【ミドルシニア世代の智慧=変革の羅針盤=】
いつもお読みいただき有難うございます。
===============================
不易流行:変わらぬこと、変わりゆくこと/成熟企業の宿命と挑戦
===============================
日本の経済を支えてこられたミドルシニア世代の皆様へ。
長きに渡り事業を継続されてきた企業に、お勤めの方も多いと思います。
成熟期を迎えた企業は、安定した収益基盤を持つ一方で、
「成長の鈍化」
「市場の変化への対応の遅れ」
「組織の硬直化」
といった課題に直面することが少なくありません。
かつての成功体験が足かせとなり、
新しい一歩を踏み出すことに、躊躇してしまうかもしれません。
しかし時代は常に変化しています。
テクノロジーの進化
顧客ニーズの多様化
新たな競争プレイヤーの出現など、
成熟企業を取り巻く環境は、決して静的なものではありません。
『現状維持は衰退です』
停滞を打破し、持続的な成長を実現するためには、
ビジネスモデルの進化が不可欠です。
今日は、皆様が長年の経験で培ってきた知見を活かしながら、
『成熟企業のビジネスモデル進化論』という視点から、
どのようにビジネスモデルを進化させていくべきかを、
具体的な事例を交えながら、考えていきたいと思います。
===============================
成功体験の呪縛を解き放つ変化への第一歩
===============================
長年培ってきたビジネスモデルは、企業のDNAとも言えます。
そのため変革には、大きなエネルギーと勇気が必要です。
「これまで成功してきたのだから、変える必要はない」
という考え方が、変化への足かせとなることも少なくありません。
しかし市場や顧客のニーズは、常に変化しています。
過去の成功体験に固執することは、あらためて言うまでもなく、
時代の変化に取り残されるリスクが高まります。
ビジネスモデルの進化の第一歩は、現状のビジネスモデルを客観的に分析し、
強みと弱みを明確に認識することです。
そして、
「本当に顧客が求めている価値は、何か?」
「競合他社は、どのような新しい価値を、提供しているのか?」
といった問いに向き合い、
変化の必要性を認識することから始まります。
<富士フイルムの場合>
フィルムカメラで圧倒的なシェアを誇っていた富士フイルムは、
デジタルカメラの台頭という、大きな市場の変化に直面しました。
もし、過去の成功体験に固執し、フィルム事業にしがみついていたら、
今日の姿はなかったでしょう。
大きな収益の減少を目の前にし、時代の流れにインパクトを受け、
自ら変わる必要性を感じたはずです。
これまでフィルム事業で培った、高度な技術を活かし、
化粧品や医薬品、高機能材料といった、
全く新しい分野へと事業転換を図り、第二の成長カーブを描いています。
既存の強みを活かしつつ、
全く異なる領域へ果敢に挑戦する、重要性を示唆しています。
===============================
顧客視点の再構築、新たな価値創造の源泉
===============================
ビジネスモデル進化の核となるのは、顧客視点の再構築です。
「誰に、何を、どのように提供することで、顧客は真に満足するのか?」
という問いを、
あらためて深く掘り下げる必要があります。
成熟期を迎えた企業は、既存の顧客層への理解は深いかもしれませんが、
潜在的なニーズや新たな顧客層の出現を、見落としている可能性があります。
顧客の声に耳を傾けるだけでなく、顧客の行動を観察し、
データ分析を通じて隠れたニーズを、掘り起こす努力が求められます。
そして、そのニーズに応える新たな価値提供の方法を模索するのが、
ビジネスモデルの進化の鍵となります。
<Amazonの場合>
書籍販売を事業としていましたが、本を読みたい顧客ニーズの本質を捉え、
電子書籍という新たな提供方法を確立しました。
さらに、書籍販売で培った物流網や顧客データを活用し、
ECサイトへと事業を拡大しました。
現在では、クラウドサービスやエンターテインメントなど、
多岐にわたる事業を展開し、
顧客の様々なニーズに応えるプラットフォームへと、進化を遂げています。
既存の事業で培った強みを活かしつつ、顧客のニーズの変化に合わせて、
ビジネスモデルを柔軟に変化させる、重要性を示しています。
===============================
組織の壁を乗り越え、変化を実装する力
===============================
新たなビジネスモデルを構想しても、それを組織全体で実行に移し
持続的な成長に繋げるためには組織の変革が不可欠です。
部門間の連携不足過去の成功体験に基づく、抵抗変化を恐れる保守的な姿勢など、
成熟企業には、様々な組織の壁という巨人が立ち尽くしています。
これらの壁を乗り越え、組織全体で変化を推進するためには、
リーダーシップの発揮
明確なビジョンの共有
従業員のエンゲージメント向上
そして何よりも、失敗を恐れない文化の醸成が不可欠です。
<トヨタ自動車の場合>
日本の自動車産業を代表する同社は、
自動車の電動化という大きな変革期を迎えるにあたり、
『CASE』=コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化
と呼ばれる、新たな領域への挑戦を加速させています。
その背景には、
経営トップの強いリーダーシップのもと、全従業員が変革の必要性を共有し、
積極的に新しい技術や、知識を習得しようとする組織文化が育まれています。
また、異業種との積極的な連携を通じて、新たな価値創造を目指す、
オープンイノベーションの取り組みも推進しています。
これは強力なリーダーシップと、組織全体の変革への意識改革が、
ビジネスモデルの進化を成功させる上で、いかに重要かを示しています。
===============================
まとめ:成熟企業よ再び成長のエンジンを点火せよ
===============================
成熟期を迎えた企業が停滞を打破し、持続的な成長を実現するためには、
過去の成功体験に固執することなく、
常に変化への意識を持ち続けることが重要です。
顧客視点を再構築し、たな価値創造に挑戦する勇気、
そして、
組織全体で変革を推進する力こそが、
成熟企業が再び輝きを取り戻すための、羅針盤となるはずです。
皆様が長年培ってきた経験と知識は、新たなビジネスモデルを構想し、
それを実現するための強力な武器となります。
何者も恐れることなく、変化の波を乗りこなし、
第二の成長曲線を描くために、今こそ行動を起こすべき時です。
変化の激しい現代において、企業が持続的に成長していくための、
パワーとなると確信しています。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
*次回発行は5月6日火曜日の予定です。
『次世代リーダーの育成/ミドルシニアの経験をどう伝えるか』
次回もどうぞ宜しくお願いいたします。
http://mirai-design-company.co.jp/