ブログ/ミドルシニア世代の智慧『変革の羅針盤』

第4話 次世代リーダー育成の迷走
いつもお読みいただき有難うございます。
組織変革コンサルタントの渡邉ひとしです。
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若手を育てたいのに、なぜ響かないのか
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M社の製造部門で長年のキャリアを持つ
高橋部長(54歳)は
会議室を後にしながら溜め息をつきました。
今日も若手社員との
1on1ミーティングが思うように進まず
自分の言葉が相手に届いていない感覚に
苛立ちを覚えています。
経験豊富なリーダーとして
かつての成功体験を
伝えようとするのですが
若手社員の目は次第に曇っていきます。
このような状況は決して
高橋部長だけの問題ではありません。
多くの企業で次世代リーダーの育成が
思うように進まない現実があります。
ミドルシニア世代は
「教えているつもり」なのに
なぜ効果的な人材育成が
できないのでしょうか。
今日は企業の持続的成長の鍵を握る
「次世代リーダー育成」における
本質的な課題を掘り下げていきます。
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経験伝承の幻想
「教える」から「共に学ぶ」への転換
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多くのミドルシニアは
自らの豊富な経験を若手に伝えることが
育成だと考えています。
しかし
この「一方通行の知識伝達」こそが
最大の落とし穴です。
先日訪問した電機メーカーでは
開発部長(58歳)が
若手エンジニアに対して
自身が20年前に携わった
大型プロジェクトの成功事例を
繰り返し語っていました。
しかしその成功モデルは
現在のビジネス環境とは掛け離れており
若手にとっては「古い物語」以上の
価値を見出せないものでした。
それどころか
「過去の成功にしがみついている」
という印象を与え
コミュニケーション自体を
阻害していたのです。
ここで問題なのは
経験を伝えること自体ではなく
「何のためにどのように伝えるか」
という視点の欠如です。
経験は正解を教えるためではなく
若手が自ら考える「視点」を
提供するために共有すべきものです。
具体的には
・成功体験より
失敗からの学びを共有する
・結論ではなく
思考プロセスを伝える
・「教える」姿勢ではなく
「共に考える」姿勢を持つ
こうした姿勢の転換なしに
いくら熱心に経験を語っても
次世代リーダーの育成は進みません。
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変化への抵抗
環境変化を直視する勇気
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IT部門のチームリーダーである
佐藤課長(47歳)は若手社員の
効率化の提案に難色を示しました。
「その方法では不測の事態に対応できない」
と佐藤課長は主張します。
しかし本当の理由は
「自分が知らない新しい方法への不安」
だったのです。
多くのミドルシニアは
若手の新しい発想や方法論に対して
無意識のうちに防衛反応を示しています。
これは単なる頑固さではなく
自分の経験や知識が通用しなくなる
可能性への不安の表れです。
しかし
この防衛反応が組織の変革を阻み
次世代リーダーの成長を妨げています。
「社内でよく若手の意見を聞け
と言われますが実際には
自分の考えに合う若手の意見だけを
採用しているのが現実です。
本当に異なる視点を受け入れる
覚悟があるかどうかが問われています」
と某小売業の人事部長は語りました。
変化を恐れずむしろ積極的に
若手の異なる視点を取り入れる方が
組織の持続的成長には不可欠です。
具体的には
・若手の提案を最初から否定せず
まず「なぜそう考えるのか」を理解する
・自分の知識やスキルが
古くなる可能性を素直に認める
・若手から学ぶ姿勢を明確に示す
これらの行動が真の意味での
次世代リーダー育成の土台となります。
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指導から 機会提供へ
リーダーシップの本質
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製薬企業の研究開発部門で働く
中村マネージャー(52歳)は
若手研究員への過保護な指導に
悩んでいました。
失敗を恐れるあまり
細かく指示を出し
常に進捗をチェックする。
その結果
若手は自分で考える機会を奪われ
指示待ち人間になっていました。
「私は彼らのためを思って
指導しているのに
なぜ自律的に動かないのか」
という中村マネージャーの嘆きは
多くのミドルシニアに
共通する悩みです。
しかし
この「善意の過干渉」こそが
次世代リーダーの成長を阻害する
大きな要因となっています。
リーダーシップの本質は
「指導する行為」ではなく
「成長の機会を提供する」
その姿勢と行動にあります。
具体的には
・若手社員に
意思決定の機会と責任を与える
・失敗を許容し
そこからの学びを促す環境を作る
・成功の定義を完璧な実行ではなく
困難からの学びに置く
ある物流企業では若手社員に
小規模プロジェクトの全責任を任せ
ミドルシニアは相談されたら助言する
というスタンスを徹底しました。
最初は戸惑いもありましたが
次第に若手社員は自ら考え
行動するようになり
半年後には複数の業務改善を
自発的に提案するようになりました。
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まとめ:
次世代リーダー育成の本質を見極める
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次世代リーダー育成において
ミドルシニアの役割は
「経験を伝授する教師」ではなく
「成長を促す触媒」の役割です。
自らの経験や知識に
固執するのではなく
変化を受け入れ
若手の視点から学ぶ姿勢を持つ。
そして何より
失敗を恐れず挑戦できる環境を整え
若手が自律的に成長できる機会を
提供することが重要です。
多くの企業で
「リーダー育成プログラム」
が形骸化しているのは
こうした本質的な視点が
欠けているからだと感じています。
プログラムや研修の内容以前に
ミドルシニア自身の姿勢と行動が
次世代リーダー育成の成否を分けます。
自分自身の育成姿勢を振り返り
真に次世代のためになる
関わり方を模索することが
組織の持続的成長への
第一歩となるではないでしょうか。
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*次回発行は5月13日火曜日の予定です。
次回は、<組織の人間関係>がテーマの
『長年の経験から語る
組織の人間関係の本質』です。
次回もどうぞ宜しくお願いいたします。
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・経営計画士、事業計画士
・ビジネスモデルコンサルタント
・SDGsビジネスコンサルタント
・経営心理士=組織心理士/顧客心理士/
ビジネスコミュニケーション心理士
・上級スピーチアップグレーダー
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・ハイパフォーマンス・コーチ
一般社団法人 空き家再生機構 /理事
岐阜県公認 /コミュニティ診断士
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<令和2年度迄>
中部大学 人文学部心理学科 非常勤講師
<令和元年度迄>
愛知産業大学 経営学部経営学科
造形学部デザイン学科・建築学科 非常勤講師
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<著書>
『ビジネスモデル虎の巻!』
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