【ビジネスモデルの企業事例】

第517話【森永製菓のビジネスモデル】
今日も読んでいただき有難うございます。
組織変革コンサルタント
経営戦略コンサルタント
の渡邉ひとしです。
中小企業の経営者は
原材料費や物流コストの高騰を
価格に転嫁しきれない状況に
直面しているかもしれません。
加えて
人口減少による内需縮小と
異業種参入による競争激化が重なり
既存ビジネスモデルの
持続可能性に対する不安は深刻です。
今回は森永製菓が2024年後半から
2025年にかけて展開している
経営戦略を時系列で検証します。
森永製菓は
既存ブランドの再定義と
異業種連携という
中小企業にとって
より現実的なアプローチで
成長を実現しています。
中小企業も大企業も
日本の市場においては
同じ外部環境のもとで
懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営判断を観察して
自社の経営に活かせる
ヒントにしてください。
今日の企業事例は第517話
【森永製菓のビジネスモデル】
(画像はイメージです)
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ミッション、ビジョン、バリュー
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【コーポレートメッセージ】
おいしく たのしく すこやかに
【パーパス】
森永製菓グループは
世代を超えて愛される
すこやかな食を創造し続け
世界の人々の笑顔を未来につなぎます
【ビジョン】
『GOALS』
・Good quality
安心や満足をお届けしてきた伝統を守り
誠実な姿勢で高品質を追求し、
お客様のすこやかな毎日に貢献していく
・Only-one value
多くの日本初を実現してきた
パイオニアスピリットを受け継ぎ
新たな価値と感動を創造し、
世の中に提供していく
・Act globally
様々な試練を克服してきた経験を原動力に
どんな困難にも屈することなく、
活動の舞台と可能性を広げていく
・Link together
創業以来
人を活力の源泉としてきた企業として
従業員を含めたあらゆるステークホルダーと
信頼関係を育んでいく
・Sustainable society
エンゼルマークのもと
これからも人々の幸せを見つめながら
持続可能な社会づくりに貢献し
たくさんの笑顔を咲かせていく
【バリュー】
利他の精神を礎にしてこれからも
5つの想いを大切にしていきます
・お客様第一主義であること
・パイオニアであること
・不撓不屈の精神を持つこと
・人の繋がりを大切にすること
・企業と社会の課題を一致させること
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会社の沿革
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1899年に
<森永西洋菓子製造所>を
森永太一郎氏が設立しました。
1905年に
経営実務担当のパートナーとして
松崎半三郎氏を招聘しました。
1910年2月に
株式会社<森永商店>として
会社組織に改組しました。
1912年11月に
<森永製菓>株式会社に
商号を変更しました。
1943年11月に
<森永食糧工業>株式会社に
商号を変更しました。
1949年4月に
<森永食糧工業>から
<森永乳業>が独立しました。
1949年8月に
<森永食糧工業>から
<森永商事>が独立しました。
1949年10月に
<森永製菓>株式会社に
商号を変更しました。
2008年に
アメリカ合衆国カルフォルニア州に
<米国森永製菓>を設立しました。
2019年8月15日に
創業120周年を迎えました。
2024年3月18日に
森永プラザビル建て替えに伴い
本社を自社芝浦ビルに移転しました。
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ビジネスモデルの企業事例
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2024年7月に
新規性の高い「inタンサン」を
通販限定で発売しました。
胃液などの酸性液と混ざると
ゼリー状に膨らむ炭酸飲料
「inタンサン」をAmazonで発売しました。
想定の4倍のスピードで売れ行きが推移し
一時は販売停止するほどの注文が
殺到しています。
その要因は
コロナ禍の在宅勤務中に
開発担当者が体感した
ストレスによる無計画な間食
という課題への着目です。
2023年のコンビニでのテスト販売は
振るわなかったものの
ユーザー評価は非常に高かったため
商品コンセプトを
丁寧に伝えられる通販サイトを
販路として選択しました。
ゼリー飲料「inゼリー」で培った
ゲル化技術を応用し
低カロリーで満足感を得られる
新市場の開拓です。
既存技術の転用による新製品開発は
研究開発投資を抑えながら
収益源を多角化する
論理的な手法と言えます。
2024年7月に
「チョコモナカジャンボ」など
45品を約3~10%値上げし
2025年7月に
同商品を含む56品を
約2~21%値上げすると発表しました。
その要因はカカオ豆の国際価格が
前年比3倍以上に高騰しているからです。
西アフリカの異常気象や病害
違法採掘や密輸などの複合的問題により
カカオ豆輸入量は2024年1~6月に
前年同期比20%減少しました。
<森永製菓>は
企業努力のみでは解決困難な状況
と判断しています。
ブランド力を背景に価格転嫁を進め
利益率を維持する狙いです。
2025年3月期には
最高益を見込んでおり
値上げが業績に与える悪影響は
限定的と判断したと推察されます。
ただし
