未来デザインカンパニー ロゴ未来デザインカンパニー持続型経営コンサルティング
ブログ / ビジネスモデルの企業事例

第392話 Jパワーのビジネスモデル

2020年5月22日 執筆:渡邉ひとし

緊急事態宣言が解除されることで日本の経済の立て直しがこれから始まろうとしています。

自粛生活を余儀なくされ行動変容が継続したことで個人のライフスタイルの変化も常態化することとなりました。

働き方にも変容が起きたことで新型コロナウィルスと共生する『 with コロナ』の時代に適応できる新たなビジネスモデルを構築することがすべての業界や会社に求められています。

このような時代の変化の狭間で一歩先に踏み出す会社がこれから迎える新たな時代に『優良企業』と呼ばれる存在になります。

これからは『つながる(つながり)』という言葉がキーワードになると予見しています。

大企業の企業事例を読んで変化する経営環境を読み取ってぜひ自社の事業に照らし合わせながら新たな取り組みに生かしてください。

今日のビジネスモデルの企業事例は正式名称は<電源開発>株式会社1952年9月に『電源開発促進法』に基づき政府出資の<電源開発>が設立されました。

1963年1月に自社初の石炭火力発電所である<若松火力発電所>を運転開始しました。

1974年6月に自社初の重油専焼火力発電所である<竹原火力発電所>を運転開始しました。

1975年3月に自社初の地熱発電所である<鬼首地熱発電所>を運転開始しました。

1979年12月に日本初の直流送電による連系設備である北海道本州間連系設備を運転開始しました。

1981年1月に日本初の輸入炭を使用した石炭火力発電所<松島火力発電所>を運転開始しました。

1999年3月に世界初の海水揚水発電所である<沖縄やんばる海水揚水発電所>を開始。

2002年4月に愛称を『でんぱつ』から『J-POWER』へ変更しました。

<Jパワー>のビジネスモデル2018年10月に燃料商社の<鈴与商事>と電力小売りの共同出資会社<鈴与電力>を設立しました。

2018年12月に電力小売り分野への本格参入に取り組み始めたことを表明しました。

電力小売りを手がける<エナリス>の株式公開買い付けを<KDDI>と組んで進めています。

主力事業である電力会社10社への卸売りが頭打ちとなるなか国内で収益を伸ばす新たな戦略に取り組んでいます。

<Jパワー>の渡部肇史社長は……「KDDIの情報通信技術と我々の発電事業の知見を全て持ち寄ることでエナリスの事業の付加価値を高められる」と述べています。

人口減少や製造拠点の海外移転などで国内の電力需要は伸びにくいですが企業の工場や家庭などへの電力小売りが完全自由化されこの分野の成長性は高いと見ています。

2019年4月に横浜市が手がける仮想発電所構築事業に参画すると発表しました。

<鈴与商事>と共同出資する電力小売りの<鈴与電力>は横浜市内の小中学校12校に10キロワットの蓄電池を導入し1月から電力供給を始めます。

蓄電池群制御システムにより電力消費のバランスを最適化しながら効率的に利用できるようにし非常時は防災用電力として活用でき災害に強く環境負荷の小さい電力調達を進める考えです。

2019年4月に北海道の『足寄水力発電所』の更新工事に着手しました。

稼働から60年以上が経過した水車や発電機など主要設備を最新設計のものと交換し使用する水量を変えずに発電出力を4万2300KWに増やします。

2025年度までに設備更新などを進めて水力発電の年間発電量を2017年度比で3億KW時増やすことを目標に掲げています。

3億KW時は約8万世帯分の消費電力量に相当します。

2019年4月にCO2の排出を抑えた高効率の石炭火力発電の実証事業を始めました。

石炭から発生したガスを燃やして発電するだけでなくガスから取り出した水素を燃料電池に使うことで全体の発電効率を上げます。

従来と同程度の発電効率でCO2排出量を約90%削減できます。

2019年4月に石炭火力発電所の新設計画から<大阪ガス>が離脱を表明しました。

国内の石炭火力発電所の新設計画で山口県の『西沖の山発電所(仮称)』は国の規制強化の動きが続くなか事業の中心だった<大阪ガス>が離脱を表明しました。

<Jパワー>と<宇部興産>は計画の出力を当初の半分にして発電効率が高く温暖化ガス排出量が少ない石炭ガス化複合発電を導入して計画を維持することを表明しました。

2019年5月に『山葵沢(わさびざわ)地熱発電所』の報道陣向け見学会を開きました。

<Jパワー><三菱マテリアル><三菱ガス化学>の3社が2010年に設立した<湯沢地熱>が2015年に工事に着手し国内で23年ぶりとなる大規模な地熱発電所が秋田県湯沢市で運転を始めます。

