【シン組織変革の教科書】
第27話【シン組織変革の教科書】
『製造業の組織変革』
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品質向上と効率化の両立を阻む
本当の原因と解決策
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いつもお読みいただき有難うございます。
組織変革コンサルタント
経営戦略コンサルタント
の渡邉ひとしです。
製造業の経営者が抱える最大の悩みは
品質を上げれば生産性が下がる
という二律背反です。
検査を厳格化すれば納期遅延が発生し
生産速度を優先すれば
不良品でクレームが増えます。
この繰り返しに
疲弊している工場が大半を占めています。
しかしこの対立は
避けられない宿命ではありません。
部門別評価制度と
縦割り組織が生み出した
人為的な問題なのです。
解決策は
品質管理を製造ラインに統合し
リアルタイムで情報共有する仕組みを
構築する点にあります。
部門の壁を壊せば
不良の手戻りや修正作業という
最大の時間ロスを削減できるからです。
今回は
品質と効率が対立する真因を分析し
中小製造業でも実践可能な
組織改革手法を解説します。
*写真はイメージです
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部門別評価が生み出す対立構造の愚かさ
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製造現場で品質部門と生産部門が
衝突する理由は明白です。
品質部門は不良率で評価され
生産部門は生産量で評価されます。
この評価制度では
互いの成果が相反し
協力より責任転嫁が優先されます。
さらに問題なのは
経営者が短期的な数値だけを
追いかける姿勢です。
今月の出荷目標を達成するため
検査を簡略化し
翌月にはクレーム処理に追われます。
この場当たり的な対応が
現場の士気を削ぎ
改善意欲を奪います。
電子部品メーカーのA社では
不良率が5%から8%に悪化した際
品質部門が
検査時間を2倍に延長しました。
その結果
生産量は20%減少し
納期遅延が頻発しました。
品質部門は
不良流出を防いだと主張し
生産部門は
過剰検査だと反発しました。
経営者は両部門を叱責するだけで
構造的な問題には目を向けませんでした。
実際の問題は
不良データが製造現場に
フィードバックされない点でした。
品質部門は不良を記録するだけで
発生源の特定や改善提案をしません。
製造側は同じミスを繰り返し
不良率は改善されません。
中小企業では限られた人員で
複数業務を担当するため
部門の壁など作る余裕はありません。
にもかかわらず
大企業の真似をして縦割り組織を作り
自ら非効率を生み出しています。
ベテランへの依存も
深刻な問題となっています。
作業手順が属人化し
休暇を取れば品質が落ちます。
新人への技術伝承も進まず
組織全体が脆弱になります。
標準化の遅れは
工場の競争力を確実に低下させます。
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ライン統合型チームで実現する
本当の改革
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解決の鍵は
品質管理を独立部門から解放し
製造ラインに組み込む
組織設計にあります。
各ラインに品質担当者を常駐させ
問題を即座に共有し
解決する体制を構築します。
自動車部品会社のB社では
プレス工程に
品質検査員を配置しました。
不良を発見したら
その場で作業者と原因を特定し
改善策を実行します。
従来は2日かかった原因究明が
30分で完了するようになりました。
導入当初
製造担当者からは
監視されているようだと不満が出ました。
しかし品質担当者が
不良を減らすパートナーとして振る舞い
現場の改善提案を積極的に採用すると
関係性は一変しました。
3ヶ月後には
作業者自身が品質改善のアイデアを
出すようになりました。
電子機器会社のC社では
毎朝5分間の
不良データ共有会を実施しています。
前日の不良内容と対策を全員で確認し
水平展開を徹底しました。
この簡単な取り組みだけで
不良率は15%低下し
生産サイクルも10%短縮されました。
評価制度の見直しも不可欠です。
個人の生産量ではなく
ライン全体の良品産出量で評価します。
品質部門も不良率だけでなく
改善提案の実施件数を加味します。
この変更により
部門間の協力が自然発生します。
作業手順の動画マニュアル化も
効果的な手法です。
ベテランの動きを撮影し
重要ポイントを字幕で解説します。
新人は自分のペースで学習でき
属人化していた技術が標準化されます。
D社の工場では
品質のばらつきが30%減少しました。
必要な投資は最小限で済みます。
タブレット端末とクラウドサービスで
情報共有システムは構築可能です。
月額数万円で導入できます。
ただし失敗例もあります。
E社の工場では
品質担当者を配置しましたが
権限を与えませんでした。
単なる監視役となり
現場との関係が悪化しました。
その結果
元の体制に戻す羽目になりました。
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今日のまとめ
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製造業における品質と効率の対立は
組織設計の失敗が招いた人災です。
部門別評価が対立を助長し
情報共有の欠如が
非効率を拡大させています。
解決には
ライン単位のチーム編成と
品質管理の
製造プロセスへの統合が必要です。
まずは1つのラインで試験導入し
朝の5分間データ共有から始めてください。
3ヶ月継続すれば
必ず数値に変化が現れます。
大規模な投資は不要です。
既存の人材配置を変え
簡単な情報共有の仕組みを作るだけで
改革は始まります。
変革を先送りすれば
競合他社との差は開く一方です。
明日から行動を起こしましょう。
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次回の予告
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*次回の発行は
11月28日金曜日の予定です。
次回は、
第28話『組織変革診断チェックリスト
現状把握の完全ガイド』
次回もどうぞ宜しくお願いいたします。
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経営者の方は
自社の全体像を把握しているつもりでも
心理的バイアスや
無意識の防衛機制により
問題の本質や自分の意思決定の癖に
気づけない事柄が多々あります。
脳科学的にも自己認知には限界があり
感情や習慣に支配された判断を
客観的に見直すことは困難です。
経営コンサルタントは
外部の視点から構造的に現状を分析し
経営者ご本人では
見落としがちな課題を可視化します。
だからこそ
冷静で第三者的な知見を持つ
コンサルタントの存在が
経営判断の質を高め
組織を持続的に成長させる上で
不可欠なのです。
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<令和2年度迄>
中部大学 人文学部心理学科 非常勤講師
<令和元年度迄>
愛知産業大学 経営学部経営学科
造形学部デザイン学科・建築学科 非常勤講師
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<著書>
『ビジネスモデル虎の巻!』 (2019年)
『恩師から受けた薫陶と恩送り(仮)』
(2026年)
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