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ブログ / 実践経営戦略ノート

第52話 先が読めない時代は、経営者の思いが土台になる。未来設計図と不易流行で、何を変え、何を守るか?

2026年10月12日 執筆:渡邉ひとし

先が読めないから計画は立てられないと、様子見を続けていませんか。

様子見は、一見すると慎重な判断に見えます。

しかし、判断を先送りしている間にも、外部環境は動き続けています。

内閣府が2026年10月8日に公表した景気ウォッチャー調査の9月分では、現状判断DI(季節調整値)が47.0でした。

前月より0.6ポイント上昇しており、景気は持ち直しの動きがみられるとの判断です。

しかし、2〜3か月先を尋ねた先行き判断DIは47.4で、前月より0.9ポイント低下しました。

家計動向、企業動向、雇用の3つの関連DIが、そろって低下しています。

先行きについては、中東情勢による不透明感が残るうえ、自然災害の影響への懸念もあると整理されています。

DI(Diffusion Index)は50が景気の判断の分かれ目ですので、現状も先行きも、50を下回ったままです。

つまり、足元は持ち直していても、数か月先の見通しは立ちにくいわけです。

こうした見通しにくさは、もはや特別な出来事ではありません。

20世紀の高度経済成長の時代は、需要が伸び続け、昨年の延長線上に今年がありました。

しかし21世紀に入り、インターネットとデジタル化が進み、さらにAIが日進月歩で進化しています。

今は、変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の頭文字を取って、VUCA(ブーカ)の時代と呼ばれます。

では、先が読めない時代に、中小企業の経営者は何をすればよいのでしょうか。

答えは、経営者が強い想いを持つ点にあると、私は考えています。

何を成し遂げたいのか。

何を成し遂げれば、意味と価値があるのか。

この2つを、経営者自身が自問自答します。

つまり、経営者のミッション(目的)とパッション(熱い想い)が出発点です。

予測が外れる時代に、外の景気へ答えを求めても、判断の軸は定まりません。

軸は、経営者の内側にしかありません。

次に、その想いを、未来の目標へと置き換え、未来設計図として描きます。

目標の時点は、3年後でも、5年後でも、10年後でも構いません。

大切なのは、無計画ではなく、具体的に描く点です。

未来設計図が描けると、バックキャスティングで、今何をすればよいのかが見えてきます。

先が読めない時代に必要なのは、未来を当てる力よりも、未来を設計する発想です。

予測は外れても、自分たちで設計した未来は、自分たちの意思で修正できます。

さらに、未来を指し示すと、もう一つの効果が生まれます。

社員だけでなく、取引先や金融機関といったステークホルダーにも、会社がどこへ向かうのかが伝わります。

向かう先が見えれば、応援者や支援者が現れる可能性が高くなります。

逆に、経営者の頭の中にだけある想いは、周囲に伝わりません。

言葉にしなければ、誰も応援できないからです。

応援者は、会社の数字だけでなく、会社が目指す姿に共感して集まります。

ただし、未来設計図を描いたら安泰、というわけではありません。

社会の変化や時代の流れは、止められません。

これが外部環境です。

外部環境には敏感になり、絶えずPDCAを回して、軌道修正を積み重ねる必要があります。

ビジネスモデルも同じです。

どれほど優れたビジネスモデルを作っても、外部環境が変われば、見直しが要ります。

会社の中の内部環境が変わった場合も、同様です。

ここで大切になるのが、不易流行という考え方です。

不易流行とは、変えない本質と、時代に合わせて変えていく部分の両方を持つ考え方です。

変えない本質は、経営者の想い、つまりミッションです。

変えてよい部分は、ビジネスモデルや具体的な打ち手です。

ビジネスモデルを見直すときは、まず、それが経営者の想いの実現につながるかを確かめます。

想いに沿うなら磨き直し、沿わないなら、変える候補になります。

この区別がないまま回すPDCAは、迷走します。

「想い」まで毎回変えてしまえば、会社は時代に流されます。

反対に、ビジネスモデルまで守ろうとすれば、時代に取り残されます。

そして、想いも未来設計図もないまま、数字の修正だけを繰り返す会社は、情報が増えるほど迷いが深まります。

つまり、変えない軸を先に決め、そのうえで、変えてよい部分をPDCAで磨き直すのです。

もちろん、すべての会社が同じ順番で進める必要はありません。

業種や規模、経営者の年代によって、その想いの形も、描く未来の期間も違います。

もし今、先行きの見通しにくさで足が止まっているなら、まず、何を成し遂げたいのかを紙に書き出してみてください。

その想いが、未来設計図の出発点になり、応援者と出会う入口になります。

先が読めない時代に、あなたの会社はどこへ向かいますか。

【出典】内閣府「景気ウォッチャー調査 令和8年9月調査結果」(2026年10月8日)

渡邉ひとし
渡邉 ひとし株式会社未来デザインカンパニー 代表取締役/持続型経営コンサルタント

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