未来会計志向型 経営戦略コンサルタントニューノーマルに対応できないと思い込んでいませんか?
少ない時には1車両に数人の乗客で閑散としている新幹線にリモートワークができる車両を設ける実証実験を始めています。
<JR東日本>と<JR北海道>は東北・北海道新幹線『はやぶさ』の全列車で1号車を『リモートワーク推奨車両』として走らせています。
1号車の車両の座席は販売しないで別の号車の指定券を持っている乗客が自由に利用でき追加料金は不要です。
パソコンの画面を他人に見られることへの不安解消のため<セイコーエプソン>のスマートグラスを用意しています。
レンズの中に画面が映し出されパソコンの画面をオフにすればのぞき見を防げます。
ウェブ会議の場合は会話の内容を周囲に聞かれてしまうため<ヤマハ>の『スピーチプライバシーシステム』を一部列車に設置しました。
ガヤガヤとした『情報マスキング音』を車内に流すことで周囲の人が会話内容を聞き取りにくくする技術の導入です。
従来の非常識にチャレンジしなければ『ニューノーマルの時代』に生き残ることはできません。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては同じ『外部環境』のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営手法を観察することで自社の経営に活かしてください。
今日の企業事例は第446話<セイコーエプソン>です。
(*写真はイメージです)<第二精工舎>の関連会社として創業1942年5月に諏訪市の時計商である山崎久夫氏が<大和工業>を設立しました。
1943年に<第二精工舎>が諏訪市に工場を開設しました。
1959年に<大和工業>が<第二精工舎>の諏訪工場を営業譲受し<諏訪精工舎>となりました。
1961年12月に子会社として<信州精器>を設立しました。
1968年9月に世界初の電子機器用の小型電子プリンターを発表しました。
1969年に世界初のクォーツ腕時計を開発しました。
1975年に『EPSON』のブランドを制定しました。
1982年に<信州精器>を<エプソン>に社名を変更しました。
1985年11月に<諏訪精工舎>が<エプソン>を合併し<セイコーエプソン>に社名変更しました。
1996年に国内インクジェットプリンターでトップシェアとなりました。
2016年11月に<エプソン販売>からAR対応のスマートグラスを発売しました。
2017年4月に<オリエント時計>を統合しました。
<セイコーエプソン>のビジネスモデル2019年12月に<セイコーエプソン>の碓井稔社長が富士見事業所で記者会見を開きました。
米中貿易摩擦などによる世界経済の低迷や円高など厳しい事業環境が続く見方を示しその中でも戦略商品である大容量インクタンク搭載のインクジェットプリンターについて2020年度は2019年度比約10%増の1100万台程度を販売したいと表明し「加速するデジタル化や環境問題への対応を一段と強化して自らの力で成長していく」と記者会見で述べました。
2020年1月に個人向けのインクジェットプリンターにサブスクを導入すると発表しました。
製品やサービスを定額利用できるサブスクリプション型サービスを欧州から始めて2020年度には先進国に広げる考えです。
すでにビジネス向けプリンターで展開していましたが個人でも利用の選択肢を広げて顧客拡大につなげる狙いです。
2020年1月に小川恭範取締役常務執行役員の社長昇格を決めた人事を表明しました。
社長交代は12年ぶりで碓井稔社長は代表権のない会長に就く予定です。
インクジェットプリンターを中心に事業領域の多角化などに碓井社長は取り組んできましたが基盤強化が進んだとみて4月1日付でトップの若返りを図る考えです。
小川恭範取締役常務執行役員は碓井稔社長と同じく技術畑出身で「エプソンは技術の会社社会課題をどう解決するかという視点を社内に徹底し柔軟で迅速な経営を進める」と抱負を述べています。
2020年2月に発表した『2019年4~12月期』の連結決算は純利益が前期比47%減でした。
中国や欧州の景気悪化でプリンターやプロジェクターの販売が振るわず為替の円高も響きました。
『プリンター』『プロジェクター』『時計・産業ロボット』の全3事業で減収減益でした。
2020年2月に高画質プリンターを10年ぶりに全面刷新すると表明しました。
写真愛好家や写真スタジオなどが使う高画質プリンターを新しいプリンターヘッドの採用など構造を抜本的に見直し黒や青の表現力を高めながらプリンターのサイズを従来より30%程度小さくしました。
2020年3月に長野県塩尻市で建設してきた工場が完成したと発表しました。
長野県塩尻市の広丘事業所で商業・産業印刷機の試作と量産工場を建設してきました。
繊維製品向けのデジタル捺染印刷機などを開発・生産する計画で4月稼働します。
2020年4月にスタートアップ企業に投資する子会社を設立したと発表しました。
プリンターなどの事業と相乗効果のある技術などを持つスタートアップなどに投資するコーポレートベンチャーキャピタルの<エプソンクロスインベストメント>で小川恭範社長が代表者を務めます。
