【実践経営戦略ノート】
第16話【実践経営戦略ノート】
『顧客体験設計の実践と限界』
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カスタマージャーニーマップで
リピート率向上
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いつもお読みいただき有難うございます。
組織変革コンサルタント
経営戦略コンサルタント
の渡邉ひとしです。
多くの中小企業が
新規顧客獲得に奔走する一方
既存顧客のリピート率低迷に悩んでいます。
広告費をかけて集客しても
2回目の来店率が20〜30%程度で
停滞する現実があります。
この課題を解決する手法として
注目されているのが
カスタマージャーニーマップ(CJM)
による顧客体験の可視化と改善です。
顧客が
商品やサービスと出会い購入し
再利用するまでの
全過程を整理する仕組みです。
CJMが有効とされる理由は
顧客の行動と感情を段階的に分析し
離脱ポイントを
特定できる点にあります。
ただし
実際の導入企業の7割以上が初期段階で
形骸化する現実も存在します。
今回は
CJMの基本構造と導入時の落とし穴
現場での具体的な活用方法と
限界について解説します。
*写真はイメージです
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カスタマージャーニーマップの
現実と課題
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カスタマージャーニーマップは
顧客の購買プロセスを
・認知
・興味
・検討
・購入
・利用
・再購買
といった段階に分けて整理します。
各段階での
顧客接点(タッチポイント)と
そこでの
感情変化を可視化する手法です。
理論上は
素晴らしいフレームワークですが
現場では多くの問題が発生します。
最大の課題は
マップ作成自体が
目的化してしまう点です。
きれいな図表を作って満足し
実際の改善活動に
つながらないケースが頻発しています。
また
現場スタッフの負担増も深刻です。
データ収集や記録作業が増える一方
具体的な成果が見えにくいため
モチベーション低下を招きます。
結果として
形だけの報告書が量産される
悪循環に陥ります。
数店舗の小売チェーンA社では
本部主導でCJMを全店導入しました。
店舗ごとの特性を無視した
画一的なテンプレートを使用した結果
現場は混乱しました。
駅前店と郊外店では
顧客層も購買パターンも異なるのに
同じマップで管理しようとしたのです。
スタッフは本部への報告のため
実態と乖離したデータを
入力するようになりました。
導入3ヶ月後
リピート率は7%低下し
スタッフの離職率も上昇しました。
本部は慌てて
運用を見直しましたが
現場の信頼回復には
半年以上かかりました。
この事例は
トップダウンでの導入が
いかに危険かを示しています。
データ分析の複雑化も見逃せません。
・SNSでの反応
・Webサイトの行動履歴
・店舗での購買データ
など分析対象が広がりすぎて
収拾がつかなくなります。
中小企業では専門人材も不足しており
膨大なデータを前に
立ち往生する企業が後を絶ちません。
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実効性のある運用方法と成功要因
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CJMを機能させるには
完璧を求めず
小さく始める姿勢が重要です。
全体最適を狙うのではなく
まずは特定の顧客層や
商品に絞って試験運用します。
成功している企業の共通点は
現場主導での改善活動です。
本部が枠組みを提供し
現場が実情に合わせてカスタマイズする。
この柔軟性が
継続的な改善を生み出します。
データ収集も
既存の仕組みを最大限活用します。
POSデータやメール開封率など
すでに取得している情報から始めれば
追加負担を最小限に抑えられます。
新たなツール導入は
効果が確認されてからでも遅くありません。
従業員数名の和食店B店では
常連客の来店頻度低下が課題でした。
店主は大規模なCJMではなく
「初回来店から3回目まで」
に焦点を絞りました。
既存のLINE公式アカウントを活用し
・来店後3日以内に感謝メッセージ
・2週間後に季節メニュー
の案内を送る仕組みを構築しました。
顧客の反応を見ながら
送信タイミングや内容を
微調整していきました。
実施2ヶ月で2回目来店率が
25%から40%に向上しました。
重要なのは
無理のない範囲で始め
効果を確認しながら
段階的に拡大した点です。
「完璧なマップより
実行可能な施策を優先した」
と店主は振り返ります。
もう一つの成功要因は
PDCAサイクルの高速回転です。
月次レビューではなく
週次で小さな改善を積み重ねます。
大がかりな分析より
現場の気づきを
即座に反映する機動性が
中小企業には適しています。
部門間連携も欠かせません。
・営業
・マーケティング
・カスタマーサポート
が情報を共有し
顧客体験全体を改善します。
縦割りの組織では
せっかくの施策も
部分最適に終わってしまいます。
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今日のまとめ
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カスタマージャーニーマップは
顧客の行動と感情を可視化し
リピート率向上に
寄与する可能性を持つツールです。
しかし
理論に依存した画一的な導入は
現場の混乱と形骸化を招きます。
成功の鍵は
現場主導での柔軟な運用と
実行可能な範囲での
段階的導入にあります。
完璧なマップ作成より
小さな改善の積み重ねが重要です。
データ分析も
既存の仕組みを活用し
追加負担を
最小限に抑えながら進めます。
中小企業の強みである
機動性を活かし
週次での改善サイクルを回せば
確実な成果につながります。
自社の実情に合わせた運用方法を見つけ
持続可能な顧客体験改善を
実現してください。
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次回の予告
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次回の発行は
11月10日月曜日の予定です。
第17話
『なぜ社員のモチベーションは低いのか?
組織心理学で読み解く離職率改善の鍵』
次回もどうぞ宜しくお願いいたします。
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<令和2年度迄>
中部大学 人文学部心理学科 非常勤講師
<令和元年度迄>
愛知産業大学 経営学部経営学科
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<著書>
『ビジネスモデル虎の巻!』 (2019年)
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