【実践経営戦略ノート】

第21話【実践経営戦略ノート】

 

営業成約率を改善するコミュニケーション研修

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顧客心理に基づく会話設計の実践方法

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いつもお読みいただき有難うございます。

 

組織変革コンサルタント

経営戦略コンサルタント

の渡邉ひとしです。

 

営業担当者は毎日商談を重ねているのに

成約率が15%前後で停滞していませんか。

 

多くの経営者は商品力や価格競争力に

問題があると考えますが

 

実際は営業担当者の会話の組み立て方に

根本的な欠陥があります。

 

解決策は顧客心理に基づいた

コミュニケーション研修を導入し

 

質問中心の会話フローを

全営業担当者に習得させる

仕組みづくりです。

 

商品説明を減らし

顧客の潜在ニーズを引き出す

質問技術を身につけさせます。

 

この方法が有効な理由は

顧客の購買意思決定が

 

信頼→共感→理解→納得→決断

という心理的な段階を経るからです。

 

信頼関係を築く前に説明を始めると

心理的リアクタンスが働き

 

顧客は無意識に

防御姿勢を取ってしまいます。

 

今回は

説明偏重型営業の失敗パターンと

 

再現性のある営業フローを構築する

研修設計の具体的な手順を解説します。

 

 

*写真はイメージです

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商品説明に偏った営業が成約を阻む構造的要因

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営業担当者の大半は

商談開始から5分以内に資料を開き

商品機能の説明を始めます。

 

「弊社の製品は……」

という自社視点の話が延々と続きます。

 

しかし顧客の立場で考えれば

まだ信頼関係もない相手から

 

一方的な説明を聞かされる苦痛は

容易に想像できます。

 

心理学では

押し付けられた選択に対する反発を

『心理的リアクタンス』と呼びます。

 

営業が説明を増やせば増やすほど

顧客の警戒心は強まります。

 

結果として

「検討します」という

定番の断り文句で商談が終わります。

 

成果を出している

営業担当者の会話を分析すると

 

最初の15分間は

自社商品にほとんど触れません。

 

代わりに

「最近の業務で

特に時間を取られている作業は何ですか」

といった質問を重ねます。

 

顧客の発言を要約し

課題を整理していく過程で

信頼が生まれます。

 

トップセールスと

平均的な営業の差は

 

商品知識ではなく

会話の順序と質問の質にあります。

 

しかし

多くの企業では優秀な営業の手法を

個人のセンスとして片付けてしまいます。

 

暗黙知のまま放置すれば

組織全体の成長は望めません。

 

IT企業のA社で

営業4名の商談を録音分析しました。

 

成約率35%のトップ営業は

最初の15分を顧客の業務課題の

聞き取りに充てていました。

 

「システム障害で業務が止まった際

どの部署が最も影響を受けますか」

 

と具体的に質問し

顧客の話を整理しながら

 

「つまり在庫管理の精度が

問題なのですね」

と要約していました。

 

一方

成約率15%の営業3名は

開始5分で製品デモに入り

 

顧客への質問は

「ご興味ありますか」程度の

形式的な確認だけでした。

 

商品知識は全員同レベルでしたが

会話の組み立て方の違いが

20%の成約率差を生んでいました。

 

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再現性のある営業フローを構築する

3段階の研修設計

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コミュニケーション研修を

成功させるには

 

座学だけでなく

実践的な訓練が不可欠です。

 

研修は以下の3段階で設計します。

 

第1段階は

現状の棚卸しです。

 

過去の商談録音や

議事録を10件以上分析し

 

営業担当者がどんな順番で

何を話しているか可視化します。

 

売れていない営業は

挨拶→会社紹介→商品説明→見積提示

という画一的な流れに陥っています。

 

第2段階は

会話フローの設計です。

 

・信頼構築の質問

・課題深掘りの質問

・決断支援の質問

 

という3種類に分け業界別に

各10個の質問リストを作成します。

 

営業担当者が迷わず

次の質問を選べるようにします。

 

第3段階は

ロールプレイによる定着です。

 

上司や同僚が顧客役となり

 

「予算がない」

「今は忙しい」

といった典型的な

断り文句への切り返しを練習します。

 

感情面のフィードバックを重視し

相手がどう感じたかを共有します。

 

研修後も1対1の面談や

同行営業でフォローを続けなければ

3ヶ月で元の習慣に戻ります。

 

経営者が会話の質を評価指標に加え

継続的な改善を促す姿勢が不可欠です。


製造業のB社で営業3名の

成約率改善に取り組みました。

 

訪問件数は月30件でしたが

見積依頼率が25%で停滞していました。

 

研修では

「生産ラインの停止は

月に何回発生しますか」

 

「その際の機会損失は

どの程度と見積もっていますか」

 

といった業界特有の

質問リストを作成しました。

 

月2回のロールプレイを3ヶ月継続し

 

顧客が「他社と比較中です」

と言った際の切り返しも練習しました。

 

その結果

見積依頼率は38%まで上昇し

値引き要求も減少しました。

 

ただし同行営業や

フォローアップを怠った部署では

2ヶ月で元の習慣に戻る傾向が見られました。

 

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今日のまとめ

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営業成約率の低迷は

商品力や価格の問題ではありません。

 

顧客心理を無視した

説明中心の会話が

成約を阻む最大の要因です。

 

信頼構築から始まる会話の流れを設計し

質問力を組織的に強化する研修が必要です。

 

・現状分析

・フロー設計

・ロールプレイ

 

の3段階を着実に実行すれば

成約率は確実に向上します。

 

IT企業では20%

製造業では13%の改善が実現しました。

 

ただし研修を一過性のイベントにせず

継続的な仕組みとして

定着させなければ効果は持続しません。

 

営業は属人的なセンスではなく

再現可能な技術として管理できます。

 

トップセールスの暗黙知を言語化し

組織全体で共有する仕組みを作れば

全員の底上げが可能です。

 

経営者が会話の質を評価対象とし

継続的にフォローする体制を

整える覚悟があれば確実に成果は出ます。

 

明日からでも商談の録音分析を始め

自社営業の

会話パターンを把握してください。

 

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次回の予告

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次回の発行は12月15日月曜日の予定です。

 

第22話 

『プレゼンで緊張しない聞き手を惹きつけ

心を動かすスピーチアップグレード術』

 

次回もどうぞ宜しくお願いいたします。

 

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経営者の方は

自社の全体像を把握しているつもりでも

 

心理的バイアスや

無意識の防衛機制により

 

問題の本質や自分の意思決定の癖に

気づけない事柄が多々あります。

 

脳科学的にも自己認知には限界があり

感情や習慣に支配された判断を

客観的に見直すことは困難です。

 

経営コンサルタントは

外部の視点から構造的に現状を分析し

 

経営者ご本人では

見落としがちな課題を可視化します。

 

だからこそ

冷静で第三者的な知見を持つ

コンサルタントの存在が

経営判断の質を高め

 

組織を持続的に成長させる上で

不可欠なのです。

  

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一般社団法人 空き家再生機構 /理事

岐阜県公認 /コミュニティ診断士

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<令和2年度迄>

中部大学 人文学部心理学科 非常勤講師

<令和元年度迄>

愛知産業大学 経営学部経営学科

造形学部デザイン学科·建築学科 非常勤講師

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<著書>

『ビジネスモデル虎の巻!』 2019年)

『我が師から受けた薫陶と

後輩への恩送り(仮)』(2026年)

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