ビジネスモデルの企業事例
今日も読んでいただき有難うございます。
経営戦略コンサルタント、組織変革コンサルタントの渡邉ひとしです。
会社の中核を担い多忙な日々を送りながらも、
将来への不安や焦燥感を抱えている経営者は少なくありません。
現代社会は少子高齢化による労働力不足、気候変動への対応、
そしてデジタル化の加速など、
企業を取り巻く環境は大きく変化しています。
かつての成功体験や業界の常識が通用しなくなり、
将来への明確な道筋を描きにくい時代だからこそ、
企業のビジネスモデルを深く理解し、変化への対応力を養うことが不可欠です。
今回のブログでは、
建設業界のリーディングカンパニーである<大成建設>を取り上げ、
そのビジネスモデルを詳細に分析します。
<大成建設>は、伝統的な建設業の枠を超え、
積極的に最新技術を取り入れ、多角的な事業展開をすることで、
社会の変化やニーズに対応しようとしています。
その戦略は建設業界のみならず、全ての業界の経営者にとって、
変化の時代を生き抜くための、重要な示唆を与えてくれるはずです。
中小企業も大企業も日本の市場に於いては、
同じ外部環境のもとで懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営を観察することで、自社に活かしてください。
今回も企業のビジネスモデルを取り上げ、
その成功要因や課題について深堀りしていきます。
今日の企業事例は、第510話【大成建設のビジネスモデル】
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ミッション、ビジョン、バリュー
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【グループスローガン】
For a Lively World
【グループ理念】
人がいきいきとする環境を創造する
【大成スピリット】
自由闊達 価値創造 伝統進化
【行動指針】
第1章 自由闊達
風通しの良い企業風土の形成、働きやすい職場の確保、基本的人権・多様性の尊重
第2章 価値創造
人がいきいきとする環境の創造、価値創造への挑戦、
お客様満足の追求、安全性・品質の確保と向上
第3章 伝統進化
伝統の継承と尊重、取引業者とのパートナーシップの推進、
環境の保全と創造への取り組み、地域社会とのコミュニケーション、
グローバルな事業活動の取り組み、適切な情報開示、社会的責任の遂行
【ビジョン】
『TAISEI VISION 2030』=The CDE3(キューブ) Company
<5つの事業分野>
・建設事業(C:Construction)
・開発事業(D:Development)
・エンジニアリング事業(E:Engineering)
・エネルギー(E:Energy)
・環境(E:Environment)
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企業の沿革
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1873年10月に
創業者大倉喜八郎氏により<大倉組商会>を創立しました。
1887年3月に
渋沢栄一氏、大倉喜八郎氏(大倉組)、藤田伝三郎氏(藤田組)などにより、
<日本土木会社>を設立しました。
1893年6月に
大倉喜八郎氏が単独経営の<大倉土木組>を創設し、
<日本土木会社>の事業を継承しました。
1911年11月に
<大倉組>に合併され、<大倉組土木部>と改称しました。
1917年12月に
<大倉組>より再度分離し<大倉土木組>を発足しました。
1946年1月に
<大成建設>に商号を改称しました。
1949年に
社員株主制度をスタートし非同族会社になりました。
1958年に
銀座大成ビルを竣工し本社を移転しました。
1990年4月に
現在のシンボルマークを制定しました。
2023年に
創立150周年を迎えました。
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ビジネスモデルの企業事例<大成建設>
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2023年10月に
生成AIを用いた建築施工技術探索システムを開発しました。
このシステムは社内に蓄積された4万件以上の文書を基に、
施工に関する専門的な質問に対して高精度な回答を生成します。
このシステム開発の背景には、社内に点在する膨大な文書を有効活用し、
次世代への専門技術の継承を円滑に進める狙いがあります。
2023年11月に
2025年11月7日までに最大1500億円の自社株買いを、
実施することを発表しました。
政策保有株の売却による原資を株主還元に充てることで、
株主への利益還元を強化し、企業価値を高めることを目指します。
2023年12月に
物質・材料研究機構(NIMS)とAIを活用した、
次世代型建材の共同開発を行うと発表しました。
この共同開発は脱炭素社会の実現と循環型社会への移行を目指し、
環境負荷の低い革新的な建設用材料を開発することを目的としています。
2024年1月に
廃校舎を活用した複合商業施設を奈良県下市町に開業しました。
地域の活性化を目指し、
地元食材を提供するレストランや子供の遊び場などを設けることで
新たな顧客層の開拓と地域社会への貢献を図ります。
2024年2月に
2025年4月に入社する総合職の大卒初任給を、
前年度から2万円引き上げ30万円とする方針を決定しました。
これは優秀な人材の獲得と従業員のモチベーション向上を目的とした、
人材投資の一環です。
