【ビジネスモデルの企業事例】

第516話
【マブチモーターのビジネスモデル】
今日も読んでいただき有難うございます。
組織変革コンサルタント
(社員の意識と行動が変わる)
経営戦略コンサルタント
(社長の夢を実現する伴走者)
の渡邉ひとしです。
人口減少とデジタル化の進展
異業種参入による競争激化に
直面する中小企業経営者にとって
既存のビジネスモデルが
今後も通用するのか
という不安は深刻です。
特に製造業では
電動化や自動化の波に対応しながら
どのように事業領域を拡大し
収益構造を多角化するかが
重要な課題となっています。
今回は
小型モーター業界で高いシェアを持つ
<マブチモーター>の
2024年から2025年にかけての
動向を時系列で分析し
どのような戦略転換を
図っているかを検証します。
中小企業も大企業も
日本の市場においては
同じ外部環境のもとで
懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営判断を観察して
自社の経営に活かせるヒントを
見つけていただければと思います。
今日の企業事例は第516話
【マブチモーターのビジネスモデル】
(画像はイメージです)
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ミッション、ビジョン、バリュー
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【経営理念】
国際社会への貢献とその継続的拡大
【経営基軸】
・より良い製品を
より安く供給することにより
豊かな社会と人々の快適な生活の実現に
寄与する
・広く諸外国において
雇用機会の提供と技術移転を行い
それらの国の経済発展と
国際的な経済格差の平準化に貢献する
・人を最も重要な経営資源と位置付け
仕事を通じて人を活かし
社会に役立つ人を育てる
・地球環境と人々の健康を
犠牲にすることのない企業活動を行う
【経営指針】
・汎用性を重視した製品を開発し
その最適生産条件を整備する
・価値分析に徹した製品の開発改良と
部品・材料の共通化を徹底する
・高度加工技術とムダの極小化による
コストダウンを追求する
・新市場を開拓し適正占有率を確保する
・適材適所による人材の活用と
業務を通じた人材育成を行う
・環境負荷の極小化と安全の追求を
基本とした企業活動を推進する
・長期安定的視点に立つ経営施策を推進する
【行動指針】
・仕事を通じた社会貢献と
自己実現を重ね合わせて捉える
・他人に対し公平、公正であり
他の社員への協力と支援を惜しまない
・自らの役割に照らし誰に対し
どのような貢献をなすべきかを理解する
・社会貢献の源泉となる独自の強みを形成し
その強みを継続的に深耕・拡大する
・自主的に課題を発掘し
困難な課題に挑戦し
解決に至るまで諦めない
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会社の沿革
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1946年に
香川県高松市に
<関西理科研究所>を設立しました。
1947年に
馬蹄型有鉄心マグネットモーターを
馬渕健一氏が発案しました。
1954年に
東京都葛飾区に<東京科学工業>を
設立しました。
1955年8月に
<日本科工>を設立しました。
1957年9月に
輸出専門商社<馬渕商事>を設立しました。
1958年8月に
<東京科学工業>と<日本科工>を解散し
<馬渕工業>を設立しました。
1959年3月に
<馬渕工業>の商号を
<東京科学>に変更しました。
1971年3月に
<東京科学>の商号を
<マブチモーター>に変更しました。
1974年3月に
群馬県館林市に
<マブチ精工>を設立しました。
1977年7月に
商号を<マブチ電工>と改め
本店を千葉県松戸市へ移しました。
1992年4月に
<マブチモーター>技術センターを
千葉県印旛郡に建設しました。
2022年12月に
小型ポンプメーカー<応研精工>を
子会社化しました。
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ビジネスモデルの企業事例
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2024年8月に
農地や災害現場を自走する
ロボットを手がけるCuboRex
(キューボレックス)に出資しました。
同時に
<OKI>の精密小型モーター事業の
買収も発表しています。
従来の車載向けモーターが
売上高の約8割を占める中
単一事業への依存リスクが
顕在化していました。
また産業用ロボットや
ファクトリーオートメーション分野での
技術的優位性を確保する必要がありました。
高精度で位置制御が可能な
ステッピングモーターの技術を取得し
産業機器や医療分野への
事業領域拡大を目指しています。
新興企業への出資により
従来にない用途開発も視野に入れた
多角化戦略を推進する意図が読み取れます。
2025年2月に
樹脂製のギアを製造する
<オービー工業>の完全子会社化を
発表しました。
買収額は非公表ですが<オービー工業>
の2024年3月期売上高は40億円でした。
