未来デザインカンパニー ロゴ未来デザインカンパニー持続型経営コンサルティング
ブログ / ビジネスモデルの企業事例

第285話 クラレのビジネスモデル

2018年7月6日 執筆:渡邉ひとし

第285話のテーマは『3つ目の事業がキーになる』です。

一般的に知られていない会社

<クラレ>と聞いても一般的に知られた会社ではないと思います。

少し前の世代であればランドセルで「クラリーノ」の名前はきっと聞いたことがあると思います。

よく使う言葉では「マジックテープ」が<クラレ>の登録商標です。

1926年にレーヨンの国産化のため大原孫三郎氏が<倉敷絹織>を設立しました。

1949年に<倉敷レイヨン>に社名を変更しました。

1970年に<クラレ>に社名を変更しました。

2001年に祖業であるレーヨン事業から撤退しました。

2007年に化学関連事業の売上高が拡大したことで「繊維製品」から「化学」へ株式の所属業種を変更しています。

<クラレ>のビジネスモデル

2016年12月期の連結決算は純利益が前期比13%増で過去最高でした。

食品容器包装などに使うエバール樹脂や窓ガラス用の中間膜や洗剤用水溶性フィルムなどが伸びました。

2017年9月に活性炭で世界最大手の<カルゴンカーボン>を買収すると発表しました。

活性炭は水処理装置や石炭火力発電所の排ガス装置などに組み込まれて不純物除去などに使われます。

新興国を中心とするインフラ市場の拡大で一定の需要が見込めると判断しました。

<カルゴンカーボン>は世界中に幅広い顧客層を抱えていて活性炭の販売だけではなく汚染水などの処理ノウハウも豊富に抱えて顧客への提案も手掛けています。

<クラレ>は水やエネルギーインフラなどの市場の開拓を目指しています。

2017年9月初めには<ダウ・ケミカル>と<デュポン>が経営統合して<ダウ・デュポン>が発足するなど化学業界では世界の大型再編が相次いでいます。

<クラレ>は酸素を通しにくい食品包装用などのフィルム樹脂である「エバール」や工業用アルコールや化粧品原料などの「イソプレン」などニッチ市場で高い世界シェアを持っています。

<カルゴンカーボン>の買収で活性炭事業を「第3の柱」と位置づけて競争力を高める狙いです。

岡山事業所の設備を増強するため2017年9月に着工しました。

セメント補強材や漁網などに使われる合成繊維のビニロンを生産できる新しいラインを導入します。

岡山市が2017年に「岡山市再投資・拠点強化促進奨励金」の制度を新設したため活用しました。

2018年2月に「2017年12月期」の連結決算は純利益が前期比33%増と発表しました。

フィルムや接着剤の原料になるポバール樹脂が好調だったほか液晶パネルに使うフィルムや個包装洗剤に使う水溶性フィルムなどの需要も拡大していて販売が伸びました。

同じく2018年2月に「2020年12月期」までの『3カ年中期経営計画』を発表しました。

フィルムや接着剤の原料のポバール樹脂や食品包装用などに使うエバールなどの世界首位の主力製品で能力増強と新市場開拓を進めていき機能材料と合わせて2500億円を設備投資に充てていきます。

ナフサ誘導品のイソプレン関連では耐熱性や成型加工しやすいポリアミド樹脂を自動車向けに販売を拡大します。

自動車は電気自動車化や電装化が進みポリアミドの需要が見込めます。

2018年2月に心拍数のデータを取得するなどの機能を衣服に持たせた「スマート衣料」に参入する方針を明らかにしました。

スタートアップ企業と組んで着心地の良さなどを追求して独自製品を開発していきます。

2018年3月に<クラレ>は<住友商事>とタイの石油化学大手である<PTTグローバルケミカル>とタイで高機能樹脂を製造販売する合弁会社を設立すると発表しました。

石油化学原料からできる耐熱性の高い「ポリアミド樹脂」や合成ゴムである「エラストマー」などのブタジエン誘導品を製造します。

2018年5月に発表した「2018年1~3月期」の連結決算は純利益が前期比3%増でした。

アクリル樹脂や歯科治療に使う材料などの機能材料部門が市況改善や需要拡大を受けて好調でした。

併せて2018年12月期の売上高予想は前期比18%増としています。

活性炭大手の<カルゴンカーボン>の買収が完了したため買収効果を見込んでいます。

2018年6月に<カルゴンカーボン>の買収が完了したため都内で事業説明会を開きました。

<クラレ>の伊藤正明社長は……「炭素材料などの機能材料を樹脂素材のビニルアセテートやイソプレンに次いで3つめの柱にする」と説明しました。

アジアに強い<クラレ>と欧米が中心の<カルゴン・カーボン>が相互に補完し合うことで利益として2025年度に100億円の相乗効果を計画しています。

<カルゴン・カーボン>との統合について<クラレ>の伊藤正明社長は「将来的には(統合も)考えている」と話しています。

実際に統合することで<クラレ>が目指している3つ目の事業の柱にする可能性が高くなり今後のビジネスモデルが構築できます。

(次回ブログ=7月9日月曜日投稿です)『ビジネスモデル虎の巻』は8月出版!

!

経営者の方が自社のビジネスモデルをチェックできる本になっています。

(出版ブログ=火曜・木曜の投稿です)

このことから何を学べるでしょうか?

海外の会社を買収した企業は……早期の段階で買収効果を出せるようにすることが欠かせない。

買収効果を発揮するためには買収企業を統合させることが有効的な手段になる。

渡邉ひとし
渡邉 ひとし株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役/持続型経営コンサルタント

経営戦略・組織変革・AI活用を、実務と心理の両面から支援しています。中小企業の経営者の方には、訪問またはオンラインで、ご相談をお受けしています(初回は無料)。

✉ ひとことで相談する 私たちについて

無料メルマガ|平日毎日

渡邉ひとしのBusiness view

経営戦略・AI活用・組織変革・ミドルシニアの智慧・事業家の判断軸。平日、毎朝、1本ずつお届けします。配信は、いつでも停止できます。

無料で登録する →
✉ ひとことで相談する