日本の企業で初めて30兆円の売上高になった<トヨタ自動車>ですが経営トップである豊田章男社長は『仲間づくり』がキーワードと記者会見で述べています。
一社単独で完結できるビジネスは終焉を迎えたとも言えます。
今日のメルマガの企業事例は< マツモトキヨシHD >です。
大企業の企業事例を読んで変化する経営環境を読み取っていただきぜひ自社の事業に照らし合わせながら新たな取り組みに生かしてください。
企業事例[第367話]のタイトルは『1兆円規模のメガドラッグが 誕生』多くの事業に進出して業務を拡大1954年1月に有限会社<マツモトキヨシ薬店>を千葉県で松本清氏が設立しました。
1975年4月に株式会社<マツモトキヨシ>に改組しました。
1976年9月にスーパーマーケット事業に進出しました。
1978年10月にコンビニエンスストア事業に進出しました。
1984年10月に生命保険並びに損害保険の代理業を営む<マツモトキヨシ保険サービス>を設立。
1985年5月に医薬品の配置販売を目的とする<マツモトキヨシ薬品>を設立しました。
1988年11月にホームセンター事業に進出しました。
1991年11月に不動産業を営む<マツモトキヨシ不動産>を設立しました。
2007年10月に<マツモトキヨシホールディングス>を設立しました。
これにより<マツモトキヨシ>は<マツモトキヨシホールディングス>の完全子会社になりました。
< マツモトキヨシHD >のビジネスモデル2018年5月にマツモトキヨシホールディングス株が決算発表後に急騰しました。
決算発表とともに発表した『2019年3月期』の業績予想が市場予想を上回ったからです。
好業績予想を牽引するのは訪日外国人の好調な消費です。
訪日消費が百貨店最大の<三越伊勢丹ホールディングス>に肩を並べる規模に成長しました。
その訪日客向け戦略の武器は店舗ごとに国籍を調べて実績に基づき柔軟に品ぞろえを変えています。
中国本土からの来客が多い大阪では化粧品を手厚く用意して台湾からの客が多い北海道や九州では医薬品の売り場を増やすといった訪日客のパスポートデータの分析力です。
2018年6月に福岡空港の国際線ターミナルに出店しました。
空港の国際線ターミナルに直営店が出店するのは初めてです。
2018年7月に成田国際空港の第1ターミナルに出店しました。
出国手続き後のエリアへ出店するのは初めてです。
2018年9月に千葉県の<京成ストア>とフランチャイズチェーン契約を結びました。
2018年10月に<東急ステーションリテールサービス>とフランチャイズチェーン契約を結びました。
東急線の駅を中心に「マツモトキヨシ」が看板のドラッグストアに進出し展開していきます。
2018年10月に台湾の台北市の繁華街にドラッグストアを初出店しました。
医薬品のほか台湾の訪日客に人気が高い化粧品やプライベートブランドを中心に約1万種類の商品をそろえます。
2019年4月に高知県に出店したことで46都道府県に進出することになりました。
全国のなかで未出店の地域は和歌山県のみとなりました。
2019年4月に<ココカラファイン>と資本業務提携の協議を始めることを発表しました。
<ココカラファイン>とビジネスモデルが似ているためシナジー(相乗効果)が大きいと考えています。
プライベートブランドで収益力を高め新規出店を2018年度まで4年連続で減らしてきました。
さらなるプライベートブランドの成長に新規出店という戦略ではなく規模拡大という戦略のために選んだのが<ココカラファイン>との提携です。
<ココカラファイン>は6月に<スギホールディングス>とも経営統合の協議を始めました。
<ココカラファイン>は両者と交渉し社内に設置予定の特別委員会で総合的な判断を下す考えです。
これまでは大手チェーンが地方の中小チェーンや店舗を買収するケースが中心でしたが大手チェーン同士が連携する段階に入りました。
2019年7月に香港とベトナムで出店準備に入ったと発表しました。