湧出量が減るのではないかといった温泉旅館の懸念を払拭するため地元関係者への丁寧な説明を何度も繰り返してきました。

<湯沢地熱>の大泉博幹社長は……「社員が地元の雪祭りに参加するなど地元との良好な関係を築けた」と述べています。

2019年5月に水浄化システムを開発する<WOTA>に出資したと発表しました。

これまで大学や病院などの敷地内で浄水事業を展開してきましたが<WOTA>が持つ水浄化のノウハウを活用し新規事業の創出などにつなげる狙いです。

2019年6月に国内初となる石炭火力発電所から回収した二酸化炭素の再利用を発表しました。

<中国電力>と共同出資する<大崎クールジェン>を通じて発電中に回収された二酸化炭素を燃料などへ再利用することで環境に配慮した発電技術の確立を目指します。

2019年6月に北海道『上ノ国第二風力発電所』の建設工事に着手したと発表しました。

国内最大級の風力発電機10基を設置し2021年9月末に営業運転を始める予定です。

2019年6月に米国イリノイ州で天然ガス火力発電所を単独で建設すると発表しました。

海外での発電事業を強化し新規需要の開拓を狙います。

2019年7月に長崎県西海市沖で海底の地盤調査を始めたと発表しました。

<Jパワー>と<住友商事>は洋上風力発電事業の実現可能性を検討するため地盤調査を始めました。

市場の拡大が見込まれる洋上風力事業を進め収益の多様化を目指します。

2020年1月に北海道で建設していた陸上の風力発電所が運転を始めたと発表しました。

<Jパワー>の国内の風力設備としては23カ所目になります。

2020年4月に太陽光発電所の開発事業に参入すると発表しました。

米国テキサス州で太陽光発電所の建設を2020年末から始め2022年の稼働を見込んでいます。

再生可能エネルギー事業の開拓で収益源の多様化を図ります。

2020年5月に二酸化炭素の排出量を減らす技術を海外展開すると表明しました。

インドネシアのガス田で二酸化炭素を地中に埋めて排出量を減らす技術の実証事業に乗り出します。

経済産業省が予算を計上して<Jパワー>などが参画します。

2020年4月には電力システム改革の仕上げとして『発送電分離』が実施されました。

『発送電分離』とは電力会社の発電事業と送電事業を分離することですが分離のメリットとして電力市場の競争が一層活発化し電気料金の値下げにつながるとされていますが世界の動向を見るとむしろ電気料金は値上がりしています。

東京電力福島第1原子力発電所事故後は原発依存型のエネルギー政策は根本的な見直しを余儀なくされ将来は再生可能エネルギーを主力電源とする方向性が打ち出されました。

なかでも洋上風力発電の構想が北海道で相次いで浮上しています。

<Jパワー>は2030年ごろに檜山沖で約70基強の風車を稼働させる計画を公表しました。

<Jパワー>にとっても過去最大の再エネ計画であり「陸上の実績に加えて海外の知見もある」「うち以外にやれる企業はいない」と再生可能エネルギー本部の戸田勝也室長は述べています。

一方で23年ぶりに地熱発電所の『山葵沢地熱発電所』を秋田県で稼働させています。

地中からの蒸気でタービンを回して発電する地熱発電は火山周辺に適地が多く日本の潜在的な地熱の資源量は米国とインドネシアに次ぐ世界3位となっています。

しかし実際に利用されている資源は約2%にとどまっています。

地熱は実際に採掘しないと資源量が分からず成功率は30%程度とされ環境影響評価に3~4年かかるケースも多く事業見通しも立てにくい状況です。

日本の地熱発電は1970年代の石油危機を契機に東北や九州などで建設が相次ぎましたがその後は原子力発電に国の予算が振り向けられ地熱は停滞し1990年代以降は空白の時代となり技術の伝承も難しくなりました。

地熱は気象条件に左右されずに発電でき再生可能エネルギーのなかでも発電コストが低いというメリットがありますが実際に稼働できそうな案件はほとんどありません。

欧州連合をはじめ世界で進む脱炭素の動きを受け石炭火力発電事業の縮小が余儀なくされています。

国内金融機関でも<三菱UFJフィナンシャル・グループ>は石炭火力発電事業への新規融資を原則中止する方針で<みずほフィナンシャルグループ>も石炭火力への融資基準を厳格にしました。

<Jパワー>の渡部肇史社長は……「プロジェクトファイナンスでローンを調達することも難しくなる」と述べています。

発送電分離後の日本の電力業界で新たに見込まれるビジネスモデルの中でも石炭火力発電を主力とする<Jパワー>にとって大きな転換期を迎えています。

今日の事例で何を学べるでしょうか?

世界の動向と逆風下にある会社は……世界の動向に沿った目標を自社のビジョンに掲げそれまでの収益構造を抜本的に変える新たなビジネスモデルを構築することが事業を継続する鍵となる。

渡邉ひとし
渡邉 ひとし株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役/持続型経営コンサルタント

経営戦略・組織変革・AI活用を、実務と心理の両面から支援しています。中小企業の経営者の方には、訪問またはオンラインで、ご相談をお受けしています(初回は無料)。

✉ ひとことで相談する 私たちについて

無料メルマガ|平日毎日

渡邉ひとしのBusiness view

経営戦略・AI活用・組織変革・ミドルシニアの智慧・事業家の判断軸。平日、毎朝、1本ずつお届けします。配信は、いつでも停止できます。

無料で登録する →
✉ ひとことで相談する