電気自動車(EV)の普及に伴い
モーター単体ではなく
ギアと組み合わせた複合部品への
需要が高まっていました。
自動車のドアロックやミラー
EVのバッテリー周辺部品など
より複雑な駆動システムが
求められるようになったためです。
モーターとギアの複合部品を
自社内で一貫開発できる体制を構築し
付加価値の向上を図る戦略です。
<オービー工業>の
耐熱性エンジニアプラスチック加工技術と
中国・ベトナムの製造拠点も同時に取得して
グローバル展開を加速させる狙いがあります。
2025年3月に
インドのハリヤナ州に小型モーターなどを
販売する子会社を設立しました。
資本金は約1億7000万円で
2025年10-12月に営業を開始予定です。
インドの自動車市場拡大により
パワーウインドーやドアロックなど
車載向けモーターの需要が急増していました。
これまでは
タイ拠点が担っていたインド向け販売を
現地法人化する必要性が高まったためです。
日系自動車メーカーを中心とした
販路拡大を図り成長市場における
早期シェア確保を目指しています。
現地販売子会社の設置により
顧客対応の迅速化と市場ニーズへの
柔軟な対応を可能にする戦略です。
2025年4月に
<オービー工業>の完全子会社化が完了し
<マブチオービーギアシステム>に
同日付で社名を変更しました。
同時期の決算発表では純利益が
前年同期比51%減の33億円となりました。
為替の円高進行により為替差損を
計上したのが業績に影響しました。
一方で
車載向けブレーキ用中型モーターや
電動歯ブラシ向けモーターの出荷は
堅調に推移していました。
短期的な為替影響はあるものの
M&A完了により
複合部品の開発・製造体制を整備し
中長期的な競争力強化を
優先する判断を下しています。
新会社名により
ギアシステム分野での事業ブランドを
確立する狙いもあります。
2025年7月に
<OKI>の小型モーター事業の取得が完了し
新会社<マブチモーターマイクロテック>
を福島県二本松市に設立しました。
これにより産業用ロボットや
ファクトリーオートメーション向けの
製品群が拡充されました。
従来の車載依存からの脱却と
より高付加価値な
産業機器分野への参入が急務でした。
特に精密位置制御が求められる
産業用ロボット市場の拡大に対応する
技術獲得が必要でした。
<OKI>が保有していた
精密モーター技術を活用し
医療機器や先端産業機器向けの
新規顧客開拓を進める戦略です。
車載以外の収益柱を育成し
事業ポートフォリオの最適化を
図る意図が明確に表れています。
2025年8月に
『2025年12月期』の連結純利益を
前期比29%増の165億円に上方修正しました。
同時に最大190億円の自社株買いと
1株を2株に分割する株式分割も
発表しています。
<オービー工業>買収による
負ののれん発生益の計上や
税金費用の減少が寄与しました。
一方で
トランプ米政権の関税措置により
自動車生産台数減少を織り込み
売上高は下方修正となりました。
M&A効果を活用した収益改善と
株式分割による投資家層の拡大を
同時に実現する戦略です。
190億円という大規模な自社株買いにより
株主還元を強化しながら
資本効率の向上も図る
総合的な資本政策を展開しています。
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今日のまとめ
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2024年から2025年にかけての
<マブチモータ>の動きは
車載依存からの脱却と
事業多角化を軸とした
構造改革の側面が強く表れています。
しかし
M&A に頼った急速な事業拡大は
統合リスクや投資回収の不確実性も
内包しています。
特に注目すべきは従来の強みである
小型モーター技術を核としながらも
・ギア製造
・精密制御技術
・新興国市場開拓
とマルチ方向に同時展開している点です。
中小企業にとっては同社の
「コア技術を軸とした段階的多角化」
のアプローチが参考になる一方で
過度な拡大投資による
財務負担の増加リスクも
十分検討する必要があります。
変化する市場環境への対応力が
企業存続の鍵となる現在
自社の強みを活かしながら
どこまでリスクを取って
事業領域を拡大するかという判断が
今後の経営における
最重要課題となっています。
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*次回発行は10月6日月曜日の予定です。
次回もどうぞ宜しくお願いいたします。
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一般社団法人 空き家再生機構/理事
岐阜県公認/コミュニティ診断士
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<令和2年度迄>
中部大学 人文学部心理学科 非常勤講師
<令和元年度迄>
愛知産業大学 経営学部経営学科
造形学部デザイン学科・建築学科 非常勤講師
<著書>
『ビジネスモデル虎の巻!』
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