健康志向を背景とした日本食や化粧品などの需要拡大を見込み香港で現地法人を開設しベトナムでは現地企業と出店に向けた基本合意を結びました。
アジアでの出店を増やすことで海外でドラッグストア事業が一段と伸びると期待が高まり株が大幅高になりました。
2019年8月に発表した『2019年4~6月期』決算は10四半期ぶりに最終減益となりました。
訪日客の消費が急減速していて日韓関係の悪化も重なりインバウンド(訪日客)消費は一段と落ち込む恐れがでてきました。
2019年8月に<スギホールディングス>は進めてきた経営統合の協議を終えると発表しました。
<ココカラファイン>の特別委員会は<マツモトキヨシホールディングス>の提案を支持したため<ココカラファイン>は取締役会で検討し<マツモトキヨシHD>と組む方が相乗効果が大きいと判断しました。
これにより売上高1兆円規模の『メガドラッグ』が誕生することになります。
2019年10月に香りを共通軸にした日用品のプライベートブランドを立ち上げました。
衣類やインテリア向けファブリックケアのプライベートブランドとなる『レプリカノーツ』です。
プライベートブランドの開発力という強みを生かして集客力の向上につなげたい考えです。
2019年8月22日に<ココカラファイン>との記者会見で<マツモトキヨシHD>社長の松本清雄氏は……「アジアで一番のドラッグになりたい」と熱く語りました。
アジアを中心に展開する香港の<ワトソンズ>の店舗数は<ココカラファイン>と<マツモトキヨシHD>の合計の5倍です。
現時点での差は大きいですがインドネシアとマレーシアで出店準備に入ったことも表明しました。
2016年度に<マツモトキヨシHD>はドラッグストア業界の売上高首位から脱落しました。
3代目社長の松本清雄氏は新規出店による売上高拡大から稼げる店づくりへの転換を決意しました。
そこで強化したのがプライベートブランド商品の開発でした。
2700万人のカード会員情報を活用して化粧品・日用品の『アルジェラン』シリーズは累計販売個数が1千万個以上になりました。
安売り競争から決別してプライベートブランド商品を買うために来る客が多い店づくりに成功しました。
プライベートブランド商品の売上高構成比率が11%まで高まると2018年度に営業利益率は6.3%となり大手でトップになりました。
いずれドラッグストアもコンビニのように集約が進むとの見方で市場飽和を見据えて新規出店を抑制して稼げる店づくりへと明確に転換しました。
さらに手元資金を活用して他社に先行する形で海外事業の強化に取り組んでいます。
2018年度の総売上高のうち48%はスーパーやコンビニの主力商品でもある食品や日用品、衣料品や文具などです。
スーパーやコンビニなど業態の境界線は国内の人口減少の中で拡大を志向する大手小売りにとって極めて曖昧になってきました。
ドラッグストアは過去10年規制緩和と市場変化をうまくとらえコンビニ以上の成長を果たしました。
しかし人口減で地方の需要が低迷して訪日外国人の購買力も陰りが見え始め主力の医薬品市場も伸び悩み人手不足も強まっています。
医薬品や化粧品の粗利益率は高くその利益を原資に食品や日用品で安値攻勢をかけてきましたが安値乱売による消耗戦が始まり先行きの成長も期待できないとの声も業界の関係者から出ています。
食品を安く売って集客につなげ粗利の高い医薬品で収益を確保するという旧来のドラッグストアのビジネスモデルからいち早く脱することと人口減少化の日本では期待できない消費意欲の高い海外での市場で有数の小売業として認知されることが当面の課題となっています。
今日の事例で何を学べるでしょうか?
従来のビジネスモデルが通用しなくなってきた会社は……新たなビジネスモデルにいち早く切り替えることが急務になる。
業界トップになった企業は日本の人口減少化に対応するためいち早く海外市場を切り開くことが当面の課題になる。


