ビジネスモデル虎の巻!

第513話
【村田製作所のビジネスモデル】
今日も読んでいただき有難うございます。
組織変革コンサルタント
経営戦略コンサルタント
渡邉ひとしです。
スマートフォン市場の成熟化
地政学リスクの拡大
AI需要の急拡大
この3つの波が電子部品業界を
根底から揺さぶっています。
「自分の会社も市場環境の変化に
ついていけているのか」という不安を
感じているのかもしれません。
この問題に対する解決策は
変化の最前線で戦う企業の
生々しい戦略転換を分析することです。
なぜこの分析が有効なのか。
それは企業の戦略転換には
必ず明確な理由と狙いがあり
その背景を理解することで
市場の本質的な変化を読み取れるからです。
今回は<村田製作所>の
戦略転換を時系列で分析します。
具体的な事例を通じて
同社の戦略意図を解剖していきます。
中小企業も大企業も
日本の市場に於いては
同じ外部環境のもとで
懸命に営業活動をしています。
大企業の課題や経営を観察することで
自社に活かしてください。
今回も企業のビジネスモデルを取り上げ
その成功や失敗の要因や
課題について深堀りしていきます。
今日の企業事例は第513話
【村田製作所のビジネスモデル】
(画像はイメージです)
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ミッション、ビジョン、バリュー
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【社是】
技術を練磨し 科学的管理を実践し
独自の製品を供給して
文化の発展に貢献し
信用の蓄積につとめ
会社の発展と協力者の共栄をはかり
これをよろこび
感謝する人びとと ともに運営する
【スローガン】
『Innovator in Electronics』
エレクトロニクス産業のイノベーションを
先導していく存在でありたい
【ムラタが大切にする価値観:CSとES】
CS:Customer Satisfaction
お客様が認めてくださる価値を創造し
提供し続けること
ES:Employee Satisfaction
仕事を通じて
従業員一人ひとりがやりがいを感じ
成長し続けること
【ミッション】
文化の発展に貢献すること
【ムラタのコンピタンス】
6つの経営資本それぞれが
最大限に強みを発揮し
高次元で相互に作用することで
総合力を生み出します。
*組織・人的資本
*モノづくり資本
*知的・技術資本
*顧客・パートナー資本
*自然資本
*財務資本
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企業の沿革
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1944年10月に
京都市中京区四条で元染物工場を借りて
村田昭氏が工場として創業しました。
1955年に
研究部門を大宮技研として
創業の地に設置しました。
1973年に
米国ジョージア州に
生産子会社を設立しました。
1983年に
<出雲村田製作所>を設立しました。
1988年に
タイに生産・販売会社を設立しました。
1994年に
中国に生産・販売会社を設立しました。
2017年に
電池事業を拡大し強化しました。
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ビジネスモデルの企業事例:
村田製作所
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2024年9月に
従来比で体積4分の1となる世界最小の
MLCC(積層セラミックコンデンサー)
を開発したと発表しました。
スマートフォンや
ウェアラブル端末の高性能化に伴い
限られた空間での電子部品配置が
重要課題となっています。
特にAI処理機能の搭載により
部品数増加と小型化の両立が
求められています。
約10年ぶりの最小サイズ更新により
技術リーダーシップを
明確に示す意図があります。
次世代デバイス市場での
採用優位性を確保し
アジア系競合他社との
差別化を図る戦略です。
2024年11月に
2027年度までの中期経営計画で
売上高営業利益率の目標を
従来の20%以上から
18%以上に引き下げました。
主力のMLCC市場で
中国・韓国メーカーとの価格競争が
激化しています。
特に中低価格帯での競合参入が加速し
従来の高利益率戦略の維持が
困難になっています。
短期的な利益率を犠牲にしてでも
市場シェアの確保を優先する戦略転換です。
MLCCシェアを40%から43%へ
引き上げる目標を掲げ
競合他社の追随を阻止する意図があります。
2025年2月に
インド南部タミルナドゥ州に
MLCC関連の新工場設立を発表し
2027年3月期中の稼働を目指します。
米中対立の長期化により中国集中生産の
リスクが顕在化しています。
加えてインド市場の成長ポテンシャルも
無視できない規模に拡大しています。
サプライチェーンの
複線化によるリスクヘッジと
成長市場での早期参入を
同時に実現する戦略です。
中国依存からの脱却を
段階的に進める布石でもあります。
