました。
「働かなくてもよい場合でも働きたい」と答えた人は、年齢が上がるほど増えています。
男性70代は50.7%、女性60代は44.4%でした。
働く目的の最多は、男女とも「健康維持」です。
次いで「健康的な生活リズムを作るため」「自分の生活費のため」が上位に入りました。
自由回答では、働く理由が「健康」「社会との接点」「生活の充実」に集約されています。
家にいても、やる用事がないという声があります。
仕事を通じて社会とつながり、孤独感から解放されるという声もありました。
さらに、働かなくてもよい場合でも、働きたい人の58.7%がアルバイトで生活の質が向上したと答えています。
つまり、シニアが働く理由は、収入だけではありません。
役割と居場所を得る手段としても、仕事が機能しています。
一方で、年齢の壁を感じた人は、アルバイト探しの応募時で55.8%でした。
働き始めた後も、28.1%が壁を感じています。
働きたい意欲があっても、年齢だけで機会が狭まる現実は、まだ残っています。
ただし、この調査はアルバイトで働く、60歳から79歳が対象です。
ミドルシニア全体の意識を示す結果ではありません。
私は、何のために働き続けるのかには、明確な理由があると考えています。
人生100年時代を迎え、公的年金だけでは生活できなくなる可能性が高いからです。
以前、大学で学生の前に立った際に、こう話しました。
「2050年を迎える頃には、定年の年齢が80歳になっている可能性が高い」
医学や食事の進歩により、長寿の人口は今後も増えていくと見ています。
同時に、シニアの姿も変わりました。
夫婦で海外旅行に出かけます。
豪華客船で、海外や日本を巡ります。
東南アジアで退職後の生活を始める人もいます。
地方に移り住み、家庭菜園と農業の間くらいの規模で、半自給自足の暮らしを送る人もいます。
団塊の世代は、若い頃から新しい文化を取り入れ、時には生み出してきた世代です。
その世代が後期高齢者になりましたが、従来の尺度では測れません。
今では、インターネットはもちろん、AIを使いこなす70代、80代の方も、コミュニティの中にいます。
そのうえで、人間の生きがいとは何かを考えます。
私の答えは、人の役に立っている実感です。
社会との接点がなくなれば、孤独になるのは当然です。
仕事が毎日あるかどうかで、気持ちの張りは大きく変わります。
若い頃とは違う意味の仕事になるかもしれません。
それでも、日々人と接し、会話を交わし、役に立っている実感を得られます。
何より、「ありがとう」という言葉を聞いたときの喜びは、ひとしおです。
この機会を、年齢だけで奪うのは望ましくありません。
公的年金で暮らす選択はあります。
しかし、積極的に働き、税金を納める側にシニアが回れば、若い世代の負担も軽くなる可能性があります。
お年寄りは、若い人の邪魔にならないように生きていく。
この考え方は、すでに大昔の発想です。
デジタルとAIの時代だからこそ、シニアは、若い世代の後押しができます。
もちろん、働き方は人それぞれです。
体力や家庭の都合に合わせて、無理のない形を選ぶ必要があります。
最初の一歩は、小さくて構いません。
誰の、どんな困りごとなら、自分の経験で助けられるのかを、紙に書き出してみてください。
収入だけでなく、楽しいと感じられる仕事は何かも、あわせて考えます。
人が生きていくうえで、楽しいという実感は、重要だからです。
あなたは、60代、70代になっても続けたい仕事を、いくつ挙げられますか。
その経験、地域の会社を支える力になるかもしれません。
試行錯誤を重ねながら歩むあなたを、心から応援しています。
【出典】マイナビ キャリアリサーチLab「シニアのアルバイトに関するライフエンゲージメント調査(2026年)」(2026-06-24)


