第293話のテーマは『急速な規模の拡大の前に』です。
外食産業では珍しい店舗展開
ジャニーズ事務所の「関ジャニ∞」のドラマーである大倉忠義氏が居酒屋チェーン<鳥貴族>の社長である大倉忠司氏の長男であることはよく知られた事実です。
かと言って大倉忠義氏は甘やかされたわけではなく新聞配達の経験もある努力家のようです。
<鳥貴族>の社名の由来は……お客様を貴族のように大切にして美味しい鳥料理を提供するという考えから名付けられたといいます。
メインの食材である鶏肉は産地直送の国産鶏肉にこだわり新鮮な鶏肉を提供するために焼き鳥の串打ちは各店舗で行っています。
外食産業で多店舗経営をしている会社は複数の商品を扱う多業態の展開を進める企業が一般的ですが<鳥貴族>は「焼き鳥店」という単業態での展開を進めていく方針を明らかにしています。
<鳥貴族>のビジネスモデル
2017年3月に発表した2016年8月~翌年1月期の単独決算は税引き利益が前期比10%増でした。
店舗の移転補償金や譲渡益が発生したほか出店増で売上高が増えました。
同じく3月に発行済み株式の約2%にあたる20万株を<サントリー酒類>に売却すると発表。
2014年から<鳥貴族>の全店で<サントリー>のビールや角瓶などを販売していますが年100店程度のペースで新規出店をする事業拡大のため関係を強化する狙いです。
2017年6月に2017年7月期通期の単独税引き利益が前期比13%減の見込みと発表しました。
焼き鳥に使うネギやトマトなどの材料の価格高騰が想定外に長引きビールの無料キャンペーンなどの利用者が予想以上に多かったことなどが原因です。
2017年8月に全品280円均一の価格を10月から298円に引き上げると発表しました。
値上げは1989年に280円に引き上げて以来28年ぶりです。
人手確保のためにアルバイトの時給引き上げに対応し野菜などの価格の高騰にも対応するため今回の値上げに踏み切ることを決めました。
2017年9月に2018年7月期の単独税引き益が前期比38%増の見込みと発表しました。
新規出店をさらに加速させ10月からのメニューの値上げで採算の改善を見込んでいます。
さらに2017年7月期の売上高営業利益率5%を2021年7月期に8%まで引き上げます。
そのため3つの改革を進めています。
一つ目は独自の「焼く順表示モニター」というシステムの開発です。
お客を待たせずに適切な順番で具材を焼くために焼き時間を自動計算して店員に指示を出す仕組みです。
二つ目は新店の開業にあたってのアルバイトの研修の仕組みです。
開業前に周辺の店で研修することで開業時点から業務に習熟したアルバイトの状態にすることで新店舗の黒字化までの時間を短縮する狙いです。
三つ目はタッチパネル導入店を今後は拡大していきます。
タッチパネルの導入により人件費を減らす効果だけでなく注文数が増える効果がありました。
関東を中心に出店して4年後の店舗を前期末より80%多い1000店に増やす計画です。
4年間で国内での規模を盤石にして海外展開するビジョンを描いています。
2017年10月に日本食鳥協会の佐藤実会長から感謝状を贈呈されました。
<鳥貴族>は1985年の創業以来国産鶏肉の使用を続けているため国産鶏肉の啓発活動に力をいれる<日本食鳥協会>から感謝状を贈呈されることになりました。
2017年12月に11月の営業概況は既存店舗の客数が前年同月を0.5%上回ったと発表しました。
全品の均一価格を税抜き280円から298円に引き上げたため10月の客数は7%の大幅減でした。
同じく12月に発表した2017年8~10月期の単独決算は税引き利益が前期比で3%減少しました。
直営店の新規出店が前年同期の6店から14店に増えて出店コストが膨らんだためでした。
2018年3月に発表した2017年8月~翌年1月の単独決算は税引き利益が前期比31%増でした。
40店程度の店舗数増加による増収の効果に加えて昨年10月のメニュー値上げで利益率が改善しました。
2018年6月に発表した2017年8月~翌年4月の単独決算は税引き利益が前期比38%増でした。
積極的な新規出店による増収効果に加えてメニューの値上げで利益率が改善しました。
2018年7月には6月の既存店売上高が前年比9%減ったと発表しました。
新規出店での増収効果があっても既存店の売上高減少は6ヶ月連続です。
その売上高の不振の要因は……一つ目は40~50代のファミリー世帯の来店が前年から10%程度落ちています。
やはり値上げによる影響で人数の多いファミリー世帯の来店が減少しています。
二つ目は2021年7月期1000店の目標を掲げ急速な出店の拡大に伴い従業員の教育が追いつかずに接客が十分にできない店員も増えています。
居酒屋店などの業界は商品の単価による競争だけではなく接客サービスの質の高さの違いでも他店舗へ客を奪われてしまいます。
<鳥貴族>は急速な店舗拡大の前にメニューの見直しや接客サービスの向上に全力を傾ける必要に迫られています。