消費者の節約志向が強まる中
値上げの継続は中長期的な
ブランド価値の毀損リスクを
内包しています。
2024年9月に
技術継承支援サービス
「ミテツグ」を開始しました。
社内新規事業公募制度から生まれた
中小企業の技術継承を支援する
サービス「ミテツグ」は
360度画像を活用し
工場などの設備や技術情報を
直感的に可視化するサービスです。
その要因は中小企業が直面する
技術継承の障壁です。
言葉や文書では伝えきれない
細かな作業手順や設備の状態を
視覚的に記録し
共有しやすくする必要がありました。
自社の製造現場で培ったノウハウを
外部向けBtoBサービスとして提供し
新たな収益源を確保する狙いです。
自社の無形資産を
外部化する発想は評価できますが
競合との差別化や市場規模の検証が
不十分なまま参入した場合
投資回収に時間がかかるリスクがあります。
2025年2月に
「ハイチュウ」の表記を
英字メインに変更しました。
ソフトキャンディー「ハイチュウ」の
パッケージ表記をカタカナから
英字「HI-CHEW」メインに変更しました。
小売店の販売データでは
前年同期比で2桁増となり
特に日本のZ世代の需要が伸びました。
その要因はハイチュウがすでに
30カ国・地域以上で販売され
米国市場での売上高が日本を上回る
グローバルブランドに
成長しているからです。
訪日外国人需要を
取り込む狙いもありました。
グローバル化へのコミットメントを強化し
世界ブランドとしての成長を
追求する考えです。
興味深いのは
英字表記への変更が
「子供のおやつ」イメージを脱却し
大人の自己消費を増やすという
国内市場でのブランドの
リニューアル効果ももたらした点です。
パッケージデザイン変更という
比較的低コストの施策で
複数の市場セグメントに
同時にアプローチできた点は
マーケティング効率の観点から
評価できます。
2025年3月に
<サッポロビール>と発泡酒を
共同開発しました。
チョコレート菓子「小枝」を
原料の一部に使った発泡酒
『サッポロ MILD BLACK with小枝』
を共同開発しました。
数量限定で約1万8000本を販売し
オンラインの事前予約は完売しました。
その要因は二つあります。
一つは小枝の製造工程で
フレーバー切り替え時に発生する
販売できない商品を
飼料ではなく食品に
アップサイクルしたいという考えです。
もう一つは小枝の主な顧客層である
30~50代女性に加えて
ビール顧客層に多い同年代男性を
開拓したいという狙いです。
異業種とのコラボレーションを通じて
話題性を創出し
既存ブランドに
新規顧客の間口を広げる考えです。
<サッポロビール>は
30回以上の試作を重ね
小枝らしさと黒ビールらしさを
両立させました。
食品ロス削減という社会課題への対応を
製品価値に変換した
SDGsマーケティングの事例ですが
約3.5%のロス削減という数値は
全体の食品ロス削減効果としては
限定的です。
2025年9月に
板チョコアイス30周年を迎え
品質価値訴求へ戦略を転換しました。
30周年を迎える板チョコアイスは
『2026年3月期第1四半期』で
前期比55%増と大幅に伸びました。
これまでの
期間限定品の発売による認知拡大から
板チョコアイスの品質自体の魅力を
訴求する方向へ戦略を転換しています。
その要因は認知が拡大したものの
まだ食べたことがない消費者が
板チョコという
特別感のない菓子のイメージから
商品に期待を持ちにくいという
課題が見えたためです。
一方
既存ユーザーへのインタビューでは
「唯一無二のパキッと食感と
滑らかな口当たり」
をご褒美として
評価している事実が判明しました。
既存ユーザーが持つ製品の
核心的価値を前面に打ち出し
「板チョコとは異なるデザート
ご褒美シーンの選択肢」
として市場での
存在感を高めるのが狙いです。
テレビCMでは
「板チョコちゃうねん、アイスやねん」
をメインフレーズとし
ブランドアンバサダーに
大西流星氏を起用しました。
単なる認知拡大から
情緒的価値訴求へと
マーケティングを深化させる
論理的なブランド育成手法です。
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今日のまとめ
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<森永製菓>の2024年後半から
2025年にかけての戦略は
原材料高騰という逆風に対し
価格転嫁という守りと
ブランド再定義・異業種連携という
攻めを組み合わせたものです。
中小企業が学ぶべき点は三つあります。
第一に
既存ブランドが持つ
顧客が真に価値を感じている核心を
インタビューで抽出し再定義する手法です。
第二に
物流共同化による実務的連携と
製品コラボによる
戦略的連携を並行する発想です。
第三に
ゲル化技術の新製品応用や
技術継承ノウハウのBtoBサービス化など
自社の無形資産を外部化し
収益化する視点です。
ただし
値上げの継続は消費者の購買意欲を
減退させるリスクがあり
新規事業の多くは
短期的な話題性に終わる可能性もあります。
<森永製菓>の戦略はブランド力という
大企業固有の資産に依存する部分が大きく
中小企業が同じアプローチを取る場合
自社の競争優位性を
冷静に見極める必要があります。
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<令和2年度迄>
中部大学 人文学部心理学科 非常勤講師
<令和元年度迄>
愛知産業大学 経営学部経営学科
造形学部デザイン学科・建築学科 非常勤講師
<著書>
『ビジネスモデル虎の巻!』
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