2025年3月に
春季労使交渉でベースアップに相当する
賃金改定分として月1万5000円の
回答を示しました。
半導体・電子部品業界での
人材獲得競争が激化しており
特に技術者の流動性が高まっています。
物価上昇も従業員の生活を圧迫しています。
前年を上回る賃上げにより
優秀な人材の定着と
新規採用での競争力確保を図ります。
中長期的な技術開発体制の維持が
最優先課題となっています。
2025年4月に
次世代通信規格「6G」向け電子部品
「XBARフィルター」の量産に向け
石川県工場に2028年までに
164億円を投資すると発表しました。
生成AIの普及により高速大容量通信への
需要が急拡大しています。
5G市場での成功体験を踏まえ6G市場でも
主導権確保が急務となっています。
5G向けSAWフィルターでの高シェアに続き
6G市場でも先行者利益を狙う戦略です。
2022年に買収した米国企業の技術も活用し
技術的優位性を早期確立する意図があります。
2025年4月に
米国にCVC
(コーポレートベンチャーキャピタル)
を設立し約70億円をスタートアップに
投資すると発表しました。
自社の研究開発だけでは
急速な技術革新に対応しきれないのが
大きな要因です。
特に6Gや半導体
生体エレクトロニクス分野での
技術獲得が課題となっています。
創業初期のスタートアップとの
早期連携により革新的技術の
取り込みを加速する戦略です。
従来のM&A戦略に加え
より柔軟な技術獲得手法を
導入する意図があります。
2025年5月に
『2026年3月期』の連結純利益が
前期比24%減になる見通しを発表し
株価は一時18%安まで下落しました。
スマートフォン需要の減速と
自動車関連部品の伸び悩み
円高進行が同時に発生しています。
世界のスマホ需要1%減で
売上高50億円下押しという
具体的影響も示されました。
短期的な業績悪化を開示する一方
データセンターや生
成AIサーバー市場の成長を見込み
『2028年3月期』に
売上高2兆円目標の維持を
表明しています。
増配と自社株買いにより
株主還元姿勢も明確化しています。
2025年5月に
パワー半導体の温度を
高電圧環境下で測定できる
電子部品の新モデルを開発しました。
電気自動車市場の拡大に伴い
高性能パワー半導体の安定稼働が
重要課題となっています。
従来の温度センサーでは対応できない
高電圧環境での測定需要が急増しています。
独自技術により従来品の課題を解決し
EV向け成長市場での
新たな収益源確保を目指しています。
車載事業の多角化により
事業ポートフォリオの安定化も
図る考えです。
2025年5月に
約30億円を投じベトナム既存工場内に
車載用コイル製造の新棟の建設を
発表しました。
2026年4~9月期の完成を目指します。
世界的な自動車電動化シフトと
先進運転支援システムの高度化により
車載用電子部品需要が継続拡大していて
供給不安定化のリスクも高まっています。
車載向け事業の生産能力増強と
安定供給体制の確立が目的です。
地理的リスク分散の一環として
東南アジア生産拠点の機能強化を
進める戦略でもあります。
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今日のまとめ:
村田製作所
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<村田製作所>の直近1年間の
戦略展開を分析すると
直面している課題の深刻さと
それに対する現実的な対応策が
明確に見えてきます。
最も注目すべきは
中期経営計画における
利益率目標の引き下げです。
これは単なる業績悪化ではなく
市場環境の構造変化を受けた
戦略的判断といえます。
アジア系競合他社との
価格競争激化という現実を受け入れ
短期的な収益性よりも
市場シェアの維持を優先する転換は
多くの日本企業が
参考にすべき意思決定プロセスです。
一方で
6G向け部品への先行投資や
コーポレートベンチャーキャピタル
の設立など将来への布石も
着実に打っています。
現在の業績低迷を受け入れながらも
次世代技術への投資を継続する姿勢は
持続的成長への強い意志を示しています。
ただし
米国の関税政策影響の不透明性や
スマートフォン市場の構造的変化など
外部環境のリスクは依然として大きく
今後の業績回復には
予断を許さない状況が続くようです。
外部環境の変化に合わせて
ビジネスモデルを調整するのが
当面の課題かもしれません。
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*次回発行は7月7日月曜日の予定です。
次回もどうぞ宜しくお願いいたします。
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<令和2年度迄>
中部大学 人文学部心理学科 非常勤講師
<令和元年度迄>
愛知産業大学 経営学部経営学科
造形学部デザイン学科・建築学科 非常勤講師
<著書>
『ビジネスモデル虎の巻!』
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