2020年4月に国内にあるグループの約50事業所を大型連休中は休業すると発表しました。
工場や営業拠点など約2万人が勤務しているため新型コロナウイルスの感染拡大防止と従業員の安全確保につなげる考えです。
2020年5月に発表した『2020年3月期』の連結決算は純利益が前年同期比86%減でした。
新型コロナウイルスの影響から世界的な生産や営業活動の停滞で主力のプリンターやプロジェクターなどが落ち込み約140億円の減収要因になりました。
2020年7月に福島県にある IT 拠点『AiCT』に新たな拠点を設けたと発表しました。
外部企業と連携して新サービスの創出などにつなげるオープンイノベーションの拠点にして<会津大学>との連携も進める考えです。
2020年10月に家庭用インクジェットプリンターの新製品を8機種10モデル発売しました。
新型コロナウイルスによる在宅勤務や自宅学習の広がりなどを受け印刷コストを下げるなどした製品の販売に力を入れる考えです。
2020年12月に進行中の中長期の経営計画を2021年中に見直す考えを表明しました。
テレワークの拡大といったニューノーマル(新常態)に対応した経営も進めていく考えで新型コロナウイルス禍に伴う事業環境の変化などを反映する方針です。
2021年3月に国内の使用電力を再生可能エネルギーに切り替えると発表しました。
2020年4月に本社やプリンターの開発拠点など3つの拠点で全量を再生エネに切り替えていますが2021年度までに国内の工場や事業所で使う電力を再生可能エネルギーに切り替え2023年には海外も含めて全ての拠点の電力を再生エネルギーにする考えです。
2021年3月に<ユーグレナ>など13の企業や自治体で企業連合を設立すると発表しました。
ミドリムシ由来のバイオマスプラスチック開発に取り組み2030年までに20万トンを供給することを目指します。
日本政府は2030年までにバイオプラスチックの導入量を200万トンに拡大する目標を掲げています。
企業連合で20万トンを導入できれば約37トンの二酸化炭素の削減効果が見込めます。
2021年6月に半導体の安定調達に向けて仕様の見直しを表明しました。
「半導体不足は長期化する可能性がある旺盛な需要に応えるためにも調達や生産、物流面での対応を強化する」と<セイコーエプソン>の小川恭範社長は述べました。
今日の企業事例である<セイコーエプソン>を少し俯瞰して見てみましょう。
家庭用プリンターの好調で『2021年3月期』の連結業績予想を大幅に修正しました。
「先進国を中心にお店にプリンターがない状態が続いている」と瀬木達明取締役は20201年3月時点の市場環境を説明しています。
得意とするインクを紙に吹きつけるインクジェット式プリンターは家庭向けが主力ですが先進国では成熟しつつある市場でした。
コロナ禍を受け在宅勤務が拡大したことで需要が一気に膨らみました。
ただし新型コロナウィルスの感染拡大がワクチン接種などで終息に向かえば今期のような市況は望めません。
一方で商業・産業向け印刷事業の主要顧客である服飾関連では大手ブランドの苦戦が目立ち看板や大形ポスターも外出自粛で需要が落ち込んでいます。
2020年12月に小川恭範社長は進行中の『中長期経営計画』を2021年中に見直す考えを表明しました。
2025年度を最終年度とする長期ビジョン『エプソン25』を進めていましたが新型コロナウイルス禍に伴う事業環境の変化などを反映する方針でテレワークの拡大といったニューノーマル(新常態)に対応した経営を進めていく考えです。
大容量インクタンク搭載モデルのプリンターの強化や商業・産業印刷分野の拡大などを進め売上高を2020年度見通しより約8割多い1兆7000億円に引き上げる計画です。
2024年度までの長期プロジェクトでは情報システムを20年以上ぶりに全面刷新する方針です。
事業部や国・地域などで細かい違いがあるシステムを統合し必要な情報をどこからでも短時間で引き出せるようにするデジタルトランスフォーメーションを加速させる考えです。
受発注や生産・販売計画の策定製造管理、会計などあらゆる業務をクラウドで管理します。
プリンターやプロジェクターなど全ての事業部や販売部門世界の現地法人などエプソングループ全体を対象とします。
新システムに移行すればどの製品がいくらでどの程度売れているかといった情報を経営陣などがタイムリーに把握でき無駄のない計画的な生産などにつなげることができ業務が効率化します。
1カ所で大量に生産したり印刷したりしていたモノが将来的に分散していくと想定していましたがコロナ禍で加速しています。
成長事業と位置付ける産業・商業用印刷事業がニューノーマルの時代を迎えどのように変化していくのか?
2021年3月には宇宙作業用ロボット開発の<GITAI Japan>に出資しました。
オープンイノベーションによる成長の加速を目指しています。
従来の事業に加え新たな成長事業への取り組みと成長事業の育成の可否が<セイコーエプソン>の企業存続の鍵となります。