2024年2月に
社員の転勤に伴う手当を大幅に引き上げることを発表しました。
人材獲得競争が激しい建設業界において、転勤に伴う経済的負担を軽減することで、
優秀な人材の確保と従業員の定着を図ります。
2024年2月に
『2024年4月〜12月期』の純利益が、前期比4.2倍になったと発表しました。
大型工事の進捗と採算性の改善および子会社の連結化による売上増加が、
この大幅な増益の主な要因です。
2024年3月に
<カナデビア><商船三井>と共同で、
浮体式洋上風力発電の事業で協業すると発表しました。
再生可能エネルギー分野への事業拡大と、各社の技術やノウハウを結集することで、
洋上風力発電事業の効率化とコスト削減を目指します。
2024年3月に
全方位走行可能な自律走行搬送ロボット「MogLifter」を開発しました。
ロボットの開発は建設現場の省力化と作業効率の向上を目的としており、
特に制約のある環境下での搬送能力を高めることを目指しています。
2024年3月に
2025年度に基本給を引き上げるベアや定期昇給などを合わせて、
平均5.3%の賃上げを実施する方針を決定しました。
物価上昇への対応と従業員の士気向上、採用競争力の強化を目的としています。
2024年4月に
改正育児・介護休業法の施行に伴い、
小学校卒業までの子供を持つ社員に対し、
年15日の看護休暇を認める制度を導入しました。
法が求める基準を上回る支援を提供することで、
従業員のワークライフバランスを支援し、
働きやすい環境を整備することで優秀な人材の確保と定着を図ります。
2024年5月に
『2024年3月期』の純利益が、前期比29%増と発表しました。
衣料品販売の好調とオンラインプロモーションの成功により、
過去最高益を更新しました。
2024年6月に
複合商業施設「KITO」を奈良県下市町に開業しました。
地域活性化と新たな顧客層の開拓を目指し、
地元食材を使ったレストランやキッズスペースなどを提供します。
2024年6月に
<平和不動産>の株式を追加取得し、筆頭株主になることを発表しました。
この資本提携により、
両社は共同で大規模再開発事業に取り組み、
建設・不動産事業における収益性の向上と事業領域の拡大を目指します。
2024年6月に
建物のライフサイクル全体での二酸化炭素排出量を、
4割削減する賃貸オフィスビルを、
大阪市内で建設中と発表しました。
脱炭素化への対応として環境負荷の低い建材の利用と、
省エネルギー設計により持続可能な建築物の実現を目指します。
2024年8月に
全管理職を対象にリベラルアーツ研修を開始しました。
変化の速い事業環境の中で、従業員の多様な発想力と組織の活性化を促し、
新たな事業アイデアの創出につなげることを目的としています。
2024年8月に
工場屋根に太陽光パネルと蓄電池を設置し、
AIで電力を最適制御するサービスを2024年度中に開始すると発表しました。
再生可能エネルギーの効率的な利用を促進し、
企業の脱炭素化ニーズに応えることで、
新たな収益源の確保と環境負荷の低減を目指します。
2024年10月に
生成AIを用いた建築施工技術探索システムを開発したと発表しました。
このシステムは、社内の専門知識を効率的に活用し、技術伝承を支援することで、
業務効率化と生産性向上を図ることを目的としています。
2024年11月に
『2025年3月期』の連結純利益が、前期比2.1倍になりそうと発表しました。
工事の進捗と企業買収による収益性の向上、
および政策保有株の売却益を背景とした収益性の向上と、
株主への利益還元を強化する経営戦略の一環です。
2024年12月に
<カネカ>と建材一体型太陽光発電パネルを共同開発し、
販売する新会社<G.G.Energy>を設立しました。
再生可能エネルギーの普及を促進し、都市部での発電能力を高めることで、
脱炭素社会の実現に貢献するとともに、新たな市場での収益機会を創出します。
今日の企業事例<大成建設のビジネスモデル>を、
もう少し俯瞰してみましょう。
大成建設は伝統的な建設業の枠を超え、積極的に最新技術を取り入れ、
多角的な事業展開をすることで、
社会の変化やニーズに対応しようとしています。
具体的には、
・生成AIを用いた
建築施工技術探索システムの開発
・AIを活用した次世代型建材の共同開発
・3Dプリンターによる革新的な柱部材の開発 など
技術革新への積極的な投資は、
建設業界の生産性向上や新たな価値創造に繋がる可能性を示しています。
これは我々が直面している人手不足の深刻化や、
働き方改革による労働時間制約という課題に対する一つの解決策を、
示唆していると言えるでしょう。
また、社員のキャリアパス支援や働きやすい環境整備に、
力を入れているのも示唆に富んでいます。
人材獲得競争が激化する現代において、企業が持続的な成長を遂げるためには、
従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、
長期的なキャリアを支援することが不可欠であることを示しています。
変化のスピードが加速し、将来の予測が困難になっている現代において、
<大成建設>の多角的な事業展開と変化への対応力は、
私たち経営者にとって、自社のビジネスモデルを再考し、
新たな事業機会を創出するためのヒントを与えてくれるはずです。
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*次回の発行は、5月12日月曜日の予定です。
★前回までの企業事例の一部です。
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