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ブログ / ビジネスモデルの企業事例

第249話 サッポロHDのビジネスモデル

2018年3月28日 執筆:渡邉ひとし

第249話のテーマは『大胆な経営判断が命運を分ける』です。

(ブログ=月水金の平日投稿です)

浩養園はビヤガーデンの代名詞

広告業界でサラリーマン時代のとき忘年会や行事に利用していた場所の一つが<サッポロビール>名古屋ビール園の「浩養園(こうようえん)」でした。

サッポロビール名古屋工場に昭和6年にできた「浩養園」ですからビヤガーデンの代名詞のようでした。

「浩養園」がある名古屋市千種区千種は豊富な地下水があったと聞いています。

名水百選にも選ばれているようですからビール工場の立地としては最適地です。

浩養園から近い場所にあるボーリング場が「ブランズウィックスポルト名古屋」。

浩養園で英気を養ってからスポルト名古屋で軽く汗を流すというお決まりのコースがありました。

おまけに少し歩けば「JR鶴舞駅」があるので帰宅も便利です。

とは言えほとんどの人がタクシーで乗り合わせて栄の繁華街へ繰り出していましたが……。

<サッポロHD>のビジネスモデル

<サッポロビール>の歴史は古く1876年に札幌に開拓使麦酒醸造所を設立した時から始まります。

1887年に官立醸造所の払下を受けた<大倉組商会>の大倉喜八郎や渋沢栄一が<札幌麦酒>を設立してビールの製造・販売を始めました。

1906年に◉札幌の<札幌麦酒>(サッポロビール)◉東京の<日本麦酒醸造>(ヱビスビール)◉大阪の<大阪麦酒>(アサヒビール)の3社が合併して市場占有率70%以上の<大日本麦酒>になりました。

1949年に過度経済力集中排除法に基づいて<日本麦酒>と<朝日麦酒>に分割され1952年までは市場占有率は<日本麦酒>が1位でしたが1954年以降は<麒麟麦酒><朝日麦酒>に続いて<日本麦酒(サッポロビール)>は3位。

2008年には<サントリー>に抜かれて<サッポロビール>は4位になりました。

2016年12月期の連結決算は純利益が前期比55%増の94億円でした。

しかし現在の<サッポロビール>は「不動産のサッポロ」と言われることもあり営業利益の構成比(2015年12月期)は不動産が46%を占めています。

2016年9月には創業140年を迎え、東京銀座に「GINZA PLACE」を開業しました。

1994年に開業した「恵比寿ガーデンプレイス」と「恵比寿ガーデンプレイスタワー」。

2014年に開業した地下1階、地上12階建のオフィスビル「恵比寿ファーストスクエア」。

これらの賃料収入が好調で2016年12月期の不動産事業は連結営業利益が前期比20%増の100億円程度となっています。

2017年3月に主力高級ビールの「エビス」ブランドで「エビス 華みやび」を発売しました。

これはクラフトビールなどに多い白ビールタイプで女性や若年層の開拓を狙っています。

さらに2026年をメドにビール系飲料の税制が一本化されるのを受け減税となるビールのなかで高価格帯の品揃えの強化を目指しています。

2017年3月に<ポッカサッポロフード&ビバレッジ>の岩田義浩社長は記者会見で「海外事業の強化などに取り組み規模を追いながら利益率も高める」との方針を明らかにしました。

現在20%弱の海外売上高比率について今後は徐々に引き上げるとしています。

2017年7月に<イオン>が発売したプライベートブランド第三のビール「トップバリュ麦の恵み」を自社ブランドを表示しない商品の生産受託として始めました。

国内のビール系飲料の出荷量は2016年まで12年連続で縮小していて6月に施行された安売り規制の影響でさらにビール各社は苦戦が続いています。

流通会社のPB商品としての受託生産は一定の販売数量が見込めるため今後も拡大する可能性があります。

ちなみに6月の安売り規制の影響は……◉アサヒビール :11%減少◉キリンビール :16%減少◉サントリービール: 4%減少◉サッポロビール :3.5%減少となっています。

2017年8月には米国のクラフトビールメーカーである<アンカー・ブリューイング・カンパニー>を約94億円で買収しました。

海外向けの「サッポロプレミアム」と合わせて販売することで北米でのビール事業の拡大を狙います。

2017年9月には韓国で高級ビール「エビスビール」の販売を始めました。

韓国でサッポロブランドの強化を進めてビールの販売数量の拡大を目指します。

2018年2月に発表した2017年12月期決算の連結純利益は前期比16%増の109億円でした。

国内事業は「黒ラベル」や「エビス」など主力のビールが好調でした。

国際事業はサッポロブランドのビール売上高の増加などで増収でした。

不動産事業は保有するオフィスビルなどの賃料収入が好調で売上高が5%伸びました。

今年の2018年4月からかんきつ系の果実を使ったビールを発売する予定です。

国税庁によるビールの定義変更により独自の風味や個性のビールを販売できます。

若者などのビール離れが進むなか嗜好の多様化に対応しやすくなります。

しかし今後は飲酒人口が減少する国内で販売数量の伸びは見込みにくくなります。

同業他社である<アサヒHD>などが海外で大型買収を進める理由でもあります。

2020年12月期を最終年とする中期経営計画を発表して「酒・食・飲への戦略投資」を掲げていますが不動産で稼ぐビジネスモデルから成長戦略を描いたビジネスモデルへの転換が今後の<サッポロHD>の命運を分ける分水嶺になると思います。

(次回ブログ=3月30日金曜投稿です)

このことから何を学べるでしょうか?

祖業である事業が低迷している会社は……次の時代に成長できる事業を開拓していく必要がある。

本業とは……その時代に合致している事業であり時代の変化に合わせて本業である事業も変える必要がある。

渡邉ひとし
渡邉 ひとし株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役/持続型経営コンサルタント

経営戦略・組織変革・AI活用を、実務と心理の両面から支援しています。中小企業の経営者の方には、訪問またはオンラインで、ご相談をお受けしています(初回は無料)。

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