【シン組織変革の教科書】
第26話【シン組織変革の教科書】
*組織変革の資格制度は投資に見合うか
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専門性向上という幻想の実態
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いつもお読みいただき有難うございます。
組織変革コンサルタント
経営戦略コンサルタント
の渡邉ひとしです。
多くの中小企業経営者が
組織変革の専門人材を育成したいと
資格取得に投資しています。
しかし
高額な研修費を払っても
現場で成果が出ない企業が大半です。
この問題の解決には
資格制度の導入前に
自社の業務実態との適合性を
厳しく検証する必要があります。
なぜなら
大企業向けに設計された認定制度は
中小企業の現場では機能しないからです。
今回は
組織変革関連の資格や
認定制度の落とし穴と
実効性のある
キャリアパス構築の要点を解説します。
*写真はイメージです
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資格取得後に現場で起きる深刻な問題
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組織変革の分野には
・プロジェクト管理
・経営管理
・デジタル化推進
など様々な資格があります。
2025年現在
デジタル化推進認定を取得した企業は
1,448社に達しましたが
中小企業での実効性は
極めて低い実情です。
最大の問題は
資格の前提条件と中小企業の実態が
乖離している点です。
例えば
国際的なプロジェクト管理資格では
・品質管理
・リスク管理
・調達管理
に専任者を配置する前提で
設計されています。
しかし中小企業では
一人が複数の役割を兼務するため
教科書通りの手法は通用しません。
実際の失敗例を紹介します。
中堅製造業のA社で
管理職がプロジェクト管理の
国際資格を取得しました。
社内では評価が上がり
重要プロジェクトのリーダーに
任命されました。
しかし資格で学んだ手法は
大規模組織向けで
限られた人員では実行不可能でした。
標準プロセスでは
各工程に専任者が必要でしたが
現実には3人で
全工程を回す必要がありました。
結果として
書類作成に追われて実務が停滞し
納期遅延が頻発しました。
現場からは
「資格なんて役に立たない」
という声が上がり
変革への意欲が失われました。
IT企業のB社では
デジタル推進資格を持つ社員を
変革リーダーに抜擢しました。
資格取得時の成績は優秀で
技術知識は豊富でした。
しかし
組織の調整力が不足していたため
各部門との連携が機能しませんでした。
営業部門はシステム化で
「顧客との関係が希薄になる」
と抵抗しました。
製造部門は
「現行業務が回らなくなる」
と反発しました。
資格で得た知識だけでは
長年の慣習や人間関係を
変えられなかったのです。
さらに深刻な問題は
資格の維持コストです。
多くの認定制度は
継続教育や更新料を要求します。
年間数十万円の維持費は
中小企業には重い負担です。
成果が出なければ
投資は完全に無駄になります。
資格制度が機能しない根本原因は
経営層の誤解にあります。
資格があれば即戦力という思い込みで
適切な支援体制を構築しません。
資格は基礎知識の証明に過ぎず
実務経験なしに
専門性は発揮されません。
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キャリアパス設計における
実効的なアプローチ
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資格をキャリアパスに
組み込む企業が増えていますが
形式的な運用では失敗します。
重要なのは
実務経験と段階的な権限委譲を
組み合わせた制度設計です。
典型的な失敗例を紹介します。
小売業のC社で
経営学修士(MBA)を取得した社員を
経営企画部長に登用しました。
理論は豊富でしたが
店舗運営の経験がありませんでした。
戦略立案は論理的でしたが
実行段階で頓挫しました。
店舗スタッフからは
机上の空論と批判され
士気が低下しました。
成功している企業には
共通点があります。
資格取得を
学習の起点として位置づけ
実務での検証を重視している点です。
建設業のD社では資格取得後に
半年間の現場研修を義務化しました。
机上の知識を実務で検証し
現場感覚を身につけさせました。
研修期間中はベテラン社員が
メンターとして伴走しました。
理論と実践のギャップを
一つずつ埋めていきました。
その後
小規模案件から徐々に
責任範囲を拡大しました。
この段階的なアプローチにより
バランスの取れた人材が育成されました。
効果的なキャリアパス構築には
三つの視点が必要です。
第一に
業務成果との連動です。
資格だけでなく
プロジェクトの成功実績を
評価基準に含めます。
第二に
実践機会の確保です。
失敗を許容し
経験を積ませる環境を整えます。
第三に
社内外の評価を組み合わせた
客観性の確保です。
特に警戒すべきは大企業の制度を
そのまま導入する安易な判断です。
・自社の規模
・業界特性
・組織文化
に合わせたカスタマイズが不可欠です。
画一的な制度は
投資対効果を著しく悪化させます。
また資格保有者の孤立化も
防ぐ必要があります。
資格があるから任せるという丸投げは
組織全体の成長を阻害します。
資格保有者と非保有者が
協働する仕組みが重要です。
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今日のまとめ
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組織変革の資格や認定制度は
適切に活用すれば価値がありますが
盲信すれば投資の無駄です。
理論偏重の制度を
そのまま導入すれば現場は混乱し
変革は停滞します。
中小企業に必要なのは
自社の実情に合わせた
独自の制度設計です。
資格を手段として位置づけ
実務経験と段階的な成長を
重視してください。
形式的な運用を避け
成果連動型の評価を導入すれば
真の専門性が育ちます。
資格投資の前に
維持コストと期待成果を冷静に比較し
現場の声を聞く姿勢が不可欠です。
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次回の予告
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*次回の発行は11月21日金曜日の予定です。
次回は、
第27話『製造業の組織変革
品質向上と効率化の両立方法』
次回もどうぞ宜しくお願いいたします。
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経営者の方は
自社の全体像を把握しているつもりでも
心理的バイアスや
無意識の防衛機制により
問題の本質や自分の意思決定の癖に
気づけない事柄が多々あります。
脳科学的にも自己認知には限界があり
感情や習慣に支配された判断を
客観的に見直すことは困難です。
経営コンサルタントは
外部の視点から構造的に現状を分析し
経営者ご本人では
見落としがちな課題を可視化します。
だからこそ
冷静で第三者的な知見を持つ
コンサルタントの存在が
経営判断の質を高め
組織を持続的に成長させる上で
不可欠なのです。
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<令和2年度迄>
中部大学 人文学部心理学科 非常勤講師
<令和元年度迄>
愛知産業大学 経営学部経営学科
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<著書>
『ビジネスモデル虎の巻!』 (2019年)
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