第183話のテーマは『ビジネスモデルの転換』です。
(*ブログ投稿:月〜土曜)
小学6年生から日経新聞の株式欄
広告業界で働いていたころ株の大好きな部長さんがいました。
その会社へ伺うとその日の本題に入る前に小一時間ほど経済情勢と株の話しになります。
その部長さんはご自身が株の売買をやっていますが小学6年生のときから日経新聞の株式欄を見ることが日課だったと言われていました。
30歳になってから師匠の影響から日経新聞を購読するようになりましたがそれまでの地方紙に慣れていた私は日経新聞の紙面を見たとき軽いめまいを感じました。
それが文字の大きさなのか?
お堅い記事の内容だったのか?
忘れましたがとても小学6年生から読める新聞ではないと思っていました。
<野村HD>のビジネスモデル
じつは亡くなった母も若い頃から株の売買をしていました。
私が30代のころ経済や企業について質問されたのでその都度、説明をしていましたがよくぞ知識や情報が薄いなかで株を売買できるものだとなかば呆れていましたがやがて、株を相続した私はそのまま証券会社に放置してあります。
そのなかのひとつである<野村證券>の親会社は<野村HD>ですが2017年3月期の決算は11年ぶりの純利益になるなど証券業界のなかでも飛び抜けた好決算でした。
その要因になるのは『スリム経営』でした。
昨年2016年4月に欧米で1000人規模の人員削減をしたニュースを聞いて<野村HD>の業績が悪化しているのだと思いました。
ところが1年経ってこのような決算状況をみるとあのときの欧米でのリストラの報道はいままでのビジネスモデルの転換だったのだと思いました。
少し調べてみると……2012年に<野村HD>の最高経営責任者(CEO)に就任した永井浩二氏の経営方針としてお客による株の売買手数料で稼ぐビジネスモデルからお客様の資産を預かって長期的に運用するコンサルティング業務。
つまり「預り資産の運用」で稼ぐビジネスモデルに転換しました。
お客様への提案は株式や投資信託から保険商品までお客様の要望を傾聴したうえで広範囲な資産運用を提供しています。
<野村HD>の永井CEOは「人工知能やデジタル技術も活用した理想の金融サービスを追求する」と表明しています。
では、なぜ?
このようなビジネスモデルに転換しなければならないのでしょうか。
それはネット証券の台頭です。
1998年に<松井証券>がネット取引へ参入して次々とネット証券が設立されいまでは個人による株式売買の約90%がネット取引になっています。
株式の委託手数料率が0.4%から0.04%まで低下して「手数料自由化」という規制緩和で証券業界のビジネスモデルが崩れ大手証券会社の生き残り策として従来のビジネスモデルを転換せざるを得なくなりました。
今年9月にはアメリカのサンフランシスコにイノベーション・オフィスを設置してフィンテック(注1)を展開する有望なベンチャー企業などに1億ドル(約110億円)を投資すると発表しています。
今年7月には44年間も資本関係を結んできた<ジャフコ>の保有株をすべて手放すと発表しました。
ベンチャーへの投資を業務とする<ジャフコ>と別れることで本業である証券の取引仲介に力を入れるという「選択と集中」の経営方針を選んだことになります。
海外においては……「M&A(合併・買収)の関連事業を強化していく戦略」であると北村巧財務統括責任者(CFO)は記者会見で話しています。
2012年から永井浩二氏が<野村HD>のCEOと<野村証券>の社長を兼務してきましたが今年4月より<野村HD>のCEOとして引き続き永井浩二氏がグルーバル経営を担当して<野村証券>の社長に国内営業部門のエースである森田敏夫氏を抜擢して国内部門を強化する方針をたてました。
これにより国内と海外の事業を強固なものとすることが現実的になり新たなビジネスモデルを確立する体制ができたことになります。
*注1=フィンテック「finance」と「technology」を掛け合わせた造語でありモバイル決済のような金融テクノロジーのこと。
このことから何を学べるでしょうか?
業界の勢力図が変わったとき……部分的な処置や対応をしても解決することは難しい。
思い切ったビジネスモデルをあらたに構築することで起死回生を実現することができる。


