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ブログ / シン組織変革の教科書

第50話 第50話 現場の数字と経営の数字が、噛み合わない組織

2026年8月7日 執筆:渡邉ひとし

【受注は伸びているのに、粗利が3か月動かない理由】現場の数字と経営の数字が噛み合わない組織

あなたの会社では、「受注は好調です」という報告を、そのまま安心材料にしていませんか。

その安心は、経営者として自然な反応です。

しかし、その裏側まで見えているでしょうか。

その報告の裏で、粗利が何か月も動いていない、という展開は珍しくありません。

受注件数という分かりやすい数字に安心している間に、利益だけが静かにすり減っていく。

この現象が、いま中小企業の現場で広がっています。

あなたの会社では、粗利をどのくらいの頻度で確認していますか。

忙しさに追われる経営者ほど、答えに詰まりやすい問いです。

もし即答できないなら、この記事はあなたのための警鐘だと思ってください。

日経ビジネスが2026年5月に報じたKPI設計に関連した記事でも、似た構造の課題が指摘されていました。

現場が追いかける数字と、経営層が投資判断に使う数字は、もともと別物になりやすいという指摘です。

取り上げられていたのはマーケティングの現場でしたが、業種を問わず起きる構造だと感じました。

数字の呼び方が違うだけで、確認の頻度がズレるという問題は共通しています。

帝国データバンクが2026年3月に公表した経営課題調査でも、似た傾向が見えます。

経営層が優先する項目と、現場が日々追っている数字には差が出やすいです。

経営層が重視する項目の上位には、既存顧客との取引深耕や販路開拓が並んでいました。どちらも、月次の数字にはすぐ表れにくい種類の指標です。

一方で現場が日々報告するのは、受注件数や稼働率といった動きの量を示す数字です。

同じ会社の中に、二つの「正しい数字」が同時に存在しています。

見ている数字が違えば、確認する周期もずれやすくなります。

あなたの会社の月次会議でも、この二種類の数字を、同じ頻度で確認できているか、一度振り返ってみてください。

私が毎月ご一緒している、中京圏の施工会社でも、まさにこの構造に直面しました。

現場からは毎月「受注件数が伸びています」という報告が上がり、実際に受注件数は着実に増えていました。

しかし粗利を確認すると、3か月にわたって改善が見られませんでした。

原因は、資材費の高騰と案件ごとの一部値引き対応でした。

現場は受注の獲得に集中しており、資材費の上昇や値引きの積み重ねが利益に与える影響までは、日々の報告に表れていなかったのです。

これまで経営相談の中で、業種を問わず幾度も見てきた光景でした。

資材費の変動や値引きの積み重ねは、決算書には遅れて表れる典型的な数字です。

この乖離に気づけたのは、毎月のコンサルティングでPDCAを回す会議の場があったからです。

決算まで待っていたら、9か月や1年という単位でしか数字を見られなかったはずです。

受注件数と粗利を、決算を待たずに毎月並べて確認していたからこそ、3か月という早い段階でズレに気づけました。

もし年次決算まで確認していなければ、資材費高騰と値引き対応が積み重なったままになっていたはずです。

数ポイントの看過できない規模まで、利益が削られていた可能性があります。

現場は、受注が増えているのになぜ評価されないのかと感じ始めます。

経営者は、現場が数字を分かっていないと感じ始めます。

悪意のあるすれ違いではなく、確認する頻度が違うだけなのに、両者の信頼はじわじわとすり減っていきます。

放置すれば、現場は数字を経営者に見せなくなり、経営者は現場への管理をさらに強めます。

管理が強まるほど、現場はますます数字を隠すようになり、悪循環は深くなっていきます。

一度、こうした兆しが出ていないか確かめてみてください。

些細な違和感でも放置せず、言葉にする姿勢が、悪循環を止める最初の一歩になります。

だからこそ、毎月の会議で受注件数と粗利を必ず同じ表に並べて確認してください。

決算を待たず、月ごとに小さなズレの段階で気づける仕組みを作ってください。

資材費や値引きの動きは案件ごとに、現場と一緒に確認してください。

難しいシステムは必要ありません。

エクセルの表でも、メモ一枚でも、十分に効果はあります。

数字を確認する頻度を上げるだけで、経営者一人が抱えていた危機感を、現場と共有できるようになります。

まずは紙とペンでも、十分に始められます。

経営者一人が数字を抱え込む必要はありません。

受注が伸びているのに利益が残らないと感じているなら、それは努力が足りないからではありません。

数字を確認する頻度が、まだ足りていないだけです。

来月の会議で、受注件数の隣に粗利の数字を並べてみてください。

そこから、現場と経営が同じ景色を見る組織づくりが始まります。

一歩ずつで構いません。

その積み重ねが、現場と経営を同じ方向へ向かわせてくれます。

これからも現場に寄り添い、支援していきます。

*来週から、一つの発信元(メルマガ登録のURL)に統合して投稿していきます。引き続きどうぞ宜しくお願いいたします。

渡邉ひとし
渡邉 ひとし株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役/持続型経営コンサルタント

経営戦略・組織変革・AI活用を、実務と心理の両面から支援しています。中小企業の経営者の方には、訪問またはオンラインで、ご相談をお受けしています(初回は無料)。

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